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デモンズハンド 〜前世で貰った神の手は、異世界では魔神の手になっていた〜  作者: 明生 勇里
第1章 神の手を失った俺は、魔神の手と異世界を知っていく
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第4話 狂乱の宴

結局、長くなってしまいました。

 シャムシールが、杯を掲げて、宴の始まりを告げた。盗賊達も杯を掲げて、声を揃えて返事をし、杯を乾かす。空になった、金属製の杯を床に叩き付ける音が、次々に聞こえる。


 壁際に立たされていた、女や子供は、それを見て、盗賊達に、二杯目の酒を注ぐ。盗賊達は、おかわりの酒を嬉しそうに飲みながら、並べられた料理も食べ始めた。


 女や子供は、酒を注いだり、空になった皿を下げたり、新しい料理を持ってきたりと、誰一人食事にありつけていない。例外として、シャムシールが侍らせている左右の女達は食事をしているが、身分や立場が違うのだろう。


 隣のザボはと言うと、ガツガツ、ゴクゴクとフードファイターを思わせる勢いで飲み食いしている。小柄な身体のどこに入っているのか不思議だ。あ、でも、こいつ俺と砂漠を数時間歩いて、飲まず食わずだったか。少し合点がいった。


「シェイド、さっきから何も手を付けていないようだが、どうした?」


 女を侍らせながら、楽しそうに食事をしているシャムシールが俺に問いかける。


「歓迎してもらって、ありがたいが、生憎満腹でね。でも、楽しませてもらってるよ」

「そうか、まあ、夜は長い、腹が減ったら食べてくれ。ザコは、シェイドと違って、良い食いっぷりだな」

「ジャボでふ!」


 口の中をいっぱいにしたザボが、名前を訂正するが、シャムシールには届かない。まあ、ザボのことは、どうでもいいのだろう。


 シャムシールの横には、盗賊達が代わる代わる酌をしに現れ、自分を売り込んでいる。話しを聞いていると、9番隊まであるみたいだ。何故か1番隊と2番隊を名乗る盗賊は現れなかった。


 空になった皿が目立ち始め、宴会も終盤を迎えると、ようやくシャムシールが俺に話し掛けてきた。


「シェイド、いくつか聞きたいんだが、お前、今日の昼にオアシス村近くの砂漠で、3番隊と遭遇したと聞いている。昨晩は、オアシス村に立ち寄ったか?」

「いや、立ち寄ってないが、どうしてそんなことを聞く?」

「そうか。では、人違いか。昨晩、俺は、オアシス村に、1番隊と2番隊を夜襲に向かわせたんだが、人数を減らして、銅貨1枚すら持たずに、帰ってきたんだ。黒いローブを着た魔神の落とし子にやられたってな」

「ほー、オアシス村に、俺と似たような奴がいたのか。でも、それなら戻ってきた奴らに俺かどうか確認すれば済む話じゃないのか?」


 シャムシールが、直接聞いてきた理由はわかっていたが、俺は逃げ帰った生き残りについて聞いた。シャムシールは、持っていた杯を床に置いてから、鋭い目つきで俺を見つめる。


「敵を前にして逃げるようなゴミムシは、盗賊失格だ。俺が全員始末したよ。だから、黒いローブを着た魔神の落とし子がお前かどうかは、分からない」

「はははは、人違いだろ。で、もし俺が、そいつだとしたら、どうする?」

「もちろん、殺す!殺して、魔神核(コア)を頂く!野郎共!こいつをぶっ殺せ!」

「うお、マジか!多勢に無勢ってやつか」


 盗賊達に、号令を出すとシャムシールは、後ろに下がり、俺の前から姿を消した。酒に酔った盗賊達で、俺を始末できると思っているらしい。さてさて、魔神核コアって、何かね。


 手柄を上げようとした盗賊達が、我先にと料理の並べられた絨毯の上を皿や酒を蹴り飛ばしながら走ってくる。ザボは、あっけらかんとして、俺の横に座ったままだ。


「灰になりたい奴から、かかってこい!」


 俺は、啖呵を切って、左手で手招きをする。すぐに料理の並べられた絨毯を右手で触れる。テーブルクロス引きのように、何十人もが、踏みつけている絨毯を引き抜いて、一斉に転ばせる。


 なんて、スーパーマンのような芸当はできないが、俺には絨毯を持ち上げるだけで充分だ。


 俺が触れた場所から、絨毯に黒い靄が広がっていく。絨毯から、並べられている皿や料理へ、そこから盗賊達の足元へと広がり、俺に辿り着く前に盗賊達は灰になっていく。


 途中で、黒い靄の浸食に気付いて、絨毯から飛び退いた奴らと出遅れた奴らを残して盗賊達の半数は灰に姿を変えた。


「ザボ、死にたくなければ、向かってくるな。俺は、お前を友達だと思ってる」

「んぁぁぁ!シェイドと俺、友達?」


 隣に座ったままの、ザボに声を掛けて、俺は襲ってくる盗賊達に手を伸ばす。ザボは、口をパクパクさせながら、大広間から出て行った。よし、それでいい。


 剣を振り回し襲ってくる盗賊に斬りつけられながらも、俺は、一人づつ確実に灰に変えていった。触れられたら死ぬと分かっていて、こいつらは何故襲い掛かってくるのだろう。


 この世界に来たばかりの俺は、武器を持った男達に恐怖して、身を震わせたが、今は大分慣れてきた。肉を切らせて骨を断つの覚悟で、鬼ごっこのように触れていけばいいだけだ。逃げ惑うのではなく、相手から近付いてくるのだから、こんな簡単な鬼ごっこは無い。


 しかし、人数が減るにつれて、距離を取りながら様子を見る奴らが増えてきた。傷を負っても、すぐ治るが、ちまちま来られて何回も傷を負うのは、痛いから嫌だ。


「あ、良いこと思い付いたかも」


 名案を思い付き実行に移そうと、周囲を見渡す。うん、沢山落ちてる。盗賊達が暴れまわった大広間には、皿や酒瓶、料理、灰にならずに床に取り残された短剣などの武器が散乱している。


「それ、それ、それ、それ、来ないなら、こっちから行くぞ」


 右手で、散乱している物を拾い上げ、盗賊達に投げつける。俺の右手から離れた投擲物は、黒い靄に包まれながら、盗賊達に向かって飛んでいく。


 取り皿など小さな物は、当たる前に灰となり消えてしまうが、豪勢な料理を盛りつけられていた大皿や、酒瓶、片手剣などは黒い靄に包まれたまま、数人の盗賊に当たった。黒い靄は、盗賊の身体へ浸食して灰と変えていった。


「おぉ、大成功じゃん。よし、じゃんじゃん、行こうか」


 灰になる前なら、黒い靄は燃え移る。これなら、肉を切らせず、骨を断つができそうだ。俺のボールコントロールは、いまいちだが、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるで行こうと思う。


 順調に、盗賊達の数が減り、残るは、あと六人だ。お、3番隊副隊長ラップ殿が残っている。部下に戦わせて自分は、隠れていたパターンかな。


「おいおい。たかだか、一人にやられてんのかよ。ラップ、行け」

「お、お頭!す、すみません、お前ら、一斉にかかれ!」

「は、はい!」


 雲隠れしていたシャムシールが首から下に白く輝く全身鎧を纏い、身の丈と同じ長さの大剣を背負って現れた。副隊長ラップは、シャムシールに命じられても、己は戦わず、残っていた五人の下っ端盗賊達に命令を出した。


 勢いよく五人が襲い掛かってくる。大広間の床に散らかっていた俺の新しい武器達は、もうネタ切れだ。ゴミ拾いし過ぎて、すっかり床はキレイになってしまった。仕方が無いので、肉を切らせて骨を断つスタイルで、右手を出して、盗賊達を灰に変えていく。


「あー、痛たい。素手の人間を囲んで斬りつけるとか、どうかしてるぜ」

「魔、魔神の落とし子が、何を言う!!!」

「ほら、次、副隊長さんの番でしょ。ばっちこーい」

「ひ、ひぃ」


 残された副隊長ラップを名指しするが、剣を抜くどころか、後退っている。


「ラップ、お前の番だ!」


 シャムシールが、大剣を両手に構え、俺を指差す。ラップは、シャムシールに一瞬顔を向け、俺に向き直り剣を構える。


「ひひぃぃぃぃぃ!」


 シュ! ザッ! 


「な、何を……」


 風を切るような音がしたかと思うと、突然ラップが背中から血飛沫を上げて倒れた。ラップの後ろには大剣を軽々と振るうシャムシールの姿があった。


「俺の命令をきかない奴は、いらん。あー、シェイド、お前のせいで盗賊団を一から作り直しだ」

「うーん、俺のせいかね?俺は、生きるために抗っただけだ。まあ、グチャグチャにされても死なないみたいだけど」

「良いことを教えてやろう」

「おぉ!なになに?教えて教えて!」

「お前は、死ぬ。魔神核(コア)を失えばな!」


 シャムシールは、良いことを教えてくれた。魔神核コアを失うと俺は死ぬらしい。魔神核(コア)って、なんやねん。


「うーん、とりま魔神核(コア)って何よ?」

「ふはははは、これは良い!シェイド、お前は、何も知らないんだな。魔神核(コア)とは、魔神の力を生命に分け与えている核だ。力の源泉だ」

「なるほど。それを失うと死ぬわけだ。で、どうやって壊すわけ?」

「こ、壊す?馬鹿を言うな!俺が、貴重な魔神核(コア)を破壊するわけがないだろう。愚かなシャイン騎士団と一緒にするな。お前から、切り離し奪い、己が力とするんだ!」


 なるほどなるほど。女神派閥の騎士団もいて、そいつらは正義の味方で、魔神の力は許さないってやつか。で、シャムシールは、魔神の力を奪って世界征服目論む悪人ってやつか。


「分かった分かった。で、どこをどうやって切り離して、魔神核コアを奪うわけ?」

「この女神の力を授かった大剣で、お前の右腕を切り落とすだけだ」

「マジか、それはヤバそう」

「いくぞぉぉぉぉ!」


 俺の殺し方、講座を終えるとシャムシールは、地を蹴って、大剣を両手で構え、突進してくる。バッファウロ顔負けのスピードだ。


 真っ直ぐ突っ込んでくるシャムシールを、闘牛士のように、ヒラリと躱す。シャムシールの背後に回って、右手で真っ白な鎧に触れる。終わりだ。


「痛っ!」


 突然、掌に焼けるような激痛が走る。右手で触れたシャムシールの鎧は、いつも通り黒い靄に包まれているが、周囲に白い光が集まって侵食を防いでいる。


 痛みが走った俺の右手も白い光で包まれながらも黒い靄が光を飲み込むように動いている。少しすると、鎧の黒い靄も、俺の右手の白い光も力を相殺するように、消えていった。


 シュッ! ザッ! ドンッ!


 掌を見つめていて、体勢を立て直したシャムシールに、気付くのが一瞬遅れて、俺の右腕を白い剣先がかすめた。


 大剣が、床にヒビを入れて突き刺さっている。


「これまた、痛い」

「どうした、自慢の力が効かなくて動揺したか?」


 シャムシールは、余裕の表情で、大剣を床から抜いて、再び両手に構える。


「何故、鎧が灰にならぬか、何故、腕の傷が治らぬか。疑問に思い動揺しているのだろう?」

「うぉ、腕の傷治ってない。何で?マジで、殺られるパターンか」


 今まで、傷を負っても、少し痛みに耐えれば、自然治癒されていた。グチャグチャにされても再生した経験から、不死身の身体だと思っていた。でも、シャムシールに斬られた腕の傷は、ズキズキと痛み続けて治らない。


「俺の鎧も大剣も、女神の力を授かった女神核(コア)から作られている」

「それだけ聞ければ充分だ」


 女神シャインと魔神シャドウの関係から考えれば、すぐにわかることだ。魔神の力を持った俺を、唯一、殺せる力が女神の力ってわけだ。光の力に闇は勝てないって、王道パターンか。


「いくぞぉぉぉぉぉぉ!」


 シャムシールが、大剣を上段に構えて、地を蹴り、間合いを一気に詰める。俺の右肩へ真っ直ぐ大剣が向かってくる。さっきまで手を抜いていたのかと思うほど、恐ろしい速さで剣が振り下ろされる。


 ヒュン! ザクッ! ゴトッ……


「いっ、うぉぉぉぉぉぉぉ、痛い痛い痛い痛い痛い」


 右肩から大量の血が噴き出して、焼けるように熱い。足元に、肩から切り離された俺の右腕が転がっている。俺は、痛みに耐えきれず、膝を付いて倒れこむ。


「シェイド、弱いな。弱過ぎる。そして、強い俺にこそ、この腕は相応しい」

「あぁぁぁぁぁ、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 シャムシールは、俺の腕を拾い上げ、嬉しそうに見つめている。


「やったぞ!遂に、魔神の力を手に入れた!これで、俺も神になれる!」

「んぁぁぁ!シェイド!大丈夫か!?」

「ん、お前は…… ザコか、丁度いい、こいつに止めを刺せ」

「んぁぁぁ!ザボです!お頭!え、シェイドに?」

「あぁ、こいつを殺れば、今日から、隊長にしてやる。さぁ、殺れ!」


 倒れている俺の前に立ち、ザボは、腰から剣を抜く。俺の首元に剣先を構えるがカタカタと震えている。


 どうせ殺されるのなら、苦しまないようにして欲しい。しかしながら、震えが止まらないザボでは無理そうだ。


「んぁぁあ!」


 ザボの剣が、視界から消えて、振りかぶられる。よしっ、その勢いなら、あんまり痛くないかも。頑張れ、ザボ!


 キンッ! ボトッ


 なんだ、魔神の力で、身体が硬化したのか?聞こえてきた金属音に疑問を投げかける。


 顔を少しあげると答えが帰ってきた。俺の首に振り下ろされるはずの剣は、シャムシールの右腕に振り下ろされていた。


 聞こえてきたのは、ザボの剣とシャムシールの真っ白な籠手がぶつかりあった金属音だった。


「ザコぉぉぉ!何をする!?」

「んぁぁあ!俺はザボだ!と、友達を殺せるわけないだろ!」

「ふっ、魔神の落とし子と友達ごっこか、おめでたい奴だ。では、お前から消えろ!」


 シャムシールは、大事に持っていた俺の右腕を床に落として、大剣を両手で構え、ザボに振り下ろす。


 ザボは、震えた手で剣を構えて、大剣の一撃に耐えようと剣を合わせる。シュッ!カキンッ!ザッ!


 三つの音が続けて聞こえて、剣を折られたザボが、大剣に身体を大きく斬られて血飛沫を上げて、俺の横に倒れ込んだ。


 シャムシールは、大剣を床に突き刺すと倒れたザボの身体を何度も踏みつける。


「俺の命令を聞かない奴は、いらないんだよ!ザコのくせに、ザコのくせに、俺に刃向かいやがって!」

「ぐっ、うっ、がっ」


 踏みつけられる衝撃で、ザボが声を漏らす。


「や、め、ぉ」

「はぁ?何だって?魔神核コアを失った死に損ないも友達ごっこか?」


 俺は、サボを踏みつけるシャムシールの足を左手で掴んで声を漏らした。


「やめろって、言ってんだよ!」

「な、は、離せ!この死に損ない!」


 シャムシールは、掴まれた足が黒い靄に包まれ侵食されるのを見て、俺の左手から逃れようとする。


 慌てて床に突き刺した大剣を引き抜き、俺の左手に振り下ろす。左手は、切断されたが足を掴んだままで、黒い靄は消えていない。


「この、この、離せ!離れろ!」


 シャムシールは、大剣を何度も俺の左手に振り下ろす。グチャグチャにされた、左手が足から離れるが黒い靄の侵食は、止まらない。


「いってぇーなぁ。切られたところをグチャグチャにされるのも気分が悪いわ」


 起き上がり、一連の流れを見ていた俺は、シャムシールに話しかける。


「な、何故だ!魔神核コアを失って、何故、力を使える!?何故、立ち上がれる!?ぬぁっ!」

「あ、分かっちゃった?答える手間が、省けたか」


 繋がった右腕を見つめながら、シャムシールに答える。ミンチにされた左手も少しづつ再生が進んでいる。


「だいじなもの、落としたらダメってママに教わらなかった?シャムシールちゃん」

「ふん、右手を取り戻して良い気になってるみたいだが、もう一度斬り落とせば、いいことだ!」

「どの剣で斬り落とすって?」

「何を言っている、決まっている!この女神の大け、なっ、なんだこれは!」

「お前の負けだ。灰になれ!」


 黒い靄に包まれて灰になっていく大剣に、ようやく気付いたシャムシールに近付き右手で、奴の肩に触れる。


「やっ、やめろ!はな、離せ!」


 慌てて大剣から手を離したシャムシールが、俺を突き飛ばす。


「何慌ててるんだよ。自慢の女神の鎧で、俺の力は効かないんだろ?」

「うわ、お、俺の手が、うわぁ!止まれ!止まってくれ!」

「無駄だよ。もう止まらない。苦しみながら灰になれ!」

「た、たずげでぐれー、か、かみになりた、かっ、た」


 黒い靄に全身を包まれたシャムシールは、灰となって消えた。


 何度か俺の身体に触れると黒い靄の侵食を防げずに灰となった女神の鎧と大剣は、万能ではなかったみたいだ。


 一方、切られてもくっつければ治る俺の右手は、万能だな。


「ザボ!生きてるか!?」


 大量に血を流し倒れているザボに声をかける。


「シェ、シェイド、強いな。無事で良かった」

「ま、まぁな、お前は、無事じゃ、ないみたいだけど、薬とか魔法でパァーッと治せるだろ?」

「は、詳しいな。シェイド。そうだ、パァーッと治るさ」

「よし、宝物部屋とかにあるのか?取ってきてやるよ!」

「ありがとう。シェイド、俺の初めての友達。嬉しかったよ」

「あぁ、これからも、友達だ。二人で、なっ、ザボ、なにする!?」


 重傷のザボは、震える手で俺の右手を握ってきた。黒い靄に包まれ、ザボが灰になっていく。


「は、はは。もう、手遅れだから。友達の手を握って、死ねるなんて。カッコいいだろ?」

「ふ、ふざけるな!何言ってんだよ!」

「シェイド、おかげで苦しまずに死ねる。じゃあな!」

「お、おい!ザボ!待て!ふざけ、る、な」


 俺の右手を握ったまま、ザボは、黒い靄に包まれて灰になった。


「な、なんでだよ!くそ!くそ!くそ!ふざけるなー!!!」


 灰になったザボが、右手からこぼれ落ち消えていく中、俺は一人、冷たい床に座して、怒りを撒き散らした。


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