第三話 忘れられた意義
召喚されたミガルズ王国のスペックは
人口120万人
技術レベル:18世紀後半
ですね。国土は現在進行形で侵攻されてますが、平時にて領有を認めているのはオーストラリア大陸の半分程度です。
好きな国はソビエト社会主義共和国連邦です。名前からカッコいいですが、何より近現代における22,000,000㎢の国土は圧巻ですよね。
「では質問するぞ」
あれ?審問官さんがしなくてもいいんだ。なるほど。発言した言葉に嘘があるかを判断出来るのだろう。「はい」か「いいえ」で答えろとは言われてないし、審問官さんが優秀なんだろうか?長文でも嘘を見つけられるだなんて凄いと思う。そもそもどうやって嘘を判断するんだ?声色か?それとも脳波か?
「お主はどこから来た?」
その質問からくるとは。ここまで抽象的に聞いていることを考えると、審問官さんの能力には制限がないのかな?
「地球と言う、なんて言えばいいか……。おとめ座超銀河団の外れに位置する局部銀河群の内の一つの棒渦巻銀河の外縁に位置する恒星系の第三惑星で、衛星として81分の1の体積の衛星を持つ岩石惑星で、地表の7割が海洋の天体で直径12,700kmで地軸が傾いている惑星です。
出身は、その地球の最も巨大な大陸の東の海洋側にある列島の日本という国の出身です」
多少は地球の事について知ってもらう必要があるから、ちょこちょこ会話に中説明を挟んでいこう。
そう言うと王様は審問官の方を向いて、審問官さんは頷いた。本当かどうか確認したのだろう。
「お主。何を言ってるかもう少しわかりやすく言え」
「嘘は言っていないのはわかりましたが、ちょっと我々の知識の中に解らない言葉が多すぎて、なにぶん……」
銀河とかは流石に言い過ぎた感がある。回りくどい説明になってしまうのは僕の悪い癖だ。
「あ、すいません。簡単に言うと僕は地球という世界の日本と言う国の出身です」
「今、日本と言ったか?!」
「え、はい。そうですけど」
ものすごい勢いで確認してきた。そんなに日本がすごいのだろうか…?
「異世界の日本と言う国は、特に強力な力を有している者が多く、知識も豊富で教養があり、発達した国というのは有名でな、いやー非常についている!」
日本の評価がすごく高い気がする。ていうか日本からの召喚人はこの世界"にも"結構たくさんいるんだな。
なんかガチャの当たりキャラみたいなものか。
「日本には、異世界に召喚されて活躍する英雄譚が、多く読まれているため、慣れているのが大きな要因かもしれませんね」
「ほうほう。なるほどな」
「地球以外にも色々な所から勇者は召喚されるのですか?」
「ああ、そうじゃ」
気になったので一応聞いてみた。他の宇宙の惑星から来たのか、それとも地球のある宇宙の別の惑星から来たかでも、随分と興味深い。
「では日本よりも文明が発達した国などはありますか?」
「あまり断言できんが、日本より上の文明はないと思っとる。日本人の素養や知識が備わりや、この世界にもたらしてくれた物などを考えるとそう思うな」
なら少し残念だ。地球より発展した世界の知識をゲットしたかったんだけどなぁ。ところで地球がもたらしたものとはなんだろう?
「もたらした物ってなんですか?」
「マヨネーズとか井戸とかの他にも農産技術や政治体制などもいくらか伝わっている。召喚人の中でも日本から来た者は国のみならず世界に、これから進むべき正しい道や技術を示してくれた存在だからの」
日本人が異世界でも慈善事業をしていたのは驚きだ。誇らしく思う。
それに、なぜみんな日本語で喋っているのかというと、この世界に文字や言葉などの文明を与えたのが日本人だったかららしい。
すごいな日本人。
「数百年前からも日本の方々は我々を導いてくださり、より良い世界にしてくれたのです。統一された貨幣制度を世界に広めたり、世界平和にも貢献しました。この世界の人々は日本に対してとても感謝しているんですよ」
嬉しいぞ。我が国民が異世界でも立派に皇国民としての誇りを持って活動してくれていたとは…。
「そうなんですか。それはこちらとしても嬉しい限りです」
「ただ、少し欲を言えばもっと最新の技術をもたらしてほしいな」
確かにそうだ。しかし、一般人がスマホの作り方なんて知らないだろうし仕方ない事だ。しかし、安心して欲しい。僕なら地球の最新の技術よりも素晴らしいものを提供できるからね!
「仕方ないですよ。教育機関も一から文明の作り方なんて教えませんから、普通」
「なるほどの…。ところで、お主今何歳だ?」
「428歳です」
「「は?!」」
僕は本当に428歳なんだけど、見た目がこれだし驚くだろうな。不老薬を飲んだから身体は永遠の18歳、頭脳は老人。その名は召喚人海園しな!…なんちゃって。
「お、おい。嘘は言ってないのか?」
「は、はい。彼は嘘をついてはいません」
審問官さんはどうやって嘘かどうかを見分けるのだろうか?あとで聞いてみよう。
「お主、エルフ族では無いよな?それか他の長寿の種族か」
「いや、平均年齢90歳の人間ですよ。ただ不老薬を飲んだだけです」
「な、なんと…。不老薬があるのか………」
「陛下。これで………」
何やら怪しい会話をしているな。ちょっと警戒した方がいいかもしれない。
「オホン。ともかく、お主にこの国を助ける気はあるかの?正直に言ってこちらの都合でお主の前いた場所での生活を壊してしまったのは事実じゃ、恨んでくれて構わん」
そういう事はちゃんと考えてくれてたんだな。人の気持ちがわかった上で自ら責任を取ろうとしている王様には好感が持てる。
「国を救う気はありますよ。でも、僕に能力があるかわからないので、一応できるのは技術供与だけですね」
「あと、そんなに気負わないで下さい。帰ろうと思えば帰れるので」ボソ
別に帰れるし、ちょっとは手助けしてあげよう。
「ふむ。技術供与と豪語するというのなら、それなりの技術を持っているのか?」
「えぇ、一応不老薬を作ったのは僕ですし、研究者として生計を立てていたので一般人よりははるかに知識を有していると思います」
研究者と言っても最初の方だけで、後は技術者としても活動してたけどね。
「もし仮に、その技術供与を受けた場合我々はどう変わるのだ?」
「そうですね。1年もあれば自動車くらいはできると思います。馬より速く走り、十何人の人を乗せて半日近くは走り続ける事ができると思います」
「「・・・・・・・・」」
「し、審問官よっ。本当に嘘は言っていないのか?」
「・・・・・・確かに彼は嘘をついていません」
「「・・・・・・・・」」
どうしてみんな固まったのだろう。
「あれ?日本の人も来るのにご存知ないのですか?」
「いや、知らない訳ではなく、日本の召喚人は自動車の話はしていたが、知っているからこそ一年で作れるというのが信じられないのだ」
なるほどね。確かにそれもそうだ。いきなり技術のレベルが1年で数百年以上進みますよと言われたら驚愕くらいはするか。
そろそろ、そういう話はやめて。
「さあ皆様。これからの話は置いといて、目の前の危機に対処するのに全力を注ぎましょう。地図があれば、僕も一案を講じれるかもしれません。」
し〜〜〜〜ん ・・・ですよね。いきなり地図出せって言われたって困るよね。
「お持ちいたしました!」
お、大きな扉の方から偉そうな人が紙を丸めて持ってきている。仕事早いなぁ。
「うむ。ご苦労だ。サルマータ軍務大臣」
「おお、ありがとうございます。これで戦況がわかる」
「いえいえ、とんでもありません。是非とも私に異世界の戦術をお教え下さい」
軍務大臣さんめちゃくちゃ物腰が柔らかくていい感じの人だな。
フムフム。その地図地面に置いていいんだ。それと未だに沈黙している金髪青年は本当に大丈夫だろうか。
皆で地面に広げられた地図を囲んで議論をする。なんか昔を思い出すな。作戦会議っぽくてなんだか男心が燻られるんだよな。
「ここの場所と今の魔王軍団の居場所がどこか教えてくださいませんか」
広げられた地図は大きく結構正確でありがたい。
「ここと…ここですね」
地図に載っているものについて色々と教えてもらった。この城の位置や魔王のいる場所等々。
ここでようやく、現在地がミガルズ王国という国の首都スルクであり、ここが王城内だという事を知った。
この国は首都を中心にその北側が海に面しており、南西に位置しているのが、例の突破されたシンカル要塞だそうだ。
実に単純な進軍だな。何のひねりもないか。もうそろそろこの城まで来そうだな。この城は1方向を大きな山脈に包まれ、それ以外は森林も大きな河川も山岳地帯もない真っ平らな地形が続いている。
シンカル要塞からここの首都までは特に大きな街もなく、進路外に避難はできているそうだ。
全員歩兵とかだとこうなるのは仕方ないけど、装甲師団やら騎兵隊などは無いのだろうか?チャリオットができたのは中世後期のヨーロッパよりも2800年近く昔の事だ。それに補給などもどうしているのか…。正直言ってこの僕でもお手上げだ。
「ひとまず。このペースで来ると、20日後には奴らはここまで来るでしょう」
「ちなみに、その間に何か特徴的な地形はありますか?迎え撃つなら出来るだけ戦線は前に押し出し、塹壕を深くまで構築したい」
20日で来るとしても、距離から考えると随分時間がかかるように感じる
「いえ、何もありません」
「ん?何もない?」
「えぇ、この王城と城下町を王都としているのですが、その王都から現在の敵の場所までは平野が続いており、ほぼ一定の速度で奴らは侵攻してくるのす」
敵の足が遅いのかもしれない。20日の猶予があるのならば、全力で行けば強力な火薬の作成をする事ができるだろう。
「敵はどの程度の規模なんですか?あと、その内訳というか…」
「敵の規模は大体50万で、大体が魔物によって構成されています。少数ですが強力な魔人族や翼竜などもいます」
50万か…。敵の食料事情は知らないが、補給も無しにここまで続いてる訳ではないだろうな。20日間飲まず食わずなわけがない…。いや、魔物だったらいけるのか?
それにしても統率の取れた50万の軍集団とは恐ろしいな。それこそ、魔王以上に脅威じゃないか。
対策を早く考えなければ。
「こちらの動員可能兵力はどれくらいですか?それと兵器類は?」
「現在、若者の志願兵を募っていますが、5,000人も集まっていません。兵器の類はカノン砲や榴弾砲を合わせて200基ほど用意できます」
なるほど、そこらへんの火砲類は充実しているのか。だったら火薬を進歩させて、マスケット銃などを普及させ、キル・レシオが100を越えさせるようにすればいいか。
「既存の防衛作戦ではどうする予定なのですか?」
「基本的に補給の面から首都手前の平地に陣地を構え、徹底的に防衛する方針です」
"徹底的に防衛する"か……。
だったら防衛するには首都の国民全員を避難させて、ここの王城に攻撃力を持たせる必要があるな。でないと奴らがこちらに興味を持ってくれるかすら…。
「この国の近くに他の国はあるんですか?」
「はい。北の海の向こうに本大陸という大陸があり、だいたいの国家はそこにあるのです。しかし、彼らは対岸の火事と思って援軍を寄越さないでしょう」
なるほど、確かに小国は見捨てられやすいものだ。外交によって味方もつけられない。敵も首都目前だったら講和になんか応じないだろうな。
「つまり、この防衛戦の先に勝ち筋はないんですね」
「っ。はい、その通りです。もし、我々が本大陸に逃げ延びたところで生きていけるかどうかさえ…」
「なら方向性を変えましょう。例えば敵を殲滅するとか」
「え?」
「そ、そんな事が可能なのか!?」
「敵のポテンシャルにもよりますけど、生物だけだったら火薬でなんとかなるでしょう」
榴弾砲もあると言っていた。それなら大量殲滅は可能だ。地球で培った、人を殺すための技術が、異世界で魔物を倒すために使われるなんて、おかしな話だ。
「その話!本当なんですか!?」
どこからともなく子供の声が聞こえた。
振り向いてみると、壇上に座っていた子供のうちの1人がこっちに来ていた。
魔物、魔神族、翼竜。どれにも触れようとは思いません。皆様のご想像にお任せします。
特に描写することも無く蒸発すると思うので…。




