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魔法が科学に勝てるとでも?  作者: 蓬団子
第三章 国際学園準備編
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第十五話 入試


「しかし、これほどの大型艦は貴様の身に余るだろう、ロストフタ王立海軍が活用してやってもいいんだぞ」

「あ?」


 今なんて言った?ロストフタ滅ぼそうか?


 いや待て。コイツがダメなだけかもしれない。慎重になるんだ。ロストフタ首脳陣はマトモだと信じて、今を耐えるんだ。


「ニダヴェリールより来ました。国際連邦秩序維持理事会会長です。今回は彼の高名なロストフタ王国と国交を樹立したいと思い、参じた次第です。どうか貴国の港まで案内していただけないでしょうか?」

「ほう。貴様があの魔王を倒した召喚人か。ミガルズなんて小国ではなく、ロストフタの士官になればそれ相応の地位を約束しよう」

「ああ?」


 今度はカーロフ王が怒った?!早くこの少将の上司を呼ばないと大変なことになるぞ!


 それにしても、これほどの大型艦を見てコイツは怖気付かないのか?


 ・・・ん?なんだ?コイツの足、ガクガク震えてるじゃん!あーなるほど。怖くて虚勢を張ってるんだ。ハハッ。


「港の話だが、我が軍港は機密保持のため提供できない。せいぜい民間の漁港を使うことだな。紹介状くらいは書いてやるぞ」

「しかし、軍港ほどの規模の港でない限りこの那須は停泊することができません。どうか、軍港を提供していただけないでしょうか?」

「黙れ!貴様らの命は我々が握っているのだぞ!!言うことにはおとなしく従わないか!!」


 どうやら虚勢を張りすぎておかしくなってしまったようだ。こりゃ可哀想だな。それにしても人質発言は許容できないな。ちょっと懲らしめるか。


「命を握っている?ところで貴方の船の主砲の口径は何センチですか?」

「ふん。35センチだ。貴様らの船は大きいだけのハリボテよ。この砲艦だって、豆鉄砲しか積んでいないじゃないか」


 ああ、虚勢を張れる原因は、この艦に搭載されている主砲が15.5cmだったのが原因か。なーるほどね。装甲を貫通できないから、いくら束になっても勝てると思っていたのか。


「では、あちらをご覧下さい」

「ん?何があるんだ…?・・・なっ!!何だあの巨大な砲は!!」


 あっちにあるのは、長門型護衛艦だ。長門型護衛艦は砲身長30mを超える三八式46センチ三連装砲を5基装備している。

 遠くから見てもあの46センチ砲が巨大なことくらい分かるだろう。


 あれを見た少将は顔面蒼白になり、さらに全身で震え出した。少し懲らしめるか。


「長門型護衛艦。全艦同期射撃よーい。照準、艦隊進路右90度、仰角60度」


 前部に3基、後部に2基搭載された46cm三連装砲が搭載されている長門型護衛艦が4隻。計60門の46cm砲が一斉に右上を向く。


「何だあの艦砲は…、あんなのは不条理だ…」


 なんだが少将がおかしくなってきた。大丈夫だろうか?まあいいや。


「榴弾装填!撃てえ!」


 その瞬間、空間が爆ぜた。約マッハ40で放たれた46cm径の全長250cm、ポリ窒素爆薬2t、核出力の理論上限を適応して3g分だ。

 大気が弾けるように揺れ、奥には巨大なきのこ雲が発生した。


 ダロス少将は腰を抜かした。ざまあみろ。


「あの主砲は三八式46センチ三連装砲と言って、1,780kmの射程を持ち、毎分36発の発射速度を持ちます。今から貴国を火の海に沈めることも可能なのですよ?」

「クッ…。私が悪かった。今までの非礼は全て詫びる。だからどうか、部下や臣民には危害を加えないでくれ」


 勝ったな。これできちんとしてくれるだろう。まあね、僕は心が広いから、それぐらいの事は水に流せるね。


「それでは軍港を使わせてもらえますね?」

「ああ。装甲艦ハーランド用の桟橋は水深が15m近く確保されている。その船でも十分停泊可能だろう。電信でその旨を軍港に通達しておく」


水深が15mも確保されているのか。将来性を見越しているのだな。非常に優秀だ。さすがは超大国と言ったところか。


「ありがとうございます。ところで、首都ロストフタまではどれくらいの距離がありますか?」

「首都にある軍港だからそれほど距離はかからないだろう。何か用があるのか?」

「国際学園の教員試験を受けようと思ってまして、明日なんですよね。ですので、着いたらすぐに向かいたくて」

「それだったら念のため、国賓が来るということで時間を延期させよう。それぐらいの事は朝飯前だ」


 なかなかに有能な少将じゃないか。


「感謝します。貴国とは良い条約が結べそうだ。それでは先を急ぐ身ですので、これで」

「ああ、またいつか会おう」


 そう言うと、少将は梯子を降りていき、装甲艦ハーランドは即座に艦隊から離脱した。


「嵐みたいな人だったわね」

「そうですね。一応、物分かりのある人でよかったですよ」

「あいつ、ミガルズのことを小国だって…。いつか絶対見返してやる…!」

「兄さん落ち着いて…」


 クライス君が激おこだ。これは気を鎮めるために全力公試をしてあげなきゃいけなさそうだな。



〜〜〜〜〜明朝 ロストフタ 首都軍港



 予定より少し早めに着いたため、海に出ている船は少なく、支障なく艦隊行動ができそうだ。


 那須以外の359隻はロストフタ外洋で待機させる。もちろん主砲はロストフタとは逆を向けさせるがな。

 決して砲艦外交なんかではない。国際連邦はそんな野蛮なことをする組織じゃないのだ。


「さて、皆さん降りますよ」


 梯子を降りて桟橋に足をつけると、たくさんの軍の士官らしき人が出迎えてくれた。


「お待ちしておりました。ようこそロストフタへ。早速ですが、国際学園までご案内させていただきます」

「ありがとうございます。この船は外洋で艦隊と合流させておきますね」

「お気遣い感謝します。それではこちらへどうぞ。ここからは自動車で移動してもらいます」


 そこには4人乗りのガソリン自動車らしきものが2台用意されていた。


「これはガソリン自動車ですか?」

「ガソリン…?いいえ、これは自動車ですけど魔工自動車というものです。勇者様の文献を元に製作されたもので、軍では普及している乗り物ですよ」


 変なところでファンタジーだな。魔工自動車か…、環境に優しそうだな。


「ガソリン自動車はアースナシア自由帝国で開発されていたはずです。よくご存知ですね」


 なるほど。確かアースナシアは文明国家だったな。そういう違いもあるんだな。


 魔工自動車は石タイルで舗装された道路を時速10km程度で走行している。街中でもこんなに速度を出していいのか…?

 それにしても街中の人が投げつける好奇の目が痒い。


「着きました。こちらが国際学園です」


 学園は塀で囲まれており、正門には巨大な門が佇んでいた。これ、敷地はミガルズの王城くらいあるんじゃないか?

 校舎は赤煉瓦造の巨大な建築物で、全長は500m近くはあり、4階建てだった。法務省旧本館みたいな感じだ。


 これは期待できそうだ。ザ異世界みたいな感じだ。正門奥には大勢の人が集まっている。千人くらいはいるんじゃないか。


「僕らが待たせてしまったっぽいですね。早く行きましょう」


 すごいな、校内には噴水付きの庭園まであるのか。貴族様の学園みたいだな。


「あ、来られましたね。それでは皆さん、それぞれの試験会場までご案内します」


 案内の人一言余計!おかげでめちゃくちゃ睨まれてる!大人から子供まで全員に睨まれてる!先頭に立ってた僕だけ!


 僕がみんなを待たせたってバレちゃったじゃないか。ヘイト買われまくりだよ…。



〜〜〜〜〜国際学園校内 一次試験試験会場 第三講堂



 朝早いうちからやるのは教員試験だけのようで、入学試験や編入試験はもう少し経ってから行うそうだ。


 この試験会場は地球の大学の講堂に似ていて、一室に大体100人くらい収容されている。倍率400倍で千人くらいしかいなかったから、大体合格できるのは2、3人か…。その席、我々海園兄妹がいただきます。


 残念なことに、僕の姉妹は離れてしまった。まぁ、大丈夫でしょ。普通に頭良いし。


 よーし。それじゃあここで満点を出して、教師陣をギャフンと言わせてやるぞ〜。


「それでは、問題用紙と解答用紙を配布します。試験時間は240分です。前の時計が8時になったら始めてください」


 不正防止のためか、この試験では筆記用具が学校側の用意したものを使わなければならない。


 なんだか、中学校の頃に受けた高校入試の試験に似ているな。


「それでは解答を始めてください」


 どれどれ…、試験の内容は…。ほう、国家公務員試験Ⅰ種と同じくらい難しいじゃないか!

 問題は総合問題で、一般教養を問う問題だ。この一次試験を突破できたら、次は二次試験で、最後に面接があって、合格者を決めるそうだ。


 まあ、僕にかかればこんな問題子供騙しだ。この世界の地理歴史だって予習してきた。誤るはずがない。


 一次試験は語学、数学、社会科が中心に出てきた。楽勝だったので60分で終わらせて途中退席してやろう。



 全部解き終わったが、まだ40分しか経過していないな。見直しも済んだしきっと満点だろう。

 この空間にも居づらいし、とっとと出てしまおう。


「どうかされましたか?」

「退席したいんですけど…」

「・・・分かりました。問題用紙と解答用紙は回収させてもらいますよ」

「はい。お願いします」


 待合室のような場所に案内された。暇だな。


 そう思って20分くらいした頃、不意に扉が開いた。


「あら?早かったわね」

「姉さんこそ。薫はまだかな?」

「お兄ちゃんお待たせ!」


 もう揃ったか。きっと2人も満点だろうな。


「二次試験はいつやるんですかね?」

「あ、それはね、魔工道具の力で一次試験の解答が一瞬で採点できるそうだから、多分午後からは二次試験じゃないかしら」

「二次試験は自由に論文を書くんだって」


 論文か…。何が良いだろうか。この世界にあった論文なんて分からないな。


「一次試験が終わりました。これから1時間の小休憩をとり、大講堂前に名前が貼り出された人のみ、大講堂に入室してください。名前が無かった場合は帰ってください」


 3人で雑談している間に、180分過ぎていたようだ。先ほど案内してくれた人が、呼びに来てくれた。


 どうやら姉さんが言ってた事は正しかったらしく、即座に採点を終了させ、合格者のみが二次試験を受けられるようだ。


「お昼ご飯どうしますか?」

「キフエル一家と合流してお弁当を食べましょう。私たち2人で作ったんだから」

「アリアちゃんも手伝ってくれたよ!」


 昨日、那須の食堂が騒がしかったのはそのためか。ありがたい。どんな食事が出てくるか楽しみだな。姉さんは料理が上手いから。


「あ!しなさん!試験お疲れ様です!」


 生徒組も一次試験が終わったようだ。


 カーロフ王は最高部の入学試験、クライス君は高等部の入学試験、アリアちゃんは中等部3年生の編入試験だ。


 アリアちゃんの試験はもう終わったようで、クライス君とカーロフ王は午後にも試験があるらしい。


「それじゃあお昼ご飯食べましょうか。アリアちゃんに教えてもらった、ミガルズの伝統料理をアレンジしてみたの」

「ほう!それは楽しみだ!」


 姉さんは何もない空間からお重を取り出した。亜空間収納という、亜空間に物をしまう魔法らしい。時間も経過しないらしく、非常に便利そうだ。

 アリアちゃん曰く、亜空間収納は非常に高難易度で効率が悪いらしい。さすが魔王といったところか…。


 お重の中には野菜と一緒に、輪切りにされた謎肉が燻製のようにされていた。良い香りだ。


「パシケーじゃないですか!大好きですこれ!」


 どうやらパシケーというらしい。美味しそうだ。


「「いただきまーす」」


 う!美味い!繊維がホロホロと崩れる柔らかな食感と、しっかりとした歯応え!

 肉の旨みと、・・・なんだこれ?でも美味しい味だ!


 気付いたらもうなくなっていた。嘘だろ姉さん。

 もう無いの…?6人全員が無言で、夢中になって食べていたせいで、一瞬で終わってしまった。


「「ごちそうさまでした」」


 日本人が文化を広めただけあって、いただきますやごちそうさまの文化がある。異世界に来て、外国人風の顔をした人たちが当たり前のようにそう言うのは違和感あるな。


「それじゃあ、試験頑張ってね」

「はい!」


 我々は無事、一次試験を突破したようだ。

 アリアちゃんも編入決定。アリアちゃんは一足先に入学手続きを済ませるらしい。



〜〜〜〜〜国際学園校内 二次試験 第一大講堂



 僕たちも大講堂に入室した。大講堂内には既に60人近くが着席しており、僕たちが最後だった。


 姉妹の情報通り二次試験は自由に論文を書くタイプだった。


 何を書こうか…?魔法の事は門外漢だし、物理学や数学だって、どこまでが未解決か不明だ。そうなったら、記すべきはただ一つ!

 〜地政学的観点から見た帝政ロストフタ〜だ!


 地球で培ってきた学問のうちの1つ、地政学(ジオポリティクス)。地理的観点から、政治、軍事、経済を論ずる学問だ。政治地理学と関係が深く、そもそもが政治地理学の発展系だとする考えもある。


 この学問は簡単に言えば、「どうやったらこの国を滅ぼせるか」「どうしてこの国は戦争に負けたのか」といったような事を議論する学問だ。


 そして僕が目をつけたのは、この国、帝政ロストフタが過去に帝国主義的拡張をした結果に出来上がった国だということと、国際関係において重要な役割を果たしている点だ。


 帝政ロストフタは、成り立ちがドイツ帝国第二帝国に似ている。プロイセンが起こしたドイツ統一戦争のように、ロストフタも過去は小国だったが、巧みな外交術と強力な軍事力によって周辺国をねじ伏せ、同民族による超大国を作り上げたのだ。


 その後、帝政ロストフタは国家安定に努め、その間、他国からの侵略を受けないよう、巧みな外交術で周辺諸国と同盟を締結、世界規模の軍事同盟を組み上げ、本大陸の半分に覇権を轟かせたのだ。


 まるで鉄血宰相が守護神を務めているような国だ。


 このような国は地政学の研究対象にうってつけだ。今回は、世界征服の方法ではなく、ifの考えを綴っていくことにしようと思う。

 「あの時こうすれば、もっと歴史は良くなった」とかそんな話だ。


 世界征服の手法も書けるが、そんな事をしたら世界秩序を壊しかねない。


 というわけで、早速書いていこう!



〜〜〜〜〜3時間後



「はい!終了です!」


 あ、もう終わりか…。途中から柄にもなく白熱して、周辺諸国との国交改善方法から国土防衛政策案まで書いてしまったよ。


「2時間ここで待機していてください。2時間経っても名前が呼ばれなかったら帰ってください」


 また似たような方式で残されるのか。どうやらこのまますぐに論文を精査して、三次試験の面接を今日で終わらせるようだ。


 しかし、2時間待機というのは案外暇なものだ。クライス君たちの様子が気になるのだがな…。


「お疲れ様。どうだった?」

「ぼちぼちですね。でも、絶対に落ちる事はないと思いますよ」

「さすがお兄ちゃん!私はちょっと不安だよ」


 姉さんは論文に、数学の歴史的難問を大量に描き出し、通常の解法では解けない事を証明した後に、「答えが知りたいなら合格させろ」と脅しつけたようだ。やるな、姉さん。


 一方妹の薫は、何を書けばいいのか最後まで分からず、帝政ロストフタの税収制度の欠点と将来的問題、そして解決策を示したかと思うと、魔法について色々記したそうだ。


「おいお前」

「・・・・」

「お前だよ!」


 おわっ!いきなり肩を掴まれた。え?誰?


「誰ですか?」

「俺が誰だかは問題じゃない。お前は、全員を待たせておきながら、何のうのうとここにいるんだ?謝罪くらいしたらどうだ?」


 ああ〜。面倒くさいのに絡まれた〜。


「お前のせいで落ちたやつもいるんだ。ここにいるのが申し訳ないと思わないのか?」


 遅れた原因はダロス少将だしな…。謝罪の要求はそっちにしてもらいたい。


「どうした?言い返せないのか?だったら今すぐこの試験を辞退しろよ」


 なかなかに腹が立つなこいつ。まあいい。そろそろ頃合いだろう。



「海園しな様、青海様、薫様。のみが二次試験に合格しました。お三方は私についてきてください。残りの皆様はご帰宅ください」


 フッ。計画通り。そろそろ論文を読み終わる時間だと思っていた。そして、それらの高度な論文を見たとき、流出することの危険性を知るだろう。

 もはや、一種の脅しなのである。


「では、そういう事なので、さようなら」

「な…、ふざけんな!なんでコイツらが!」


 絡んできた男が激昂する。


「貴方より彼らの方が数十倍優秀だっただけです。用が無いなら帰ってください」


 案内の人がバッサリ切り捨てた。容赦ないな。まあ、懲りてくれる事だろう。

 それにしても、数十倍と言うことは論文の価値を理解してくれたのだろう。



〜〜〜〜〜国際学園校内 三次試験 学長室



 大講堂から数分歩いて到着したのは、学長室と書かれた部屋だった。面接って校長室でするものなのか?


 どうやら3人まとめて面接をするらしい。集団面接なんて初めてかな?


「失礼します。学長、3人を連れて参りました」

「3人だけ入れて」


 扉の向こうから返事が聞こえた。聞いた感じ若い女性のようだ。


 案内の人が両開きの開き戸を開き、入室を促す。


「「「失礼します」」」


 一斉に挨拶をして入室する。部屋には、ありふれた応接台と机があり、絵画が壁に掛けてある。

 机に座っているのは、声の通り若い女性だった。

 ・・・ん?耳が長くとんがっている…?


 これはエルフだ!異世界にエルフがいるぞ!!


「初めまして、地球からの召喚人たち。私の名前はユイシア・ユグドラシル。ハイエルフの末裔よ」


 ハイエルフ…?なんだか凄そうな族称だな。それにしても、末裔とはどういう事だろう。


「ハイエルフはとっくに絶滅した種族なの、私がハイエルフである事を知っている人はこの学園内にはいないわ。秘密にしといてね」

「なぜそれを僕たちに…?」


 ちょっと理解が追いつかないな。なぜ僕ら3人にそんな秘密を暴露したんだ?


「この600年続く国際学園で、ずっと学長を務めてきたのよ。人を見る目は確かだと自負しているわ。それに、私は魔王討伐に同行したからわかるのよ。召喚して一日経たずに魔王を撃破し、4日で最悪の魔王を引き連れてここにくるのだもの。白旗上げるしかないじゃない?」


 姉さんと薫が魔王だとバレていたか…。それにしても、この人何歳だ?


「女性の年齢を詮索するものではありませんよ、しなさん。まあ、4桁はいってるとだけ答えてあげましょう。ハイエルフではおばあちゃんじゃないですからね?」

「安心してください。僕の年齢も400歳超えてますから」

「ええ!生身の人間が400歳?!」

「不老薬を飲んだんですよ」

「・・・不老薬ってね、錬金術の未解決問題なのよ…」


 不老薬が未解決問題か…。まあ確かに、地球でも僕以外製作に成功していないしな。難しいんだろう。


「私は貴方達と敵対するつもりは無いわ。ただ、詳しく自己紹介をして欲しいだけなの。地球で何をしてたとか、異世界で何をしたのか。それが終わったら好きな学年、学部の教師になっていいわよ」


 自己紹介か。それなら長話になりそうだな。出来るだけ短くまとめてみよう。


「なら僕から自己紹介しますね。米国ホワイトハウス軍事顧問筆頭並びに、ペンタゴン特務局長並びに、日本国防衛省特別国防部部長並びに、ソビエト軍部門特別顧問並びに、欧州評議会軍務省顧問団長並びに、国際連邦秩序維持理事会会長の海園しなです」

「軍事関係の役職が多いわね。戦争屋でもしてたの?」

「大体そんな感じです。先進的な兵器を作り、大国にそれを売り込み、それぞれの大国で地位を作り、巨悪中華国と対立し、第三次世界大戦で勝利を収め、それら大国をまとめ上げ世界平和を実現させました」

「それはすごいわね」

「で、この世界に召喚されたんですけど、今まで作ってきたものを生み出せる能力を得まして、地球の兵器を大量配備し、魔王を撃破しました。そして、南大陸に国際連邦の基地を建設し、そこから聯合艦隊でロストフタまで来たんです」

「今度、聯合艦隊を見せてくれないかしら?地球の兵器には興味があるの」

「いいですよ。明日にでもご案内しましょう」


「次は私ですね。私は海上自衛隊特務海将の海園青海です。地球では、横須賀で連合自衛艦隊の総指揮をしていました。しなとは、義理の兄弟というか、外国で拉致されたところを救ってもらって、その後は兄弟として支え合って生きてきました」

「私は恥ずかしながら、どの役職にも就かず世界情勢や情報の管理をしていました。お姉ちゃんと同じように、お兄ちゃんに拾われて育てられました」

「しなが異世界に行った後すぐに、地球から無理矢理この世界に来ました。そしたら、この世界に来た時魔王になってしまって、周囲にも魔王がいたので、撃退してしなと合流したんです」

「そうだったのですね。事情は理解しました。貴女達が魔王だということは、私くらいしか分からないと思うので安心してください」


 さて、一通り自己紹介は済んだな。


「貴方達のことはもう十分分かったわ。信用に足る人物だと判断した。そこで一つ、お願いがあるの。私に地球の学問を教えて!!」

「べ、別にいいですけど…。何かあったんですか?」

「何があったって!貴方達のせいよ!あんな高度な論文を出しておいて〜!」


 どうやら僕らの論文は、この学校の教師陣にも理解できなかったらしく、学長のところに回ってきたそうだ。

 しかし、学長も理解できなかったらしく、なんとか誤魔化している状態らしい。


「分かりました。次の機会にでも勉強を教えましょう」

「助かるわ!ところで、配属されたいところに希望はある?できる限り聞いてあげるけど」

「では、最近召喚されたという日本の召喚人のクラスの教師になりたいと思っています」

「私たちもしなと同じクラスがいいですね」


 そう。この国際学園で教師になる真の目的はこれなのだ。カーロフ王の提案を蹴ることもできた。しかし、日本から召喚された学生達が、貴重な我が国の労働力が拉致されたのだ!きちんと保護しなければならないのだ!


 そのため、教師になって面倒を見るのが都合が良いのだ。そして、もし帰りたいと言ったら、ロストフタと戦争してでも帰してあげることが目的だ。


「・・・そうですね。同郷の方がいた方が安心できるものね。明後日の入学式に合わせて、召喚人のクラスが作られるのだけれど、まだ担任と副担任が決まってなかったから、貴方達3人を充てることにするわ」

「ありがとうございます。それではこれにて失礼させて頂きます」

「あ、そうそう。急で悪いんだけど、明日は空いてるかしら?明日なら時間が取れそうなの。聯合艦隊というものを見せてもらいたいの」

「分かりました。では明日の正午、正門前で合流しましょう」

「ありがとう。それじゃあよろしくね」



〜〜〜〜〜国際学園 正門



 正門の影にはキフエル一家が待っていてくれた。空が暗くなってきているので、相当の時間待っていてくれたのだろう。


「皆さんお疲れ様です!どうでしたか!僕たちは合格しましたよ!」

「僕らも当然受かったよ。それじゃあ宿でも探そうか」

「そうだな。ちなみにディナーの予約はできているぞ海鮮料理が有名らしい」


 あれディナーだけ?

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