1話 眼鏡で地味な巨乳委員長っていいよね
あらすじにある通り、勢いで書いてます。
なのでやる気が無くなれば更新なくなります。
ある程度は続けたいと思いますので、反応があればやる気を出し続けられる……つまり、感想くれればうれしいです。
特に重い話はないので、真剣に見ずに頭空っぽに、出勤前に眠い頭で読むと丁度いい感じするようにします。
なので、ここの辻褄があわないだとか、伏線がーだとかいう指摘は辛い、とても辛いのでなるだけやめてくださいするなら優しくアー
鳴り止まない歓声、男性の野太い声よりも女性の甲高い声が多い会場で、一人の男が勝ち名乗りを上げていた。
『只今の試合2R0分58秒、右フックによるKOで、勝者! 鬼塚~龍!』
引き締まった逆三角形に隆起した肉体。
逆立った黒髪はサイドを刈り上げたヘアスタイルにし、顔立ちは精悍で凛々しい。
赤いオープンフィンガーと赤いトランクスが印象的なMMAファイターは、リング中央でレフリーに右手を挙げさせられていた。
ヘキサゴンの金網には、勝者と敗者の明暗が別たれている……勝者は脚光を浴び、敗者は地に伏す。
そんな騒がしいヘキサゴン内で、勝利者インタビューが行われようとしていた。
『それでは勝利者である鬼塚選手に、今のお気持ちをききたいと思います! 鮮やかなKO勝利でした! どうでしたか!?』
レフリーの手から開放された青年に、スーツ姿の男性からマイクが向けられる。
「あ~……まあ狙ったら当たったって感じです」
『狙ったというのは、どのあたりから?』
「1ラウンド終わったあたりです。あ、これ当たるなって思っただけっす」
『野生的な感覚ということですね!』
「……そんな感じっす」
『では! この勝利をまず誰に報告したいですか!?』
「さあ? 家族はそこで見てるし、ダチも来てるし……いないっす」
『い、いないですか?』
「はい……とりま、腹減ったんで戻って良いですか?」
お互いに噛み合わないインタビュー、そこにセコンドにいた者達が割り込み中断させてしまう。
その様子を見たインタビュアーが空気を読み『今夜見事なKO勝利を飾った鬼塚選手からは以上です! 皆様、盛大な拍手をもう一度お願いします!』と場を盛り上げつつ全てを切り上げたのだった。
☆
朝の通学路で、一人の青年に様々賞賛が送られていた。
「鬼塚! 昨日はおめでとう! かっこよかったよ!」
「塚~! やっぱお前すげえわ!」
「鬼塚先輩! おめでとうございます! これ、よかったら食べてください!」
歩く生徒は皆、紺のブレザーと赤いネクタイを制服としており、男子は紺のズボン、女子は茶色のスカートといった落ち着いた色合い。
季節はもうそろそろ衣替えを迎える5月の半ば、そん中、昨日の出来事で主役となった青年が学生バッグを肩に担いで通学している。
同級生は素直に、先輩陣は遠くから、後輩の女子からは何故か手作りのレタスサンドを手渡されていた青年――――鬼塚龍。
彼は傷の無い顔を、朝日にだらしなく晒しながら、学校の校門を通り過ぎた。
(休みてえ……)
気だるげに昇降口で靴を上履きへ履き替え、2年生の教室がある3階へと階段を上がっていく。
背丈は178cmと若干大きめで、セパレートのある肉体が印象的なシルエットは、周囲の生徒と見比べても異質だが、体重は試合後ということもあり76kgぐらいしかないためにゴリラというよりはスマートなフィジーク体系だ。
すれ違ったり追い抜かれたりする度に声をかけられる青年、しかしそのどれもを無視に近い形であしらっていたのだが、ふと教室前で歩みを止めてしまった。
「あ……鬼塚さん、おはようございます。昨日はおめでとうございます」
そういって、一人の女子生徒がそそくさと教室内へと逃げ込んでしまう。
知的な眼鏡と柔らかそうな黒髪が印象的な女子生徒、背は小さく、出るとこは程々だが細いウエストのおかげでサイズよりも大きく見えた……確かに可愛らしくはあるが、地味目な女子生徒だった。
そんな女子生徒が逃げた方向に、鬼塚はなにやら鋭い視線を送っていた。
周囲の生徒たちが、これまでと変わらず彼に賞賛を送る中……ふと彼の鼻が、若干であるがだらしなく伸びた。
この変化を気づく者は、普段から彼を観察していなければ無離なもの。
では、なぜそんな顔を見せたのか?
(……やばい、やっぱ委員長可愛いわ)
こういう理由だった。
☆
時は流れ昼休み。
皆が食堂や弁当を貪る中、龍は教室で朝貰ったレタスサンドと、持参した塩コショウで焼いたササミ、ブロッコリーを低脂肪牛乳で流し込んでいた。
席は窓際の最後尾。
一人で外を眺めながら食事を摂っていると、そこに2人の女子生徒が近づいてきた。
「龍~? 昨日の見たよ! すごいかっこよかった!」
「鬼塚君、おめでとう」
その二人が龍に近づいてきた段階で、周囲の生徒たちがざわめきだす。
(鬼崎じゃん……うわ、やっぱすげえ可愛いわ)
(いや、俺は苅谷さん派だな、あの子悪魔ちっくな雰囲気がたまらん)
(いやいや鬼崎っしょ、あの胸あの尻あの足、ちょっとギャルっぽいのが近寄りがたいけど顔もいいしモデルもやってるしで完璧っしょ)
ざわめいているのは主に男子達で、女子達は2人の女子生徒から視線を逸らしていた。
「おう、ありがとなー」
高蛋白低脂質の食事を終えた龍が、興味なさげに返事をした。
腰まで伸びたきめ細かな黒髪の鬼崎と呼ばれていた女子生徒は、その辺の席を引っ張り出すと龍の隣に腰掛けた……苅谷はそんな二人の前で微笑を浮かべながら佇んでいる。
「でさあ! 今日そのお祝いにカラオケいかない!? ファミレスでもいいし、奢るからいこ~よ~」
猫なで声で龍の右肩に頬を寄せ、自然な流れで腕を組む鬼崎。
「いく面子は楓と私なんだけど、2人だけだとナンパが面倒なんだよね~」
厚手のブレザー越しにも分かる双丘を誇る、緩いウェーブがかかった茶髪が印象的な女子生徒――――苅谷美優は、本当に困った様子で頬に手を当てる。
「それじゃあ俺の祝いじゃねえじゃん」
「美優のは建前だって……あーしはただ龍のお祝いしたいだけなんだって!」
「そうだよ~、昨日なんて楓は泣いて喜んでたんだからあ」
「ちょ! 美優! それは内緒だっていったじゃん!」
「え~いいじゃん可愛かったよ?」
わーきゃー騒がしくする2人の美少女に、龍は溜息をつく。
その様子に、一瞬ではあったが鬼崎楓は眉端を上げる。
「いや、まあ今日はOFFだからいいんだけどさ……なんつーか、疲れてるっつーか」
「なに? うちらと遊ぶの気使いそうなの? 他の男子はすげえ必死に盛り上げようとするけどさ、龍はいいって! あーしが盛り上げるからさ! ね? いこ~よ~」
「楓もこういってるし、鬼塚君いこーよ。絶対楽しくなるよ?」
校則で禁止されているが、ナチュナルリップに仕上がった蠱惑的な唇に人差し指を当て、美優が楓の後押しをしている。
周囲の生徒たちは、気にしていないようにしていてもチラチラと龍達のほうへ視線を向けていた。
(……こりゃ、断るほうが面倒かもなあ)
そろそろ折れそうになっている龍は、ふと教室の中央付近へ視線を向けた。
そこには、登校時に教室へと逃げ込んでしまった、地味なクラス委員長が、ちびちびと持参した弁当を食している姿があった。
ピンクの弁当箱にピンクの箸は可愛らしいが、いま腕を組まれている鬼崎楓と比べるとやはり地味だ。
肩口で切りそろえられた黒髪、校則で禁止されているため化粧のされていない顔は、きめ細かな白い肌とおっとりとした瞳が特徴的なもので、華やかさは無いものの可愛いと言われればそこそこ可愛いと言われるような顔立ちだった。
(……後姿もなんか色っぽいよなあ、委員長って)
「……む」
「……あ」
龍の視線が委員長に固定されていることに、目聡く気づいた楓と美優。
互いにアイコンタクトを取り、美優は龍と委員長の視線に割って入り、楓は組んでいた腕を更にからめ、大きな胸を彼の太い腕に押し付ける。
右手に楓の手が重ねられたことに、龍が驚き視線を向けた。
「な、なんだよ?」
「ねえ龍? 別にあーしらはカラオケとかファミレスじゃなくてもいいんだよ?」
「そうだよね~」
一瞬動揺した龍の耳元に、楓が甘い吐息を吹きかける。
そして、耳元で囁いた。
「ホテル直行でもいいんだよ? 龍ならあーしら大歓迎だし」
「おい……」
「ぶっちゃけラブホならカラオケも食事も出るから朝までいたっていいんだよ?」
「やめろ、くすぐったいんだよ」
身じろぎする龍を離さぬと、楓がますます身を寄せ、美優は龍の机に形のいいヒップを乗せてしまった。
小悪魔な女子生徒に見下ろされ、華やかな美少女に体を密着されている龍には様々な視線が向けられていたが、彼は関係ないとばかりに左手で楓を引き離した。
「わかった。わ~ったから離れろ」
「え!? いいの? 本当に!?」
「ファミレスっつーか、飯食いにいくぐらいはな」
「鬼塚君? ホテルはどうするのかな~?」
龍の机に腰掛けて、二人を見下ろしていた美優は小声でそう尋ねた。
甘い匂いと囁きが、男の本能をくすぐる。
しかし龍は、そんな誘いも「いかねえよ。飯だけな、飯だけ」と言って断った。
「やった! じゃあ放課後駅集合ね! 来なかったら明日あーしらと1日学校サボりだから!」
瞬間、パッと顔を明るくした楓。
こう見ると普段の感じよりも年相応で、案外可愛いなと思った龍であったが、すぐに表情をダルそうに歪めた。
「わーったから、行くからとりあえず教室もどれよ。昼寝したい」
「鬼塚君、だったら私の足使う? そのまま頭乗せていいよ?」
ポンポンと、絞まっているが柔らかそうな太ももを叩く美優を、軽く手であしらうと、龍は窓に頭を乗せて秒で寝付いてしまった。
「あー……寝ちゃった」
「あと一歩だったねえ。でも今日は一緒にいられるんだし、これで良いんじゃない?」
「そうね、じゃあ美優、教室もどろっか」
「りょーかーい♪」
目的は達したとばかりに、二人の美少女はそそくさと龍の教室を去ってしまった。
当の龍は、前日の疲れもありそのまま帰りのHRまで昼寝を続けてしまうのだった。
☆
帰りのHRが終わり、教室内にいる生徒が少なくなった頃、龍はぼーっと委員長を見つめていた。
今日の日直だった委員長は、黒板の掃除と日誌を仕上げている最中だ。
そんな彼女を、龍は自分の席でぼーっと眺めている。
(エロさで言えば、楓とかのほうがあんだろうけど、なんでかなあ)
黒板を拭き終え、日誌に本日最後の授業内容を記入していた委員長が、パタンと日誌である黒い簿冊を閉じる。
「ふう……」
(声もまあ可愛いんだよなあ……)
少女から女に昇華する手前の魅力、それが委員長というより女子高生の魅力でもあるのだが、龍はただただ何故こんなにも惹かれるのかと疑問に思っていた。
そうこうしていると委員長が自席から立ち上がる。
もう帰るのだろう、日誌と自分のバックを抱えて教室から出ようとする。
すると、委員長は最後に鍵を締めなくてはいけないために、教室へと振り返る……が、びくりと彼女は体を震わせた。
「あ、あの……鬼塚君。もう私、帰るから鍵締めたいんだけど……」
「あ、おう。悪いね」
その若干震えている声に、龍はハッとして席から立ち上がり、バックを肩に担ぐ。
委員長は基本的に、龍とは視線を合わせてくれない。
何故なのかは龍には分からないが、恥ずかしがっているというよりは怖がっている印象だった。
龍が委員長のいる出入り口へと歩いていくと、更に委員長がびくりと体を震わせる。
「うん? どうした?」
「い、いえ……その、ごめんなさい」
ちなみに、この教室には教卓側と後ろのロッカー側に出入り口があり、いま委員長がいるのは教卓側の出入り口だ……龍は、無意識のうちに教卓側へと歩いていたため、2つある内の委員長側へわざわざ近づいていたのだ。
別に、そっちのほうが階段に近いという理由もある、しかし、委員長にとってはそれは関係なく、突然自身より大きな男子が近づいてきたことに驚いていた。
(委員長って、柔らかそうだしなんか良い匂いしそうなんだよなあ)
「あ、あの……どうぞ」
委員長は出入り口を龍に譲って、出るように促すが、彼は何故か立ち止まって彼女を見下ろす。
その視線に委員長が戸惑っていると……「あ! やっぱまだいた! 龍!」昼休みに約束を取り付けていた鬼崎楓と苅谷美優が近づいてきた。
「まだって……今から行くんだよ」
「女子より後に出るとか、龍もちょっとは気を使ってよ~」
出入り口付近にいた委員長を押しのけ、龍の右腕に絡みつく楓。
その際、委員長のスカートにあるポケットから何かが落ちたが、本人は気づいていない。
楓と美優の出現に、更に委員長が表情を強張らせる……背丈は変わらないのに、やはり華やかさが違うためか委員長の影が更に薄くなる。
すると、耐えられなくなった委員長が遂に覚悟を決める。
「あ、あの! 鬼塚君、私もう帰るから鍵閉めお願いします!」
「え?」
そう言って、委員長は鬼塚の左手に教室の鍵を押し付けてしまう。
何故左かと言えば、右には楓が纏わりついているためだ。
押し付けたかと思えば、委員長はなりふり構わず踵を返して走っていってしまった。
「なに? あの娘? ちょっとうざ」
「海老原さんだよ~、鬼塚君のクラスにいる委員長だよ?」
「しらな~い。地味すぎだし覚えられないっての……ねえ龍? とりま鍵だけ締めて、それ職員室に早くもってこ? じゃないと遊びにいけないじゃん」
ビジュアルや雰囲気的に、鍵なんてその辺に置いていけといいそうな楓であったが、根は真面目なため龍をそう促す。
美優はそんな彼女を見て微笑み、龍は「それもそっか」と答えた――――が、左手に残る委員長の体温と感触に、思わず小さな龍が反応しそうになるのを抑えるのに必死だった。
ふと、龍は教室と廊下の境目に何かが落ちていることに気がついた。
「うん? なんだこれ?」
楓に纏わりつかれたまま、身を屈めてそれを拾う。
それは何かのキャラクターのストラップだった。
丸いシルエットに茶色い毛玉、デフォルメされたポメラニアンのような可愛らしいキャラクターだ。
「これは……? 分かるか?」
「なにこれ? 犬?」
「ああ、これね」
「美優、知ってるの?」
「うん、これネットゲームのキャラクターだよ。前に大学生の人が教えてくれたんだ、気持ち悪かったけど」
「ふ~ん……可愛いけど、興味ないかなあ」
美優の説明に疑問を抱いた――――特に大学生の部分に――――龍だったが、楓はそれをスルーする。
彼女たちは、この学校……私立清心学院の中にある女子間ヒエラルキーのトップに君臨する、女生徒達にとっては権力者のような存在だ。
それは容姿、男子人気もさることながら、気の強さや持ち前の社交性から確率された地位である。
故に、先ほどの委員長は焦った様子で逃げていったのだが、それに龍は気づいておらず楓と美優も気にしていなかった。
「とりま、早くいこうよ! ね? は~や~く~!」
「苅谷、それ俺が明日委員長に渡しとくわ。多分、このクラスの落し物だろうし」
「うん、それがいいかもね~」
私たちだと逃げちゃうしという言葉を、美優は出さない。
龍のごつごつした左手を包むようにして、それを手渡す美優。
なるほど、こういったところが小悪魔なのかと無関心に納得した龍は、それには惹かれず受け取ったストラップをポケットにしまうと、楓の言う通りに歩を進めたのだった。
2話連続で投稿します。
それ以降は多分1万文字ずつ投稿を目指します。
基本、ダラダラと話を続ける癖があるので、意識して話を飛ばしています。
なので不自然な点があれば、そこだけ指摘おねがいしゃっす。
そこだけ付け足すので、おねしゃっす。