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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ゲヒルンラクリマ〜脳から出る涙〜

作者: 藍原 春野


師と友人が出会ったのは高校時代らしい、師の友人はとても明るく運動神経の良く、あんまり人と話さなかった。僕からしたら相反する人柄であったと僕に語るほどであったのだ。だが師はその友人の話をする時楽しそうな表情とは逆に哀しく寂しそうで深刻な顔もする。何故かと聞くと師は話そうとはしなかったのだがある日のちょうど逢魔時、僕は師の友人の秘密を知ることになる。そして、師は語るのであった。

秘密を知ったのは友人が死ぬ2日前だった。私はその間、友人とは普通に接していたしそれこそ仲良く遊びにも出かけたものです。彼が運動神経がいいという話をしたと思います。彼は運動部で何とは言いませんがとにかく優秀でしたし、賞をとるほどの逸材でした。かといって勉強の方はというと全くできず、私が放課後や少しの時間の合間に教えているというのが彼との日々でした。2人で持っていない力を補えるという割と相性の良かったと昔も今でも懐かしいかのように心に眠っていた記憶が上昇し、頭に蘇って浮かび段々と哀しくなる。友人とはただの友達という関係でお互い深いところは踏み込まないという距離感で接していたのです。いや、私はそのつもりでいたのですが彼は違かったようです。彼に話してもらったのは彼自身の過去の話でした。それは私と会う数ヶ月前の出来事に彼が体験した話だったのです。

私が友人の話を聞く少しばかり前図書室でいつものごとく勉学に励んでいた。すると彼はいつもより普通じゃないただならぬ気色があった。「ちょっとだけ、話をしてよか?」彼はいつもなら笑いながら呑気に言うが、この時決して笑ってはいなかった。「どしたん、改まって何かあった?」私は察しの鈍い役をし、悟られずいつものように返事をした。「お前に言わんかったことあったからちょっと話聞いてくれん?」

「よかよ、でも俺もそげん暇じゃなか早めに頼むよ」

「場所を移動したばい。」

私と友人は誰もいない教室に入り、雰囲気を漂わせる。友人が中々言い出さないので私からさっきの話は何かと尋ねてみたら彼は少々ばかし固まっていた。それから待ってみると彼は過去を語り出した。私は君と会う数ヶ月前人殺しをした。悪く思わないでほしい、私は自分の身を守ったにすぎんのやから...そしてお前の身も守ったとよ...そう言って最後に謝罪の言葉を言い彼は教室から去っていった。私は動揺はしなかったがある一つの言葉に気が気で仕方がなかったのだ。彼の「悪く思わないでほしい」とはどういった意味なのか私はそれ以降ずっとその言葉に引っかかっている。4日後友人は死んだ。遺書もなければ誰も彼の死は予想していない、当然のことだ。私だけが彼の両親に知らされた。4週間が経ったある日ポストに誰宛とは書いていないが字の筆から友人だとすぐにわかった。それは私に対する謝罪の言葉と死に至った理由が書いてありました。遺書でした。

遺書の内容は<私は君の恋を応援しとった...そのつもりだったんだ、私は彼女から交際を頼まれた時お前が彼女に好意があると知っとった、せやけど彼女との交際を受け入れた...それから数ヶ月私は彼女と一線を越えるほどの関係にまでなってしまった。それまでに私は彼女の甘い声、長い髪、すべてにおいて心を許してしまった。迂闊だった。私はある日彼女の正体を知ってしまい、君に言おうが言うまいか迷ったが結局言うことはできんかったとね...彼女の正体はまるで××××のようだった君に話した時人を殺したと言ったのを覚えてるか、私は私と君の命を守ろうと彼女を殺した。君に黙って彼女と交際をしとった事殺してしもうた事などを許して欲しいがために悪く思わないでほしいと言った。だが彼女は死んでいないとよ君のことを襲ってくるやもしれん気をつけてくれ、これが読まれている頃私は私はこの世にもういないだろう...決して許されることでは無いのはわかっている、しかし決断を誤って欲しく無い身勝手なのは分かっとるがこれしか無いとよ>私は恨む暇すらも無く信じる事も出来ずただひたすら外の雷の音と暴雨の音が耳へと通り片方の耳から抜け、そして静寂すぎる自分の部屋の中で遺書を握りしめることしか出来なかった。それから数年私は家に引きこもってしまったのだ。



私は師と友人の話を聞き、聞く前に戻りたいという恐怖と謎の嫌悪感が働いた。僕の推測だが、彼女はまだ生きているに違いないと思ったのだ。友人は自殺なんかではないとわかったのは遺書に書いてあるのが本当なら彼女はまだ死んでいないという点や師を襲うかもしれない気をつけてくれという部分だ。自分も狙われているからこそ書ける文章であって、自殺する人はこんな事を書かないと私の第六感がそう告げている気がした。その時私は恐怖を覚え、もしかしたら私も狙われる可能性があると予知した途端に寒気がしてきたかのように固まってしまったのだ。私は師に引きこもっていた間と外に出ようと思ったきっかけを聞いみた。すると師は再度語った。

引きこもっていたのは2ヶ月その間何をしていたか、私も思い出したくはない。彼の遺書を何回も読み、読み返していけば行くたびに私の精神は崩壊しそうだった私は友人や私が好意をもっていた人、全ての人に対して憎悪した。これは私が私を嫌いにならない為の念みたいなものであったに過ぎないがその2ヶ月は何も考えたくは無かったのと誰とも会話をしたくはなかった。食事は摂り日々の生活は送っていたが外に出る気にはならなかっただけだ。外に出ようと思ったのは私は元々大学に行きたいが為に勉強を熱心にして自分の道へと進む為に頑張っていたその道を誰にも阻害されて欲しくはなかった...もちろん遺書などに気を取られていた私ではあったが気を取り直し大学に行くためまずは頑張ろうと思ったのがきっかけである。しかし外を出るという覚悟は生半可の気持ちで決めるものでもなく、私は行くか否か何度も自分と相談をした上で茨の道を辿ったのだ。私は怖かった。友人がいない日々、そしてそれと同時に彼女がまだ学校にいるという事実がとてつもなく不気味で奇妙で今にも嘔吐しそうなほどの吐き気、若干酸素が薄く息苦しさを痛感した。私はまだ彼女が友人を殺したと確証はないが反射的に彼女を避けて生活を送っていた。そしてそれは順調に進み今に至るという事だよ。

師は私に詳しく教えてくれたが、一点気になったことがある。彼女に好意があるとすると友人を軽蔑するほどの感情があってもいい気はするが、ここでは師は好意のある人ではなく友人の言う事を信用しすぎているのではないかとそう思えてきた。しかしこの場合は話は別で彼女は××××という疑いもある。特に色んな感情が出やすい女性に対して稀に気づかず自分がそうであるという事を自覚しないまま時が経ち自分が犯した過ちなどを忘れて都合の良いように記憶を改竄するというとてつもなく邪悪で卑劣な者がいると聞いたことはある。それは夜中ではなく丁度私たちが今話している時間逢魔時に発生するというゲヒルン・ラクリマ現象これは女性に起こる現象だが、男性にも起こった記録が過去に出ているという。しかしなぜ師は大人になるまでよくその彼女から逃げられたなと僕は感心するほどであった。師はすでに死んでいてもおかしくない状況下にいたのだからと思ったのが束の間だった。よく考えてみてほしいのだが師は死ななかった、殺されていないその理由は彼女はいつでも師の事を殺せたが今ではないという考えに至ったのだとこの時悪い勘が働き、一気に体温が冷めた...いや、でも待てよ彼女は殺さなかったのではない、殺せなかったのか殺すタイミングがわからなく月日が経って師を殺し損ねたのかという事だ。いや、流石にそこまで馬鹿ではないと思いこれは確実に彼女は師を殺せたはずなのに殺さなかった...そこが気が気でならない。もし私が師の立場であったならば即道を諦めるという人生を歩みとにかく自分の安全その次に家族とこれまでにないほどの時間を作り大切にするだろう。そうでもしないと私は精神を病みそうで怖かった。それくらい師の過去は重くそして今でも危ないかもしれないという危険と常に隣り合わせにいる人生だ。下手すれば師だけでなく私自身も危い、いやしかしいくら彼女とてこちらの会話を聞いているわけでもないため流石に私は眼中にないだろうと考えていました。

話していると師は奥さんに早く帰ってくるよう頼まれていた事を思い出したのかこの話はまた今度ゆっくり聞かせてあげようといい私の前から消えたのだった。私は師が話してくれた事を再度振り返り色々な矛盾点などを探していたが見つからず何かしらあると思い込んでひたすら探して師のまた今度という言葉を信じて必死に探していた...しかしどこも見当たらないこれは謎が多すぎるが故に何も見つからない...それとわかった事がもう一つ私がここ数日その謎を追究している間にも今度という日は訪れない事を知った...何故なら僕と話してまた今度と言ったその日のうちに師はこの世を去っていったことが後から判明する。私はこの時私自身も既に危い道へと進んでいることに気がつきはしなかった。



師がこの世を去ってから半年が過ぎた頃丁度真冬で私は師と同様外に出るのが怖くなり、嫌悪すら覚えるほどであった...。

師の奥さんであった人が僕の宅に何度も訪れてきてたみたいなのだが、私は人と会うのも拒み何度も居留守をしていたが、師の奥さんは玄関越しにお話があります。開けてください。と囁くようなか細い声で言っているのを耳にした私は流石に出ないのは失礼だと思い玄関を開けてとりあえず中に入らせることにした。

それからというものの沈黙ばかりで、話を一向に切り出そうとしないので聞いてみると彼女は少し間を開けてから話すのであった。それも内容は些か簡単で、難しかった...。「私はもう夫を無くし1人でいるのは人肌恋しいのです。しかし、貴方を好いているわけでもないのも事実、決して問題はありません。私も早く夫をなくした身...返って亡き主人に失礼を振るうような無粋な真似はしません。なので、少しの間でいいんです。少しの間だけでも私を貴方の家に置いては頂けませんか...」

簡単なことは、どうぞと言えば解決してしまうこと、難しいことは師の奥さんであることから安易にどうぞとは言えない状況下にあるということである。しかしここで断ってしまってもいいのだが、その時私は慈悲という心の感情が働いたがために簡単な方を取ってしまったのだ。それからというものの彼女は家事全般をしてくれるようになり、私はおかげで仕事にも集中出来るようなところまで精神が回復をしていったのだ。それと同時に私の心の変化もありどうやら叶わぬ恋というものをしてしまい、僕は師に悪いと思いつつ幸せだと思える暮らしを子供の頃以来だと懐かしの温もりを感じながら過ごしている。二人の生活が慣れ一ヶ月が過ぎようとしているある日の夜、私は奥さんの美貌に見惚れて心が抑えきれず抱きついてしまった...。すると奥さんは私の気持ちが前からわかっていたかのような素振りで承諾したかのように背中に手を当てそのまま濃厚な接吻をし、次第には衣服を脱ぎ、身体に触れ合い互いを感じる夜を過ごしその日以来私と奥さんは身体を交えるような関係になってしまった。時にはお互い激しく快楽に陥ってやめられない程にまでなっていったのだ...。今となっては師に懺悔の言葉も出ないくらい幸せで、私達の間に子供ができたことを墓参りもせずただただ心の底で師に感謝と謝罪の二つとで葛藤が抑えられない。子供ができても互いに愛し合い絶頂へと行く快楽は忘れられない日々であった。

ある晩私が眠気から覚め、お手洗いをしようとした時だった。いつも二人で寝るはずだが、布団に居ないので彼女の名前を呼ぶが返事はない、何をしているのか気になり見てみると子供の子守をし、そのまま寝てしまっていた。安心したところで私はまた眠りにつくことにし、疲れていたせいか最近はお昼頃まで寝てしまっている。今日は彼女が用事があるとのことで私も手が離せないが為に私の親戚の人に子供を預けたのだが、私はその手が離せない仕事ができないまでにも病に侵されていく一方で彼女が早くに帰ってきたので、看病をしてもらうことにした。

子供はしばらく預けるとしてしばらくは寝込むばかりでどんどん身がおかしくなりそうな予感がした。

彼女が少し出ている時水を飲もうとした時謎の手帳が視界に入った。見てみると男性の名前ばかりで、最初の方を辿ってみるとそこには奇妙でその時私はトイレで嘔吐してしまうほどの気持ち悪さが一瞬にしてきた。こんなことがあるはずがないのだ、いやあってはならない事態が起きたのだから私は困惑のあまり頭が真っ白になり何も考えられずただ単に恐怖心でいっぱいで仕方なが無かった、今すぐここから出たいが身体が思うように動かず自分が情けないと思った...。しかし逃げなければ危険だという思いが強く路上で野垂れ死ぬ覚悟で家を飛び出し遠くへ行こうとしたが最悪な状況になってしまった、少しばかり出たという彼女が帰り途中に会ってしまうことになるなんて...いや、今考えたら辻褄が合うってもので最初からなんでだと思っていたあの事件にはおかしな点がいくつもあったのだから。そう、彼女が事件の犯人で方では裁けないほどの恐ろしい妖怪飛縁障女なのだから...。

「ひ、飛縁障女だったんですね...最初からこの事件はおかしかった...」


「最初は貴方が慕うあの人を愛していたのにこの身も隠すつもりだった...全てはあの人の友人との今時珍しいお見合い婚をしろと言われ嫌で仕方がなかった...いずれバレることだったわ」

逃げる術はもう私には残っていないが、ここでこの事件を終わらせるいい機会でもあるのは事実だ。私が動かないで誰が動こうなどと愚問をする余地もないくらいだ。自分殺されてもいいという必死の覚悟で用心として持っていた包丁で殺せるとは思えないが試してみる価値はあると思い振ったが、私ももう力が残っていないほどに今考えると身体を交えたのも私の精気を吸って身を滅ぼす為であったと考えられ

る。飛縁障女正確には飛縁魔だが、妖怪は逢魔時に出ると言われるそれが今逢魔時だった。飛縁魔は外見は美しく、その魅力で男を誘惑し身を滅ぼすという言い伝えのある妖怪だ。

説明は置いといて、私の最期の希望の刃は彼女いや、妖女に刺さってたみたいだ...見事に急所だったらしく、妖女も動く術をなくし狼狽えてる姿で、最後に心臓辺りを意識がある前に刺してと考えてるうちに私はもう意識がなく、あの世のものとなっていった。最後に私が放った言葉...「私達は〇〇だったんだね」


あの事件から18年が経ち、美しい顔立ちの女性がいるという噂が相次いだという......。彼女の名前は...。



短編とは少し違うかなとは思ったのですが、上中下を3回に分けるのは嫌だなという思いで、まとめてしまいました。


読んで頂ければ幸いです。

よろしくおねがいします。

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