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第二十二話 天の川作戦前編

なんか、本当に…、すいません…。まさか2ヶ月も開けてしまうとは。

長い間開けてしまい誠に申し訳ございません。マックスコーヒーと1984と我が闘争が化学反応を起こして、加速主義に目覚めていました。加速主義の深淵を覗いてしまったので、文章が少しおかしくなってるかもしれません。ご了承ください。

??「材料:やる気

はじめに、妄想を頭の中で膨らませて、やる気を消費して文章に…(やる気0)

ちくしょう!台無しにしやがった!お前はいつもそうだ。

その文章はお前の人生そのものだ。お前はいつも投げ出してばかりだ。

お前はいろんなことに手を付けるが、ひとつだってやり遂げられない。

誰もお前を愛さない」

 身体の傷は回復魔法でサクッと治してもらった。現代医療でもここまで簡単に障害を除くことはできないだろう。しかし、いつか回復魔法すら超越してやる。科学技術に不可能など無い!


「ここじゃ、高野との決戦に支障が出ますね。確か、近郊には国有の銀鉱採掘場があったはずです。場所は向こうの方角15km。この期間は採掘業務が行われず、観光地として開放されています。そこに向かいましょう」


 この採掘場は、ロストフタ最大の露天掘り採掘場だ。元来露天掘りは、少量の宝石類の採掘をする程度のものであり、第二次大戦後の重機の発達により大規模な露天掘りが可能となり、鉱石類が掘られるようになったのだが。

 ここは魔法国家の強みであるマジカル☆パワーによって、重機の作業を人間の手でこなしているらしい。文明国家のアースナシアなどでは重機を開発していないため、坑道での採掘が一般的だそうだ。


「分かりました。そこに転移すればいいですね。でも観光客は…」

「強制転移でもなんでもして安全地帯まで退避させましょう。やりようは幾らでもありますし、ロストフタ王立軍の協力を得られる可能性もあります」

『ロストフタ王立海軍から返電がありました。すぐさま艦隊基地に出向いて欲しいとの事です』


 ちょうどロストフタ王立軍からの返信があった。好都合だ。まずは海軍基地に出向いて協力を仰ごう。他国領内での軍事行動は、国交開設に大きく関わる。

 さっきまで無許可で戦闘行為を行なっている時点で国際問題ものなのだが、艦隊からはオルガン砲のみの支援だったし、人払いの結界もあったからセーフということにしておこう…。


「さっきの機械音声はなんなんですか?」

『はじめまして、奥方様。人工知能GSTSのマルクスかっこ仮です。普段はご主人様のバックアップを行なっております』

「は、はじめまして…。それにしても奥方様って…」

『もう既に恋仲になられたのでしょう?競争率が高いのに、よく一週間足らずでモノにしましたね…。ご主人様と付き合っているということは、星河様も私の主人になるということです。今後ともよろしくお願いしますね』


 なんだよ競争率が高い、って…。僕そんなに狙われてたって…?いや、地球でモテ期なんて一度も…。まさか僕、鈍感系主人公の才能があるのか…!


「さて、それでは千歳さん。転移をお願いします」

「分かりました。手をちゃんと握ってくださいね。海軍基地の場所が分からないので、頭で思い浮かべてください」


 頭で思い浮かべるだけでいいのか?魔法って便利だな。確か海軍基地はロストフタ軍港に併設されていたあのレンガ造の建物のはずだ。


「はい。着きましたよ」

「ありがとうございます。ところで、ついてきますか?」

「あ、はい。行かせてください」


 視界が一瞬で切り替わる。いきなりの変化で、少し頭がクラッとした。これは慣れるのに時間がかかりそうだ。


 さて、高野が追ってくる前に用事を済ませるか。高野には足止めのために衛星装備の対地振動衝撃波砲を乱れ撃ちしてるから、多少の時間は稼げるだろう。


「すいませーん。呼ばれてた海園しなでーす」


 門の前で、大声で呼びかける。すると門番さんがこっちにやって来た。


「あ、あの時のしな様じゃないですか!」


 やって来た門番は、入試の日に魔法の車を運転してくれた士官だった。


「ダロス少将が待っていますよ。こちらへどうぞ」


 親切で腰の低い士官さんに案内された先は、大きな部屋だった。扉を開けると、ダロス少将が葉巻を吸って待っていた。


「お久しぶりです。ダロス少将。ご健勝のほど、なりよりです」

「よく来たな、海園艦長。話は伺っている。憎神ディアバスの眷属と敵対したそうじゃないか。実神信仰をしている我々でも、憎神に関しては人類から神まで迷惑している…。敵対することは仕方ないだろうな」


 憎神は相当な問題児らしい。これは心置きなく天罰を喰らわせられるというものだ。天罰を神に下すってなんだか不思議だな。


「そこでなのですが…。我々国際連邦秩序維持軍は、有害鳥獣駆除を要請されれば、受ける用意があります。あくまで要請されればですが…。なお、駆除を行う場合には、一時的に貴国の領土が戦闘下に置かれる事になりますが、損害は最小限に留めることを約束します。仮に損害が発生した場合には、戦後復興支援が適応されて、国際連邦が全面的に損害の復旧にあたります。もちろん、その場合に関しましては先進技術の投入を惜しみません」

「ほう?つまり我々が頭を下げれば、憎神を駆除してくれると?」

「いえ、決してそのような事ではありません。あくまで要請。対等な関係であることを我々も望みますし、これは友好の証と捉えてください。我々は本件に関して過失があることを認め、正式に謝罪します。その上で、我々は貴国に協力を提案して、透明性のある武力行使を行う事を約束します。つまり、観戦武官なり、政府高官なりを連れてきた場合、歓迎しますということです」


 さて、ここで向こうは折れてくれるだろうか。しかし、ダロス少将に話を通したところで、結局その話はさらに上に行く。ここは早く説得して、時間をかけずに決定までもっていきたい。時間は少ないからな。最悪の場合、日本人防衛のために強制的な武力投入もやむないが、友好的な国交を結ぶためにも、手荒な真似はしたくない。


「どうやって勝つのかは知らないが、我々の人智を超え、神の領域に足を踏み入れたような兵器を操る貴官が負けるとは思わない。しかし、ここロストフタの領土を管轄しているのは陸軍だし、他国への要請となれば、国王の許可が必要になる」


 やはり時間はかかるか…。やはりニダヴェリールまで誘導した方がいいだろうか。


「だが、王立軍は、指揮系統の最上位に国王がいるため、軍の柔軟性を保つためにある程度の裁量が認められている。ちなみに、どこを戦場にする気だ?」

「銀鉱の採掘場があったので、そこをお借りしたいなと」

「なるほど。確かにそこならば被害も少ないだろう。分かった。今すぐ職員と住民を退避させよう。他方には私が話をつけておく。だからいくつか約束してほしい」

「できる限りお応えします」

「まず、被害を最小限に抑えること。国民に死傷者が出た場合は我が国と戦争になると思え。そして、観戦武官を付けさせること。最後に、絶対に勝つこと。いいな?」

「ええ。その約束、全て完璧に果たして見せましょう」


 なんだよダロス少将。イケメンなことを言うじゃないか。それにしても観戦武官か…。説明するのが大変そうだな。


「今隊員を派遣して避難誘導を行なっている。避難完了の報告があるまでは動くなよ。完了したら赤の信号弾が上がるようになっている」

「分かりました。それで、観戦武官はどうするんですか?」

「それならアイツでいいだろう。入ってくれ!」


 ダロス少将が扉の方に呼びかけると、さっき案内してくれた門番の人が入ってきた。


「シワン中尉であります。お呼びでしょうか、少将!」

「話は聞いていただろう。貴官を観戦武官に任命する。地球の兵器を目に焼き付け、その情報を我々の元に持ち帰るのだ!」

「了解しました!必ずや地球の技術をもたらしてみせます!」

「そんな大袈裟な…。国連に入れば共同開発やインフラ投資、開発援助が行えますよ」


 軍事技術は教えられないけどね。


「本当か?!絶対に国連とやらに入ってやる!」

「ええ。お待ちしております」


 よし!国際連邦はさらに拡大するぞ!宇宙から異世界に至るまで、国際連邦の名は文明あるところに轟くのだ!


「先生。怪しい勧誘みたいになってますよ。そういう商法は違法ですからね」

「け、決して怪しい商売じゃありませんっ。国家ビジネスです!こちらは国際連邦の威光を高められ、彼方は技術提供ならびに独立保障を受けれてにっこり。良い関係ですよ!」

「どうだか…」


 そ、そんな怪しいものを見る目でこっちを見ないで…!まあいいや。それより観戦武官を守る方法を考えなくちゃな。


「シワン中尉は、自分の身は自分で守れますか?」

「そうですね…。憎神との戦いは対比させてもらいます。眷属だけならなんとかなりそうですので」


 どうやらかなり自信があるそうだ。それなら気にする事なく戦っていいのかな。


「先生、強化ガラスの中に入れてヘリコプターで運ぶのはどうですか?」

「ゾンビにやられそうなので却下」

「え〜」

「本官は採掘場近辺の山地の公園で観戦させていただきますのでご心配なく」

「分かりました。では一応、対空車両と戦車をつけておくようにしますので」

「ありがとうございます」

「それでは僕たちは一足先に戦場に向かわせてもらいますね」

「失礼しました」


 部屋を出たところで、廊下の窓から赤い発煙弾が見えた。あちらの準備は終わったみたいだ。だがしかし、一つ問題があった。それはどの兵器で攻撃したら良いのか分からないのだ。

 魔法のジャミングが有効でない場合、瞬間移動の魔法があるこの世界では、戦車などの砲塔旋回能力では照準できない可能性もある。よってミサイルも微妙。かと言ってレーザー砲などのエネルギー兵器では神殺弾頭による攻撃はできない。


 ちなみに今回は、異世界のお約束ルールを無視して魔王を殺せる神殺弾頭をお見舞いするつもりだ。しかし、戦場は将来の友好国。あまり派手な攻撃はできないし、どうしたものか…。


 いや、方法が無いわけではないのだが、いささか切りづらいカードというかなんというか…。いや、対憎神戦では使う予定だったし、仕方ない、使うか。

 ・・・。うーん、あー、でもサプライズみたいに出したいからな〜。高野戦で使うのもな〜。そうだ!別に普通のエネルギー兵器を使って高野をボコボコにしてから切り札を使ってもいいじゃないか!よし、それでいこう。ジャミングできたら通常兵器でも問題ないだろうし、保険として切り札を一機寄越しておくか。


「先生、転移で行きますか?」

「そうですね。よろしくお願いします。ついでにシワン中尉も送っていきましょうか」

「そうですね」



〜〜〜〜〜



 その後、部屋から出てきたシワン中尉を公園に送り、僕たちは採掘場に瞬間移動した。


 テレポーテーションって便利だなぁ。真面目にそういう装置を作ろうかな。

 必要になるのは一方的に発生させることができるワームホールを作る手段だ。ワームホールの生成や維持にも莫大なエネルギーがかかるのに、そうしたものを簡単に作るのは…。いや待てよ、衛星を使えば簡単に実現できるのではないか?そうだ!それで行こう!地球に帰ってからが楽しみだな!


「結構大きな採掘場ですね。オーストラリアにありそうな感じがします」

「今時はこんな露天掘りの採掘場なんて地球にはありませんからね。存分に観光していきましょう」

「これから高野の戦うのに大丈夫なんですか…?」

「なんとかなるでしょう。切り札も用意しましたし、たぶん絶対に負けません」

「どっちですかそれ…」


 千歳さんからツッコミを受けていると、携帯からアラームが鳴った。たぶん高野が来たんだろう。


「さて、そろそろ来るそうですよ。たぶん出会い頭に攻撃されるので先手を撃ちましょうか。エネルギー兵器を搭載した航空機も来たし、星河さんを探すときに寄越したP-21輸送機も装備を換装してきました。魔法のジャミングを始めますね」

「分かりました。ところで先生、防御手段はどうするんですか?魔法を封じられたら私は防御できませんよ」

「・・・。攻撃こそ最大の防御です。リソースは攻撃に割きます」

「せ、先生ぇ!!早くジャミングを解いてください!結界張ったり原子防護艦を召喚してくださいよ!!」

「い、いえ、時間がありません。このまま作戦を続行します」

「センセェ!!」


 攻撃されなければいいのだ。しかし、高野という神の眷属?に対しては魔法の妨害がどの程度有効なのか不明なのである。あ、ちょっとヤバくね…。


 そう思った矢先、近くをホバリングしている戦闘機隊がハードポイントに大量に装備したエネルギー兵器が攻撃を開始した。何百条もの光線が収束して目標に向かう。


「食らえ!50万人都市が一時間に消費するエネルギーをピンポイントで受けて手足もげろ!!」

「先生の精神年齢おかしくなってないですか?!」


 ・・・。少しはしゃぎ過ぎたようだ。一旦落ち着こう。そうだな。もっと凄いのが後に控えてるんだ。こんな事ではしゃいでたら疲れてしまう。


「すいませんはい。落ち着きました。あ、見えてきましたね」

「え?あ、本当だ…。えぇ…?」


 岩場の影から現れた高野は、チャラ男の見る影も無くボロボロだった。対地振動衝撃波砲によるダメージが大きそうだ。


「ふーはははははは!!見ろ!魔法に関する能力が高い高野がこのザマだ!やはり魔法は科学技術に総合的に及ぶ事などないのだぁ!!」

「せんせ!テンション!テンションっ!!」

「く…、そが…。ふざけんな…!なんなんだよ、あの攻撃…!」

「ご存知じゃないですか?米蘓の軍事衛星には標準装備の対地兵器ですね。主力戦車の足止めくらいにしか使えないんですけど、対人で使うと効果的ですね。範囲や威力が自由にきくので市街戦にも持ち込んでみたんですけど効果的ですね。あ、ちなみに航空機用のものもありまして、加害半径は小さいですけど威力は同程度の性能がありましてね、今ホバリングしてる機にも装備してるのがありますよ。いりませんか?」


 未だに宇宙条約が存在しておきながら明らかな条約違反の代物、米蘓の軍事衛星。対地大口径レーザー砲を主兵装にナイトラジェン弾頭搭載型軌道投下誘導弾を多数装備しているため、一基でも全力を出せば大陸国家の都市は全て焦土にすることが可能だ。両極圏に設置される大規模軌道エレベーターのために補給面も強度が増して、現在の世界の大半の人々はこの軍事衛星の存在から、米蘓を双頭とする軍事世界情勢が形成されていると認識している。

 他の先駆国である日本と欧州評議会はこれを持っていないため、先駆国の中では一歩引いていると言われているが、実は逆なのである。この話は切り札を登場させた時にでも。


「先生、私の時はあんなにボロボロにはされませんでしたけど、手加減してたんですか?」

「まあそうですね。市街地の兵器制限は解除してましたけど電磁加速行程は一切行わなかったので威力は低い方だったでしょう。本来なら弾速だけでも3倍は超えますからね」

「現代兵器に太刀打ちできると思ってたのが馬鹿みたいです…」

「いえいえ、戦車師団1個相当の戦略性はあると想いますよ。僕が言うんだから間違いないです。多分先駆国の軍事的指導者を抜けば世界最強ですよ」

「なんだか嬉しいような嬉しくないような…」

「逆に、大量の発射機と100基の128cm列車砲を装備する戦略都市支部塔に勝てますか?」

「そこまでハッキリ言わないでくださいよ…」


 小言を言いながら高野をガン無視する。あっちから動く気配がない。そろそろ体力全回復の魔法とか唱えるかと思っていたのだが…。頼りないサンドバッグだなあ。


「先生、高野は生きてるんですか?」

「生命反応はありそうですよ。高野くーん!名前を呼ばれたら大きな声で返事をしましょー!!」

「先生が完全におちょくってる…。あ!高野から後光が出てますよ!」

高野(たかの)の後光…。高野山(こうやさん)の仏の背光…。うっわ…」


 天から光が差し込み高野が包まれたかと思うと、損傷が完全に回復した状態になっていた。前言撤回、仕事はできるようだ。しかし、妨害波の効果が薄いようだな…。まあボス戦はそれぐらいが丁度いいか。


「ボスとしての矜持をようやく見せてくれましたね」

「え?あれがボスなんですか?」

「何気に星河さんも酷いこと言いますね。中ボスくらいの実力はあるんじゃないですか?あれ」

「お前らさっきからふざけやがって!!教師が人の彼女を寝とって、生徒を殴っていいのかよ?!」


 あ、痛いとこ突かれた。


「・・・。確かに、軍事力を誇示した状態で非友好国の港に寄港し、さらには害獣駆除を条件に他国領土内で兵器を利用するのは国連倫理委員会で晒し首にされるレベルの愚行ですね…」

「バレたらやばいって事ですね!」

「その通り!流石に各国首脳の信用を損いますからね」

「そんな事はどうでもいいんだよ!人の女寝とることはどうなんだって聞いてんだよ!!」

「人の女…?私、あんたの女になったつもりないわよ」

「テロリストと交渉しないのは世界常識ですよ。そっちを破る方が問題行動になりかねません」


 双方、酷い貶し合いが白熱しているな。こんな事をするために来たんじゃないんだけどなぁ…。


「面倒くさい。世界のためにさっさと死ね。全機全艦、電磁力加速プロセスを12%解放。マッハ5を超える対空機関砲火に対して、マジカルパワーの装甲能力がどれほど健闘するか楽しみですね」

「今の状況だけ見ると先生が完全に悪役してますね…」

「けっ!お前らなんかまとめてぶっ殺してやーー」


 発言の途中で炸裂音が響いた。高野の首もとで30mm航空機関砲の炸裂曳光弾が爆発して頭が吹き飛んだのだ。


「ナイスショーット」

「ナイッショー」


 僕たちはGSTSとZWCSの武器管制能力を誉める。


 そしてここで、特殊な状況が発生する。

 不老不死で身体に限りない再生能力が付与されている生命体が、思考機能の全てを有している頭部と身体機能の大半を占めている体部で切断された時、どちらが再生するのか…。これは長年、多くの分野において研究者を悩ませ議論され続けた空想上の命題だ。

 哲学者によれば精神の宿る脳がある頭部こそ、生命活動の復旧線になるらしい。しかし、生物学者からしてみれば細胞と遺伝子情報の大半を有する体部から頭が生えてくる方が合理的らしい。僕も地球では後者を支持していたが、ここは異世界だ。マジカルパワーの前には論理的根拠など意味をなさない。


「うっわ。グロテスクですね…。顔見知りの人間の頭部が吹き飛んで首から血が噴き出してますよ…。あの頭でバレーボールはしたくない、ですね」

「サッカーなら許せますね。しかし、どちらから再生するんでしょうか。両方から生えてきたら哲学的矛盾が生じるので観測する前に消滅させますからね。絶対にどっちかにしろよ!」

「やっぱり先生のテンションがどうかしてますね」


 吹き飛んだ頭を見て、どの球技ならできるかを論じ合っている辺り、相当に高野に対してのヘイトが上がってるという事だろう。


 そうして待ち望んだ時は来た。高野の身体が光の粒子に置き換わり始めて、やがて消滅したかと思うと光が集合して再び実体を構成した。出てきた実体は先ほどと変わりない高野だった。


「馬鹿が!意味ないんーー!」

「ちくしょう!だいなしにしやがった!お前はいつもそうだ!!」

「あっ…」

「ああ??何言ってんだ…?」

「その復活方法はお前の人生そのものだ!お前はいつも有耶無耶にして失敗ばかりだ…」

「きゅ、急に何言ってんだこの先公…」

「お前は才能や能力があるのに、ひとつだって努力していない。誰もお前を愛さない…」

「だ、大体合ってる…。ブッフォ」


 我慢できずに千歳さんが吹き出す。僕だって笑いを堪えるのに必死だ。しかし、いい加減こんな事に時間をかけたくないので、手早くサンドバッグにしてから倒そうと思う。


「もういいや。127mm単装砲規格外射撃!続けてSM-12SR攻撃開始!」


 そう唱えると、高野が防御行動にでるが、1秒も経たずに爆発が起きた。地球の重力から脱出できるほどの初速を持った炸薬量100kgの長身長の成形炸薬弾だ。妨害波により空間的防御障壁も相殺しているため物理的障壁を簡単に貫通して高野にダメージを与える。


 魔王ユガを葬った攻撃とほぼ同程度である。もちろん高野は簡単に死んだ。システム慣れしたのか、今度の復活までの時間は異様に短かった。が、間髪入れずに今度は航空機からの攻撃が行われる。というかこれ、魔王戦と全く同じ光景だ。しかも他国の産業現場ということもあり派手なことも出来ず、ただリスキルを繰り返すだけになってきている。面白くないしさっさと終わらせるか。


「出でよ切り札!特別国土防衛艦航宙戦闘航空母艦四至神第53号機!!」


 実験的にタキオンジャミングシステム管制砲を搭載した四至神53号機は、日本の防空システムの中核を担う空中空母だ。水上航空母艦以上の搭載数を誇り、主兵装にはレーザー・陽電子複合砲を搭載し、ミサイル発射機も大量に装備している航空機だ。四至神という名前は公表様れているが、その武装等諸元は極秘に当たる。


「えっ?!なんですかそれ?!」

「十二連装中出力陽電子砲、陽電子凝集性弾発砲!」

「よ、陽電子砲?!」


 高野を包むように小規模な発光が起こり、光が収束する頃には高野が消えていた。


 陽電子を磁場により凝縮させ、それによって纏われる磁界で電子との対消滅を防ぎ、着弾する事で加速的に対消滅反応を起こさせて神殺弾頭と同様に次元を巻き込んで消滅させる。つまり神を殺せるということだ。神殺しの兵器が実体弾だけでなくなったというのは大きな技術の進歩だ。実に素晴らしい。


「高野が、消えた…?」

「駆除完了ですよ。次の目標に行きましょう」

「ちょっと、ちょっと待ってください!さっきのはなんですか?!」

「第八世代機にも搭載される航空陽電子砲ですよ」

「絶対違いますよね?!」


 千歳さんの言うことは正しい。ややこしいから陽電子砲で呼び方を統一しているが、第八世代機に搭載されている航空陽電子砲は、対消滅により発生するγ線を磁場で収束させながら放射するモノなのだが、先程の陽電子砲は反物質自体を放射できるのだ。将来の改修でこの砲システムを流用させて多数の兵器に搭載する予定である。ただ、視界外戦闘では質量兵器が必要になるから、神殺弾頭は現役になるだろう。


「後で説明してあげますよ。それよりもシワンさんを送りましょう」

「・・・。そうですね」



〜〜〜〜〜



「いやー、すごかったですね!やっぱり地球はすごい所ですね〜!技術供与の程、よろしくお願いしますね!」


 どうやらシワン中尉は絵が上手いらしく、戦闘機の絵を描いていた。それを司令部へのお土産にするらしい。


「基本的にインフラ設備の投資から始めさせてもらいます。まあそこら辺は地球各国とのチャンネルが開いてからになるのでもうしばらくお待ちください」

「分かりました!わざわざ送ってもらってありがとうございます」

「いえいえ、では憎神の方を早く始末したいのでもう行きますね」

「了解です。ご武運を!」



〜〜〜〜〜



 玄関までシワン中尉を送った後、僕らは那須の飛行甲板に来ていた。一度ニダヴェリールに戻って憎神と戦うための準備をしたいのだ。正直、神と戦うのでスキルなどの不確定要素は交えたくないため、ニダヴェリール工業地帯で兵器を集めておいたのだ。


 もう既に姉さんと薫には報告してあるので、仕事をほっぽり出している。学長には後で怒られそうだがやむを得ないだろう。第八世代機に乗れば第一宇宙速度は出せるので、狭いコクピットに二人で詰まって移動した。



〜〜〜〜〜



「第八世代機って速いですね。ただ、コクピットの風防の外が空気との摩擦で空気が燃焼するのはどうにかならないんですかね…」

「マッハ20以上で飛んでるので仕方ないですよ。有人で飛行する場合はコクピット全体が全天周囲モニターになりますから」

「へー。艦橋以外も全天周囲モニターになるんですね…。というか先生…」


 ニダヴェリールに来てから千歳さんの様子が少しおかしい気がする。どうしたのだろうか?


「なんでこんなところに地球の建造物があるんですか?!」

「一から作ったからですよ」

「一から…?!」


 そういえばニダヴェリールの事を千歳さんに詳しく教えてなかったな…。そりゃ驚くか。


「なんなんですか?!高層ビルに巨大な運河に滑走に軍艦用の桟橋まで!」

「そりゃニダヴェリールは軍事基地であり工業地帯でもありますからね…」

「なんで私が驚き過ぎてるみたいな反応するんですか?!」


 その後、詳しくニダヴェリールの成り立ちを教えてあげた。最終的には諦めてしまったらしい。

 こんな事で時間を浪費して大丈夫だろうか…。憎神は待ちぼうけを食らってないだろうか…?

これからペースを戻せるように頑張ろうと思いますが、いかんせんやる事が多すぎるんです。

勉強、wows、アズレン、ゼノブレイドDE、睡眠。

・・・。申し訳ございません。

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[一言] 最近の現代兵器系の小説で1番くらいに面白かったです。続き待ってます!(ノシ 'ω')ノ
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