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魔法が科学に勝てるとでも?  作者: 蓬団子
第三章 国際学園準備編
21/41

第十四話 艦隊出港

冬休みの課題をやらずにずっと書いてました。ピンチですね。はい。


帝政ロストフタはロストフタ王国とも呼ばれています。帝政ドイツみたいなものですね。


ロストフタ国際学園

ーーこの異世界に存在する教育機関のうち、最大の規模と歴史、学力を誇る。本大陸にある大国帝政ロストフタの首都ロストフタに位置する学園である。


 教育制度は初等部、中等部、高等部、最高部となっており、それぞれ小学校、中学校、高等学校、大学校となっている。このように日本の教育制度との共通点が見られるのには理由がある。

 この学園の設立者は、日本から召喚された日本人であり、魔王を倒した後に設立したものなのである。


 そして現在は世界中から多くの優秀な生徒が集まるだけでなく、召喚人もここでさまざまな事を学んでいる。


 教育は多岐に渡り、日本の学校と同じように学問の全般を学べるだけでなく、魔法や剣術といった異世界のような授業まで行われている。



〜〜〜〜〜



「というわけでキフエル一族とともに国際学園に行くことになりました」

「私達は教員としてでしょう?随分と勝手にやってくれたわね」

「まあいいじゃん。この世界でも手に職できるんだから」


 今日の夕食は首都スルクの下町の大衆食堂より、謎肉の素焼きと謎野菜の炒め物。兄妹3人で食卓を囲っている。話題は国際学園のことだ。


 謎肉は食感が悪くない。難点は肉汁も焼いている過程で全て落ちてしまった事だろう。肉本来の味というのも案外馬鹿にならない。塩くらいは振って欲しかったが、先日まで戦争していた国に求めるのは理不尽だというものだろう。

 謎野菜炒めは本当に不思議だ。かろうじて葉野菜と根野菜が混ざっていることだけ視認できる。根野菜の方はコリコリとした食感、タケノコに近い。葉野菜は人参のような甘味のあるふやけた葉だ。


 総合的に見ても"悪くない"の一言に尽きるだろう。戦時下だった国でも、周りを見渡せば様々な客層が笑顔で食事をしている。活気があって大変よろしい。守り甲斐もある国だと感じた。



 なぜ、下町の大衆食堂で食事をしているのか…。それはミガルズ王国の王政廃止に起因する。

 黄金の自由改を発動したこの国は、国名をミガルズ共和国に変え、王族の完全な廃止を宣言した。


 王族の完全な廃止は、王自身の意向であるということで恙無く手続きを終えたそうだ。


 支度金はきちんと出たらしく、しばらくは自国の首都を観光した後にロストフタまで行くそうだ。

 と言っても僕が不安なので、こっそりとキフエル一家を無人機で護衛させている。


 派遣している無人機は3機のS-830長時間作戦行動用多機能中型無人機だ。もともと日本の海上自衛隊機で、長時間の哨戒、作戦行動に適している。レーダー類も充実しており、護衛にはうってつけの機体だ。

 もちろんニダヴェリール基地から寄越したものだ。


 そんな中、国王のゲストのような存在の僕らが、王城に非常に居づらくなったのは仕方のないことだ。

 そこで、魔王討伐の褒賞金をもらい、とっとと王城を出てきたという事だ。


 僕ら兄妹はひとまずロストフタまで行き、教員試験を受けて、異世界での生活基盤を作ろうという話になった。教師の経験は無いのでとても楽しみだったりする。


「この世界のご飯はみんなこんな感じなのかしら?」

「そんな事はないんじゃないですか、日本語が流通している世界ですし、食文化もある程度流通していると考えるのが妥当では?」

「ロストフタがイギリスみたいじゃなかったら良いね」

「そうですね。ロストフタに賭けますか」


 この世界がメシマズの世界なのならば、食文化チートでもして遊ぶのもアリかもしれない。まあ、王城にいた頃は美味しいご飯が出てたから、ロストフタの大衆料理が不味いという事はないと思いたい。


「そういえば、教員試験っていつやるのかしら?」

「どうやら5日後らしいですよ」

「5日後?!」


 どうやら、ここからロストフタまではどんなに急いでも20日はかかるらしい。

 つまり魔王を倒した時点でもう間に合わなかったようで、僕の持つ輸送手段に縋るほかないそうだ。


「なので、明日の朝に王城前に集合して、ニダヴェリール基地より異界聯合艦隊の一部を派遣してロストフタの港に寄港しようと思ってます」

「アンタ絶対それがやりたいだけでしょ。外交問題に発展するわよ」

「事前に通告くらいはしますよ?」

「それって砲艦外交じゃない?」


 異界聯合艦隊とはニダヴェリール基地に所属する艦隊の事である。現在は配備が完了しており、合計で1,440隻もの電磁力艦が周辺海域を跋扈している。

 異界聯合艦隊は先駆国日本、米国、ソ連、欧州連邦の海上戦力が持つ大艦隊を新設して、4個づつ配備しているため、現在では日本以外の先駆国海軍を超える戦力を保持するようになった。


 具体的には、ニダヴェリール基地に

日本の護衛艦隊の第二十一、二十二、二十三、二十四艦隊と、

アメリカの電磁力制圧艦隊の第十三、十四、十五、十六艦隊と、

ソ連の軍管区統合艦隊の第九、十、十一、十二艦隊と、

欧州連邦の欧州守護艦隊の第十一、十二、十三、十四艦隊が配備されている。


 今回はニダヴェリール東方軍港に所属する第二十三護衛艦隊と、第十五電磁力制圧艦隊と、第十一軍管区統合艦隊と、第十三欧州守護艦隊を引き連れて、国際連邦秩序維持理事会会長として、国交を結ぶという目的も含めて行こうと思っている。


 全長200mから600mの艦船360隻で構成される大艦隊を目の当たりにしたら、流石に相手も僕らのことを蔑ろにはしないだろう。決して脅しじゃない。


「全艦隊40ノットで進んでも間に合いませんけど、上手く海流に乗っていけば、4日後くらいにはロストフタに着くと計算できます。大丈夫ですよ」

「それじゃあ海流無しだったらどれくらいかかるの?」

「6日は必要ですね」

「航空機で行った方がいいんじゃないかしら?」

「いいえ。艦隊で行きます」

「変なところで意地張るわね…」


 総勢、駆逐艦69隻、巡洋艦68隻、小型艦91隻、戦艦29隻、空母37隻、航空戦艦7隻、強襲揚陸艦11隻、潜水艦35隻、潜水空母5隻、原子防護艦8隻。

 せっかく用意ができたんだ。堂々と凱旋してやる。


「ふう。お腹いっぱいだ。宿屋を探しましょうか…」

「今からで宿なんて取れるのかしら?」

「この食堂の2階は宿屋にやっているそうよ。そこに泊まりましょ」


「「「ごちそうさまでした」」」


「それじゃあチェックインしようか。すいませーん。宿って空いてますか?」

「はい。空いていますよ」

「なら2部屋お願いします」



〜〜〜〜〜翌朝 王城前



「お早いですね」


 もうすでにキフエル一家は揃っていた。


「首都観光はどうでしたか?」

「うむ。なかなかよかったぞ」

「しなさん。今日はよろしくお願いします」

「しな様、今回はどうやってロストフタまで行くのですか?」

「ニダヴェリールまで行って、東方軍港から異界聯合艦隊でロストフタの港まで行く予定です」

「あの船に乗れるんですか?!やったー!」


 クライス君がやけに乗り気だな。そんなに好きなのだろうか、軍艦。まあ、ミリオタ仲間ができるのはいい事だな!


「距離的に間に合うのか?」

「海流に乗れば全然大丈夫ですよ。船の中では試験勉強でもしましょうか」

「はい!よろしくお願いします!」

「あのズムウォルトに乗るんですか?!」

「いいえ。ズムウォルト級より2倍大きい船ですよ」

「アレより2倍大きいもの…」


 今回みんなを乗せる船は大鳳型護衛艦を予定している。全長550m超、居住性も良く頑丈な航空母艦だ。

 海上自衛隊が運用している装甲多段式空母だ。艦隊の航空戦力の中核を担っており、作った自分が言うのもなんだが、カッコいい艦だ。


「じゃあ、何に乗るんですか?」

「大鳳型護衛艦という航空母艦です。全長556m、対空砲は340基装備されています。きっと、艦隊の中で一番安全な船ですよ」

「航空母艦ってなんですか?」


 たしかに、クライス君の言う通りこの世界には航空母艦なんてないだろうな…。どうやって説明したものか…。


「航空母艦っていうのは、航空機・・・武器を装備して空を飛ぶ兵器を大量に搭載して運用する船の事を指すの」

「大鳳型は合計で480機の航空機を運用できるんだよ」


 姉妹が捕捉してくれた。だが違う。480機とはカタログスペックで、実は大鳳は飛行甲板に航空機を搭載する事で550機以上を運用できるんだ。


 大鳳は通常の固定翼機は360機、小型無人航空機120機を搭載している。大鳳型護衛艦は多段空母であり、通常の全通甲板の下に、発艦用の飛行甲板が設けられている。

 小口径の主砲と副砲を艦側面に大量に配置しており、合わせて285門を装備している。

 対空砲は長10cm連装高角砲40基とCIWSを3種300基装備している。

 さらにVLS(ミサイル発射機)も多数搭載しているため、個艦防空、艦隊防空をこなせるだけでなく、空母としての遠距離打撃に、圧倒的な砲門数による近距離打撃も可能な空母なのだ。


「その大鳳に乗るのが楽しみだな」

「今回は大鳳型護衛艦二百十三番艦那須に乗ってもらう予定です」

「213番って…、全部で何隻いるんですか?」

「地球の方では、日本の所属で200隻。この世界では異界聯合艦隊で24隻ですね。今回の艦隊には全部で6隻います。同じような航空母艦なら37隻ですね」

「ニダヴェリール…、恐ろしいですね」


 国際連邦異界派遣無人基地は現在も主に陸上戦力と航空戦力を増大中であり、その戦力は先駆国に匹敵するレベルだと言えるだろう。


「さて、立ち話もこれぐらいにして、そろそろニダヴェリールまで移動しましょうか」

「分かりました。ところで、どうやって基地まで行くんですか?」

「SC-55という輸送機で行きます。王庭にもうついてるはずなので早速乗りましょう」

「SC-55か〜、なんだか懐かしいな〜」



〜〜〜〜〜



「黒くて大きな箱みたいですね。本当にこれが空を飛ぶんですか?」

「高速で移動したい時なんかはよく使いますよ。バレにくいですし、速いので」

「どれくらいの速度が出るんだ?」

「音速の20倍」

「さすがだな。常識を裕に超えている。神の域なんじゃないか?」


 こうして聞くとカーロフの口調がだいぶ見た目相応になってきたと思うな。


「それじゃあ乗り込んでください。垂直離陸しますよ」


 SC-55の格納庫が開きステップが降りてくる。SC-55は60m四方の格納庫を持ち、60両以上の戦車を搭載できるようになっている。

 今回のSC-55は、空の旅を少しでも快適にできるように、工場で製作した段階で家具を取り付けてみた。巨大なソファはもちろん、テレビやスピーカー、冷蔵庫などだ。


「なんだか快適ですね」


 悠々とソファで寛ぎながらクライス君が言う。やっぱりクライス君は慣れが早いと思うんだ。

 カーロフ王は唯一取り付けられた円窓から外の景色を覗いていた。やはり、何十年も治めてきた国を離れるのは思うところがあるらしく、哀愁感漂う感じだ。

 アリアちゃんはうちの姉妹と仲良くガールズトークに花を咲かせている。まだ出発していないのに気が早いことだ。


 僕はSC-55の下に発射炎防御隔壁を召喚する。垂直離陸時に王庭を傷つけるわけにはいかないからな。


 SC-55の前部と後部にある垂直離着陸用エンジンが蒸され、ゆっくりと機体が持ち上がって浮遊感を感じる。このまま上昇していき高度100mになったところで主エンジンが点火し、水平方向に加速がかかる。


 ここで発射炎防御隔壁を消去し、そのまま飛び立つ。


 ゆっくりと加速していき、20分で最高速度のマッハ20まで到達した。その後は15分間マッハ20で飛行し、減速して着陸した。


 やっぱり早いっていいね。



〜〜〜〜〜ニダヴェリール基地 東方軍港



 僕らはそのまま軍港に降り立ち、一番近くの桟橋に停泊している大鳳型護衛艦那須まで向かった。


「お、大きいですね…」

「これが対空砲…。たしかに安全そうですね」


 第二次世界大戦中の空母には170門の対空砲を搭載した艦もいたから、それと比べても圧倒的な重圧感だろう。


 桟橋の地面から25m近い高さがあるタラップが展開され、桟橋から全通飛行甲板までを接続した。

 こ、これを登らなきゃいけないのか…。


「ここから登ってください。早速出港しますよ」

「わあ、対空砲って意外と大きいですね!」

「兄さん!勝手に触らないの!」


 階段を登ってる途中、真横にあった四五式 45mm連装対空砲を興味深そうに手を伸ばしたのをアリアちゃんが叱りつけた。

 クライス君には後で艦内を案内してあげよう。


「しな、大丈夫か?」

「ぜえー…、はあー…、・・・だ、大丈夫じゃないです」


 なんとか登り切ったけど、息が上がりすぎて苦しい!この体力の少なさもどうにかせねば…。


「あ、動き出しましたよ!これも全部無人なんですか?」

「そうですよ。全て艦が独自で考え行動しているのです」

「あ!あの船さん沈んじゃいます!」


 アリアちゃんが伊四〇〇型潜水艦を指差して叫んだ。あれは海上自衛隊が誇る潜水空母だ。通常航空機190機と無人機200機を運用できる、超大型潜水艦だ。


「大丈夫よ、アリアちゃん。あれは海中に潜りながら進む船だから」

「へえー。すごいですね!」

「でも、あんまり居住性が良くないからね、あそこは…」


 そう。伊四〇〇型潜水艦の全長は520m余り、その中に400機近くの航空機を搭載している。

 その船体のほとんどに航空機を詰め込んだために、居住区域は艦橋だけとなり、非常に狭苦しいのだ。まだ、20世紀の原潜の方がマシなこともある。


 そんな事を考えているうちに伊四〇〇型潜水艦は完全に潜り込んでしまった。


「あのお城みたいなのはなんですか?」

「あれは戦艦という艦種ですよ。どの船も巨大な大砲が搭載されているでしょう?あれを運用するための船なんです」

「あれの攻撃力はどれくらいなのだ?」

「あなたのお城が1発で粉々になります」

「・・・そうか」


 そうこうしてる間に、360隻からなる輪形陣が形成完了した。那須は輪形陣の中心にいる。


「壮大ですね…。絶対に負ける気がしませんね。魔王が何体襲ってきても余裕で跳ね除けられそうです」

「今から世界に喧嘩売っても勝てそうですね」

「国際連邦憲章違反になるわよ」


 世界に喧嘩を売るつもりは無いが、パラディナン独立連邦とは戦ってみたい気がする。国土は欧州の倍、人口はアメリカの3倍、技術は地球を凌駕する可能性がある。

 こんな相手と戦える機会なんてそうそう無いぞ。是非とも共同訓練をしたいものだ。


「一応護衛機と哨戒機を出しておきましょうか。発艦シーンを見てみましょう。S-830発艦準備!」


 そう言うと、艦内が警報で鳴り響き、艦後方に集中的に配置された大型エレベーターの内1基が降下し、またすぐに上昇してきた。エレベーターの上にはS-830が4機乗っている。


 4機のS-830はそれぞれ自走し、艦首甲板に伸びた4基の電磁力カタパルトに接続し、即座に発艦した。

 他の大鳳型護衛艦も同様にS-830を発艦させたため、合計で24機のS-830が飛行することになった。


「あれが空母の運用する航空機なんですね!あんなのが400機くらい?積まれてると思うとゾッとしますね!」

「あの船なんか、戦艦と空母をくっつけた船なんですよ。あの紀伊型護衛艦がそうですね。あと、あのアンドロポフ級です」


 航空機運用能力を持った戦艦を、航空戦艦と呼ぶ。


 戦艦主砲と航空機という、なんとも頭の悪い組み合わせは、過去に大日本帝国海軍が成し遂げた歴史がある。しかし、実戦で使えなかったため、結果が出ていない。


 そもそも航空戦艦なんて、計画だけで終わるほど、誰がみても失敗するような計画だったそうな。しかし、現代になると技術力の向上で作れるようにはなった。


 ソ連のアンドロポフ級電磁力航空戦艦は、そもそも航空母艦として建造されたものに、スペースがあるから戦艦主砲を搭載して航空戦艦になったのだ。


 実は汎用空母としている信濃型護衛艦もアンドロポフ級と同じような生い立ちをしているため、航空戦艦と言えなくはない。しかし、見た目的に空母だし、運用目的が純粋に空母として求められているので、信濃型護衛艦は空母と呼ばれている。

 昔、信濃型護衛艦を航空戦艦の表記した有力紙がいたので、書き直させたのを思い出すな。


 海上自衛隊の紀伊型護衛艦は、輸送船団護衛のためにオールラウンダーが求められた結果出来上がったのだ。


「ところで、僕たちはどこに泊まればいいんですか?」

「あの前艦橋の5階のゲストルームに泊まってね。来賓用だから快適だと思うよ」


 頑丈な扉を開けて、艦橋内に全員を入れ込む。スーパーコンピュータとか艦橋に入れてるから、通路が狭い。

 どの電磁力艦にも言えるんだが、無人運用を前提に建設したため、居住性というのは二の次になってしまったのだ。

 最低限、ゲストルームは備えているが、設計した当初は完全に要らないと思っていて、設計技師のアドバイスが無かったら、今頃大変だったと思う。


「無機質だな。それにしても、この灯りは便利だな。建築がより楽になるぞ」

「そこら辺は魔法でどうにかならないんですか?」

「そんなに便利なものではない。攻撃に特化したものしかないからな。そういうのは魔工道具の分野だ」

「確かに、私たちが使える魔法も、攻撃系のものだけだものね」


 攻撃系の魔法が使えないに、魔工道具やら興味深いな。学園に行ったら是非とも真理を追求したい。


「ここがゲストルームですね。就寝時などにお使いください。あと、食事は食堂でとることになります」

「案外豪華なんですね…」

「国の首脳なんかが乗ることがあるからね」


 国の首脳か…。たしか大鳳型護衛艦一番艦大鳳には、何度か首脳が乗ったことがあるな。米国や仏国、英国の首脳だな。


「ここの食事はどうなってるんですか?」

「それも含めて案内してあげようか」

「え!いいんですか!ここら辺って機密が多そうですけど…」

「そんなものあんまりありませんよ。さあ!まずは兵器から行きますよ!」

「はい!」



〜〜〜〜〜左舷第一主砲配置域



「同じような巨大な大砲がたくさん並んでますね」


 今来ているのは、左舷の艦側面にある左舷第一主砲配置域と呼ばれる場所だ。

 主砲の二十式15.5センチ三連装砲が20基配備されている。


「これってどんな大砲なんですか?」

「口径155mm、射程1,200km、発射速度毎分120発、平均誤差半径は2mってところですね」

「1秒に2発ですか…。それが20基あるので、毎秒40発…。これ一隻でも世界征服できそうですね!」

「そうですね。今度やってみますか」

「え"っ?」



〜〜〜〜〜艦内 第一整備室



「ミサイルって覚えてますか?」

「はい。魔王軍を殲滅するときに、車から発射したやつですよね?」

「そうです。ミサイルって様々な場所で使われていて、航空機の主兵装もミサイルなんです」

「ミサイルって万能なんですね」

「ミサイル万能論って言うのもありましたからね」


 ここは大鳳の整備室だ。整備室と言っても、単に兵装の換装や点検を行う場所だ。

 ちなみに格納庫は航空機がぎっしり詰まっている。


「ミサイルって細長いですね。こんなのが空を飛ぶなんて信じられません」

「昔はもうちょっと太かったんだけど、搭載量を増やすために細くしたんだ。格納庫はこんな感じだけど、他に行きたい場所はあるかい?」

「次は対空砲の所に行ってみたいです!」



〜〜〜〜〜右舷第二対空砲配置域



「いろんな種類の対空砲がたくさんありますね!」

「そういえば、対空砲って言葉はこの世界でもありふれているのかい?」

「はい。空飛ぶ魔物とかは人間じゃ倒せないので、対空砲で撃退しているんです」


 なるほど。用途は似たようなものか。異世界の対空砲というのにも興味がある。空飛ぶ魔物ってどんな種類がいるのだろうか?空力学の発展に繋がるかもしれないな。


「この対空砲なんて、特に巨大で禍々しいですけど、どういう兵器なんですか?」

「それはAK-630 M2 R16 S-2 フォルトという、対空ミサイルとオルガン砲を掛け合わせた対空砲だよ。射程は60kmほどと短いけれど、圧倒的な弾幕量で確実に迎撃するんだ」


 Mark55 電磁力多重運用迎撃砲台とも呼ばれる、このフォルトは射程60kmのSAM16発と射程40kmのオルガン砲4基を装備する砲台だ。

 このオルガン砲は1秒間に百万発の砲弾を発射でき、まさに最終迎撃用の兵器なのだ。


「試しに撃ってみましょうか?」

「え!いいんですか!ぜひやってください!」

「それじゃあ、あの駆逐艦からミサイルをこちらに向けて発射するので、それをこのオルガン砲で撃墜します。いきますよ!」


 奥に小さく見えるペリー級重電磁力駆逐艦から発射された、ファイナル・トマホーク巡航ミサイルが上昇し始めたところで、フォルトの砲台が旋回し、オルガン砲の砲口が上を向いたと同時にパーンと炸裂音が、閃光と同時に聞こえたかと思うと、巡航ミサイルが爆発した。

 そして、少し離れたところでさらに大きな爆発が起きた。当たらなかった砲弾約百万発の徹甲炸裂弾が爆発したのだろう。


「す、凄まじい…。これがあんなにたくさん装備されてるなら、この艦は無敵ですね」

「そうですね。的が大きい分個艦防空能力は非常に高いです」

「この艦隊を見たロストフタ王国は、きっと腰を抜かすに違いありません!」


 クライス君が誇らしげに断言する。よっぽどこの艦を気に入ってくれたようだ。今度は航空機に乗せてあげるのもいいかもしれないな。



〜〜〜〜〜3日後夕方 帝政ロストフタ南東近海



 明日の朝には着きそうだな。明日の朝はすぐに国際学園の試験を受けなきゃいけないのか…。申し込みとか大丈夫なのだろうか…?

 そろそろ港の方に電文を送らなければいけないな。さて、どうしたものか…。港と首都に向かって日本語で通信を送ろうか。そうだな、文章はーー


 こちらは地球、国際連邦直轄地のニダヴェリール軍事基地、東方軍港所属の異界聯合艦隊である。

 国際連邦として国交の樹立を目的に訪れた。代表して、一隻の船を貴国の港に停泊させたい。


 こんなものでいいか。


『水雷艇らしき艦が装甲艦とともに艦隊に接近中。迎撃しますか?』


 GSTSから連絡が入る。おそらく帝政ロストフタ所属の船だろう。ちょうどいい。連絡兵代わりに使わせるか。電文を送る必要が無くなったな。


「迎撃は無しだ。丁重に出迎える。ハワイ級電磁力フリゲートを2隻派遣して、この那須まで誘導してくれ。あと、アナウンスでここ、第一艦橋にみんなを集めといて」


『了解しました』


 装甲艦はせいぜい全長100mくらいだが、ハワイ級フリゲートは160mある。相手を威圧するには十分だな。しかし、装甲艦は遅いからな。誘導が大変そうだ。


「どうしたんですか?しなさん」


 艦橋の近くにいたのか、クライス君が一番早くやって来た。


「ロストフタ海軍らしき船が接触を測ってきましてね。今こちらへ誘導しているところです」

「へー」


 装甲艦の映像が出てきたが、驚いたな。20世紀初頭の装甲艦に近い。確かに戦艦を建造しているという話も納得できるな。

 それに水雷艇も駆逐艦ができる原因となった艦種だ。アースナシア自由帝国が駆逐艦を作ったというのも納得できる。


 本大陸の海軍文明は20世紀初頭まで来ているようだ。あと70年くらいでイージス艦ができそうだな。


 続々とみんなが艦橋に入ってきた。


「何事?あ、装甲艦じゃない。ロストフタが接触してきたの?」

「概ねそんな感じです。そろそろここまで来ると思うので、お出迎えしましょう」



〜〜〜〜〜那須 飛行甲板



 どうやら装甲艦は誘導通り、那須に横付けしてくれたようだ。梯子を下ろして様子を見よう。


 しばらくすると、重そうな軍服を来た壮年の男が登ってきた。


「何だ?この船には女子供しかいないのか?艦長を呼べ」


 なんだが態度が大きいな。まあ事実だしスルーしとくか。艦長は…、僕でいいのか。


「僕が、この大鳳型護衛艦二百十三番艦那須の艦長。海園しなです。貴方の名前は?」

「ほう、お前が艦長か。随分と子供だな。まあいい。私はロストフタ王立海軍少将、装甲艦ハーランド艦長を務めるダロスだ」


 子供だと…?お前の何倍かは生きてるわ!


「しかし、これほどの大型艦は貴様の身に余るだろう、ロストフタ王立海軍が活用してやってもいいんだぞ」

「あ?」

大鳳型護衛艦の性能諸元を載せときますね。

全長556.0m

全幅70.6m

排水量 満載254,000t

速力(最大)42.3ノット

武装

主砲

二十式15.5センチ三連装砲

80基 艦側面2段両舷各20基

副砲

Mark25 127mm電磁火薬複合型単装砲

45基 飛行甲板右舷20基左舷25基

Mark41 電磁噴進複合型多種ミサイルEVLS

飛行甲板後部600セル

六式 電磁噴進複合型小型機垂直発射器

飛行甲板後部120基

一二式 長10cm連装高角砲

40基 艦側面2段両舷各10基

四五式 45mm連装対空砲

120基 艦側面2段両舷各30基

Mark55 電磁力多重運用迎撃砲台

100基 艦側面2段両舷各25基

Mark47 電磁噴進複合型多方面迎撃用二十五連装発射装置

80基 艦側面2段両舷各20基


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