王の資質
爛原かな訪越
氷凝りの刻
角冠りの王 剣起せり
悪しき蛇腹蝠
猛々なるかな
鍔合わせ 幾人たりと勇士 顎牙に伏せ
孤王なれど 足折らず
額断ちなりて 鬨を上げん
勇壮たりや 角冠りの王
凱歌の声を受け 剣を掲げん
※※※
緑蘭の吟詩を頭の片隅で聞きながら、僕は神経を集中していた。
目前には剣を正眼に構えた赤斗。
「いくぞ、青玉」
青玉、とは僕の名だ。赤斗の分厚い唇が告げた言葉で僕は身構え、彼の足の滑り出しを注意する。
「フッ!」
短い呼気と共に剣先が跳んだ。
瞬間的に迫った白刃の瞬きを半ば反射で弾く。
「ふ、第一撃を受けるか。ならば──」
赤斗の声にはまだ余裕があった。当然だ。彼が本気になれば僕の首はたやすく宙を飛ぶ。
僕と同い年にも関わらず、一回りも違う体格、剣気、それらから発せられる斬撃。
僕は必死になって、剣を縦横に振るい弾き続ける。
「腕を上げたな」
「ああ。──だが君にはとても敵わない」
「ふっ」
赤斗は唇を歪め──ひと際鋭さを増した突きを放った。
「くっ──!」
歯噛みをし、剣を平にして受け止める。
剣風の勢いが一段と増した。
烈火の如き猛攻を凌ぐが、徐々に追いつかなくなっていく。
「づっ──!」
ガァァン! と音が鳴って、ついには大きく剣が弾かれた。
「一本、と」
赤斗が短く告げて、僕の首筋に剣を突きつけた。
僕は両手を上げて降参の手振りをした。それを見て赤斗は薄く笑み、剣を引いて鞘に納めた。
僕の方は汗だくだが、彼は荒い息ひとつついていない。
「あははは。お疲れ様! 2人とも!」
そう言って拍手とともに闊達な声をかけてきたのは白露だ。
白露も僕と赤斗と同い年だが、ひとまわり幼さを見せるふくよかな顔立ちだ。
白露の横にはもう一人、痩身の女性と見まがうような長い髪の線の細い少年が立っている。それが緑蘭。さっきまで美しい声で詩を吟じていた。
赤斗、白露、緑蘭、そして僕──青玉も。
4人とも同い年であり、小国だが、それぞれ隣国同士の王子という身分だ。
同盟の友誼を誓う会合の際、それぞれの父親に連れられる形で集まるのがこの季節の習慣だった。
赤斗は武勇に優れ、既に国内で彼に敵うものは数えるほどらしい。
緑蘭は知略に優れ、難しい古識の本を読み漁り、国内にはすでに彼を教えられる者は存在しないという。
白露はその人柄で親しまれていた。情に厚く、徳に優れ、臣民たちに愛されている。
僕は──緑蘭ほど体が弱いわけではなく、白露ほど無知な訳でもなく、赤斗ほどに他人に厳峻ではないが、3人のように特段優れた部分はない。
中庸、という奴だ。
「さきほどの詩、変わった詩だったな。異国の詩か?」
赤斗が緑蘭に問いかけた。
緑蘭は、いや、と首を振ってから、説明した。
「遊び詩だよ。韻と漢字の意味を組み合わせて、それらしい造語を作り出す詩。例えば氷凝り、という言葉。氷が凝固する、と書くが、そんな言葉は存在しない」
「自ら言葉を作り出すか。それでは他人に通じまい」
「だから遊び詩なのさ。氷凝りの刻とは、水面に氷が張る早朝、あるいは冬の季節を現す」
「ふむ……。なるほどな。俺には高尚な遊び過ぎて真似できんが、趣はある」
赤斗は武勇に優れるが、真に優れているのはそれをひけらかさないこと、そしてそれ以外に興味を持つことだ。自分自身が持つ武力という始原的で最もわかりやすい力を秘めながらも、他者が持つそれ以外の力の価値を認める心の強さを持つ。
緑蘭は体が弱く、剣の才能がないことを自分自身で理解していた。だから自分の最大の武器である教養を学び、知略で抗う処世術を尖らせた。
白露は、剣も弱い。頭も弱い。だが、徳がある。情に厚い。
臣民を大事にする。そして理不尽なことが執行される場合には、日ごろの行灯さからは想像できない鋭さで追及し正すのだ。
その心で彼の周囲には自然と能力に優れた者が集まっていた。
そして、僕は──
※※※
「王様。青玉様」
「ぬ……。どうした?」
「は……。お休みのところ申し訳ありません」
どうやら、執務の間の休憩時間、窓から差し込む陽の光にあてられて微睡んでいたようだ。
宰相の言葉で現実に引き戻される。
「街の方からの報せです。剣聖様が到着された、と」
「おお、そうか。接触は?」
「まだ致しておりません」
「うむ、まずは街並みを見てもらうために一晩ゆっくりさせよう。明朝、挨拶にうかがい、ご本人が望めば宮廷に迎えるのだ」
「かしこまりました」
宰相はうなずき、礼をして、執務室から退室していった。
「ふむ……。剣聖、か」
武技に優れ、天下に並ぶ者無しと謳われた実力者だ。あの赤斗でも手合わせして敵わなかったと聞く。
それだけでなく人格にも優れ、教練者としても精良。
排出した弟子はいずれも世間に名前を轟かせる剣豪となった。
今までどこの国の招客にも応じなかったが、晩年になっていずれかの国に士官したいと言い出したのだそうだ。
国に仕え、そこで多くの兵士、武士に己の技と心を託し、意志を継がせたいと。
私と同じくそれぞれ国を引き継ぎ王となった赤斗、緑蘭、白露も、剣聖殿を迎え入れたいと申し出た。
そして剣聖殿は主となる者を己が目で見定めたいと言って、それぞれと謁見してまわっている。
既に3人の国は渡り終え、最後が私の国だ。
私は執務机の端に置きっぱなしになっていた手便を開いた。
剣聖殿が最後に訪れた緑蘭から届いた手紙だ。
『青玉、君と私の仲だから煩わしい時候の挨拶は抜きにするよ。
剣聖殿が私の国を訪れた。私は私の持てる知略を以て、剣聖殿をもてなした。
しかし士官の承諾は得られなかった。
赤斗、白露の国と比べてどうだかと聞けば、それぞれに妙のある、三者三様のいい国だとはぐらかされたよ。
赤斗、白露の見定めは終わっているらしい。
剣聖殿は君のことばかりを訊ねてこられたよ。
私は君の朋友として、正しく君の姿を伝えたつもりだ。
剣聖殿が、何を基準に自らの君主を選ぶのか、その心はわからない。
しかし言葉を交わして噂に違わぬ芯の通った御方だと思った。
彼のような英傑を家臣に加えられれば、これ以上ない宝になると私は確信する。
君の武運を祈っているよ』
……緑蘭でも駄目だったか。
私は文面を再確認し、ため息を吐いた。
私たち四か国は、目覚ましく発展した。
小国だったが周囲の都市国家群を飲み込み、その領土を広げた。
それは赤斗が先陣を切って剣を掲げ、緑蘭が計略を編み、白露がその人徳で優秀な人材を引き抜いて領土を広げていったからだ。
そして彼らと同盟関係である私の国も同時に発展した。
だが私には3人ほど、卓越した長所がない。なのでほとんど万事が部下任せ。
親の代から国に勤めてくれている有力な家臣に主な政務を任せ、それを認可することが私の仕事だ。
王となった身、赤斗ほどの武勇がなければ戦場に出ることさえ許されない。
他人を弄する策など考えても思いつかない。
白露ほどの人徳があれば、まだ己の手柄だっただろうが、私は「王の息子」だったということぐらいしか取り柄が無い。
それが「中庸」であった私の限界だった。
私の目から見ても眩しい存在である3人の朋友と違って、剣聖殿がわざわざ私に仕える道理などない。
あるとすれば、それは──
「剣聖様のおなーりー!」
謁見の間に門手の朗々とした声が辺りに響く。
王との謁見で来客をこのように扱うのは異例だったが、万夫不当の英傑である剣聖殿への最大限の敬意のつもりだ。
2人の門手の手によって左右に開かれた扉から、銀甲冑に身を包んだ老兵が現れる。
皺の深さから相当な年齢であることが伺える。しかしその鋭い眼光は鷲のように爛々と光を湛えていて、背筋は直立し一切たりとも曲がっていない。背格好は赤斗より一回り以上小さかったが、身にまとう剣気は遠い玉座の上から見ても段違いだった。
剣聖殿は身に着けた銀鎧をかちゃとかちゃと鳴らしながら進み出て、礼節通り私の眼前で立ち止まり、片膝をついて頭を垂れた。
さすがだ。宮仕えしたことはないと聞くが、作法を完全に知っている。
「剣聖殿、どうか楽に。諸国に勇名を轟かせるそなたをかしずかせては、我が仁義にもとる」
「はっ、では恐れ多くなれば」
剣聖殿は応え頭を上げた。
「黒厳と申します。ただ一つ、剣とそれを教える才なれば持ち合わせる老兵にございます」
「では黒厳殿とお呼びさせていただいてもよろしいか」
「はっ」
「此度、我の宮中への招致に応じていただき感謝申し上げる。我が盟友、赤斗王、白露王、緑蘭王からも貴君の話は聞いている。いずれも、噂に違わぬ傑物と貴君を讃えていた」
「身に余る光栄であります」
「いずれかの国に士官したいという噂を聞き、我は是非貴君を召し抱えたいと考えている。黒厳殿、そのために何か訊きたい事はあるか? 主を試すと思って、なんでも聞いてくれてよい」
「は。それならば、一つ」
黒厳殿の言葉に私は身構える。
赤斗たちの手紙からでも、黒厳は私たちの器量を試すかのようにいくつかの問いを投げかけてきたという。
「青玉様は、国王に求められるただ一つの資質は何と存じられますか」
「ふむ。ただ一つの資質か」
黒厳殿が何を意図しての質問かはわからぬが、私は緑蘭ほどの知力もない。真っ正直に答えることとした。
「民を思いやることだと思う。国は民あってのもの。人民を思いやる心を持たねば民はついてゆかぬ。また、民を思いやらぬ王は、王であって王でないと私は思う」
「なるほど。然り」
古書の訓示書に描かれた教科書通りの解答だ。黒厳殿を満足させる問答ではなかったかもしれない。
黒厳殿は短く返したのみで、沈黙した。こちらの言葉を待っているようだ。
「一つ、と言ったが、それだけでよいか? 私は何でも答えるぞ」
剣聖殿は赤斗たちから既に私の話を聞いていた。その凡夫ぶりから、初めから私には期待していなかったのかもしれない。
「はい。私が知りたかったことは聞けましたでござる」
「そうか。ならば仕官の話はどうだろうか。引き受けてくれるだろうか」
「はっ」
黒厳殿は短く声を上げ、頭を再度垂れた。
「この身、老骨ながら御身の下で粉骨砕身したいと思います」
「──なに?」
最も期待した言葉でありながら、それがあまりにも意外なもので、私は一瞬彼が何を言っているのか理解できなかった。
動揺を押し隠し、なんとか平静を装いながら、私は聞き返した。
「私の元で働きたいと、そう申すか?」
「はっ」
赤斗、白露、緑蘭。
いずれも私の目から見て傑物となる良王だ。
彼らを差し置いて、私が選ばれる理由が思い浮かばなかった。
「それは、真嬉しい申し入れだ。しかし我が盟友、赤斗王、緑蘭王、白露王たちはそれぞれ一角ある賢王だった。彼らを差し置いて私を選んだ理由を聞いてもよいだろうか」
「ご気分を害するだろう無礼な物言いをすることをお許しになられれば」
「よい。私は貴君の心を知りたいのだ」
「では、僭越ながら申し上げます」
黒厳殿は、そういって居住まいを正した。
正座、というその姿勢は、彼の国で最も相手を尊重する姿勢だと聞いた。足を畳み込むその姿勢は瞬時に立ち上がることができず、襲われても即座に反応できない、無防備な姿勢だ。
「赤斗王、白露王、緑蘭王、いずれも、歴史に名を残す名王たる資質をお持ちになられていると私は思いました。赤斗王はその武勇と、それをひけらかさない度量の広さにより、共に肩を並べて剣を振るうことが存外心地よい御方でした」
「うむ。赤斗は男でも見惚れる度量の深さがある」
「白露王は朗らかな方でした。街を歩けば、誰しもが白露王の人柄を喧伝される。白露王よりも、すれ違う人民たちからこの国で住まえば幸福だ、あなたもきっと重用してくださるだろうと声をかけられました。白露王の徳は、およそ他に類を見ないものでしょう」
「うむ。白露の人徳は如来の如しよ」
「緑蘭王は、実に愉しい方でした。私の問答に、一つ捻りを加えて期待を越えた解答を返してくださいまする。その語らいはこの年月を経た老人でも新鮮で、頭の回転の速さ、深謀遠慮、まこと、底の知れぬ御方でした」
「緑蘭の英知は、深き海溝すら見通すほどだ」
黒厳殿の言葉にうなずきながら、私は聞き返した。
「それで、底しえぬ天賦を持つ我が朋友たちに、一つでも私が敵うものがあっただろうか」
「恐れながら、なにも」
「……そうか」
黒厳殿の言葉は、薄々予感していた。
そう、つまりそういうわけだ。
黒厳殿は、真に傑物なのだろう。その力を天下泰平のために振るうことを主願としている。
故に、良王であれば駄目なのだ。彼ら自身が良き政治を行い、そして魅力的であれば自然と人が集まる。
だから黒厳殿は、あえて凡夫である私を主君と選んだ。
それが最も、自分の価値を振るえるからだ。
「しかし、私は」
「ん?」
私が自らの才覚の無さに失望していると、黒厳殿の言葉で現実に引き戻された。
「であるからこそ、王の資質を最も青玉様に見ました」
「王の資質?」
「はい」
そういえば、黒厳殿がしたただ一つの問いも「王の資質とは何か」というものだった。
私は臣民のための王と答えたが、それは赤斗たちも、とくに白露が最も実践している。
「黒厳殿。恥を忍んでお尋ね申し上げるが、貴殿が考えられる王の資質とは何であろうか」
「はっ。少々長くなりますが、老人の含蓄なればと聞き流していただければ」
黒厳殿はそういって、再び面を上げられた。
「王に求められる資質とは、真に求めれば多様なれば、しかし芯に辿ればただ一つの事と存じます。
王とは業の深い存在です。そのお気持ち一つで万民の生活が左右されます。故に、常にその資質を計られます。言動の一挙一足、采配の妥当性、人柄、才覚。常に臣民によって値踏みされ、衆人環視の状態にあります」
「ふむ」
「しかし王も人。それは耐えがたい苦痛となりましょう。故に、人心不信となり、虚栄心と虚飾を肥大させる者も出るのも致し方なしと存じます。王も人なれば」
「うむ……。私は幸い、そのようなことはない、と自分では思っているが……」
「はい。また王は誘惑にかられます。権力とは麻薬です。人民を自由にできる権利は王に万能感を与えます。その欲に溺れて、王に与えられた権限が自らの権利と驕り高ぶった者が、悪王として歴史に名を残すのでしょう。故に、王に与えられる訓示書の多くは、王を戒めるものが多数です」
「うむ。そうであるな」
「人の身でありながら余りある人民の命とその権利を預かる国王は、その代償として常に値踏みされ、自制を求められます。故に王に求められる資質は、真に求めれば数に限りがないと存じます。ですが転じて裏を返せば、私は王に求められる資質はたった一つで片づけられると思いました」
「それは、なんであろうか」
「責任を負う覚悟です」
黒厳殿ははっきりと呟き、続けた。
「国家の運営は、いかに優秀な王であろうと一人では成り立ちません。各専門分野に通じる武官、文官に役を任じ任せ、またそこから役人、末端の兵士などに指示が行き渡ります。それら万事の責任を負う覚悟が、王には必要であります。逆にまわりが優秀であれば、実は王に求められる資質とはただ一つ、彼らを任じ、彼らを信用しいざという時はその責を負う、ただ一つの覚悟であるのです」
「だから、黒厳殿は、王にはただ一つその覚悟があれば、その者は王であると」
「はい。少なくとも私が王に求められる最大にして唯一の資質はそれにございます。そして青玉様は、緑蘭王などのように名器たる才覚はなくとも、己の王としての責任から逃れず、常に自らを王たれと課してきました。これを私、黒厳は、最も名君たる資質ととらえます」
告げて、黒厳殿は頭を垂れ、無防備な首筋を晒した。
「仮にも主君として仰ぐ方を才気が無いなどと過ぎたことを言いました。その罰、いかようにも」
「面を上げよ! 黒厳!」
「はっ」
私は腹の底から声を上げ一喝し、その声に黒厳殿──いや、黒厳は面を上げた。
「汝、黒厳はまこと傑物だ。私には荷が勝ちすぎる希才だが、それでも私は王としての覚悟を以て、汝の繰り手となろう。その才覚、我が元で振るって欲しい」
「御意に御座います」
「沙汰は追って下す。しばし離宮にて、骨を休めよ」
「はっ」
黒厳は告げて、二つに折った足をすっくと伸ばして立ち上がった。その壮健さは晩年の老人には見えず、例え正座の状態で斬りかかられても遅れをとっただろうか──。
「責任を負う覚悟、か」
自覚はしていなかったが、才気あふれる朋友に囲まれ、彼らに負けまいと、せめてもいい王であろうと全力を振り絞ってきた。
凡夫であることが、まさかかような奇運を引き寄せることとなるとは。
「……これを己が徳と驕らず、より一層気を引き締めていかねばな……」
脳裏でつぶやき、私はいかにすれば黒厳がその采配を振るえるか、そして既に珍重している家臣たちをどう扱うか、思いを巡らせた。
※※※※
穀明の年、春巡の季節。
天下に名を知られし剣聖は、四王を拝謁し、己が主を決める。
選ばれし王は晴眼王 青玉。
四王の中で最も凡才ながら、それを自ら見通し、他者を克明に評価する澄んだ慧眼を持つ王である。
他三王から晴眼王の素質を聞いた剣聖は、己が凡才を知りつつその責務を全うした晴眼王をこそ最も王に求められたる資質を持つと語った。
真の傑物は王を選ばず。
また、自身に才なくとも他人の才を見抜く慧眼こそ晴眼王の才だとも、盟友である三王は語った。
四王物語 ~剣聖招致の章、晴眼王 青玉編~ より
冒頭の遊び詩の解説です。
造語詩です。
それらしい漢字を組み合わせた造語が組み合わさった詩です。
爛原かな訪越
氷凝りの刻
角冠りの王 剣起せり
悪しき蛇腹蝠
猛々なるかな
鍔合わせ 幾人たりと勇士 顎牙に伏せ
孤王なれど 足折らず
額断ちなりて 鬨を上げん
勇壮たりや 角冠りの王
凱歌の声を受け 剣を掲げん
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:爛々と見張られた平原を越え、
:水に氷が張る早朝、または冬の季節
:角冠りの王が立ち上がります
:悪しき蛇腹蝠|(蛇のような細長い胴体に蝙蝠の翼をもつ想像上の魔物)
:猛々しく王と勇士たちに立ちはだかります
:戦いが始まり、勇士たちは蛇腹蝠の牙や爪などによって倒されて行きます
:しかし角冠りの王は一人になっても、あるいはそれぐらい追い詰められても、諦めませんでした
:そして蛇腹蝠の額を断ち割り、戦果に鬨の声を上げます
:勇壮な角冠りの王を、
:民衆は凱歌の声をあげて迎え入れ、王はそれに剣を掲げて応えます。