2年D組 VS 2年E組 ①
作者の力量不足で設定や説明がかなりガバカバな部分があると思います。
読んでいて楽しくなるような文章が書けるよう日々模索しています。
よろしくお願いいたします。
ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ。早朝、アラーム音が部屋中に響く。
「ん~」
目を開けずに感覚で6時にセットした目覚まし時計のアラームを止める。もう6時なのか…………眠い。
「おはようございます千尋様。起床の時間です」
目を開くと見えるはずの天井ではなく、鵜久森の顔が目の前にあった。
「…………鵜久森」
「はい何でしょうか?」
「………………近い」
「お気になさらず」
いつもと変わらないやり取りが終わる。今日はD組との試合当日だ。
やはり当日というのは独特の緊張感というかそういうものがある。運動会とか文化祭とかと似ている気がする。自分たちがやって来たことを存分に披露する場があるというのはぐぅぐぅ…………。
「二度寝は駄目ですよ千尋様」
この後鵜久森に布団から引きずり出され、学校には余裕を持って登校することができた。
ありがとう鵜久森。
◆
この日の授業が終わり放課後、ついにD組との試合をする時がきた。
「じゃあ皆、ユニフォームに着替えたら“レプリカ校舎”前に集合でお願いします。男子はこのまま教室で女子は更衣室で着替えてください」
⚫試合には専用のユニフォームがある。ユニフォームと言ってもそんな大層なものではなくクラスTシャツと短パンorジャージだ。
クラス毎に色が異なりA=赤、B=青、C=黄色、D=緑、E=紫となっている。短パンとジャージは統一で紺色だ。
このクラスTシャツと短パンは特殊な加工がされていて魔法を受けても破れることもない。なので熱田みたいに辱しめを受ける心配もない。
⚫試合を行う舞台は“レプリカ校舎”だ。九象麻高校には本校舎とレプリカ校舎がある。
“レプリカ校舎”は試合専用であり、本校舎と瓜二つの造りとなっている。試合で備品等を壊しても次の日には何故か元通りになっている。何でも校長が何かやってるとかいないとか。
この服に着替えると今から特別なことをやるぞというワクワク感が湧いてくる。
「神宮寺、早く着替えて行こうぜー」
熱田はもう着替え終わっている。どうやらプールの水着みたいに制服の下にもう着ていたようだ。
「すぐ着替える」
着替えも終わり、教室の鍵を閉め皆レプリカ校舎に集合した。もうD組も集まっている様子だ。
まだ試合開始まで時間があるので皆談笑をしているとジャージ姿の二川先生が走ってこちらに向かってきた。
「ごめーん待たせた待たせた。中々仕事が終わらなくて」
よほど急いで来てくれたのだろう、肩で息をしている。
「はあはあ…………あー疲れた」
「二川先生、早速……」
「えーちょっと休憩させ……あっ皆待ちきれないのね。わかったやろうか」
二川先生の前に各クラスの委員長が集まる。
「今回の試合の審判を勤めます二川です。よろしくー」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いしますっ!」
二人とも気合い満々の様子だ。
「今回の試合は“全滅戦”ね。制限時間は“60分”。戦闘不能の判断は私、二川が判定しまーす。戦闘不能と判断された生徒は保健室に魔法で転送されるからね。あと自ら降参することで戦闘不能としても認めるから」
「わかりました」
「勝敗はどちらかクラスの生徒が全員戦闘不能になる、制限時間内に決着がつかなかった場合は残っていた人数が多い方のクラスの勝ちとします。ここまでの説明は大丈夫?」
「問題ありません」
ここまでは“普通の全滅戦”の説明だ。
「今回の試合E組が勝ったら熱田くんたち6人の制服弁償、D組が勝ったら荒木さんたちへの慰謝料として6カ月間学食を奢る。これで間違いない?」
「はい間違いありません」
改めて聞くとどちらも学生のお財布事情には厳しい条件だな。
「よし。じゃあスタート位置を決めるので…………半田くんからくじ引こうか。はい急遽作ったアミダくじ」
あのくじにはA~D校舎の1~4階と書かれており、くじ引きでどの校舎の何階からスタートするかを決める。
半田くんが二川先生手作りのアミダくじを引く。
「B校舎の2階です」
「次、栄生引いてー」
……B校舎2階か。できればB校舎から距離があるAかD校舎がいいな。スタート位置の校舎が近いとすぐに戦闘開始になってしまう可能性が高い。
「A校舎の2階です」
よしA校舎だ。スタート位置はくじ引きの結果、E組かA校舎、D組がB校舎になった。A校舎からB校舎まではかなり距離があるので、すぐに戦闘開始ということは避けられそうだ。
「D組がB校舎2階でE組がA校舎2階ね…………。じゃあ今回の試合の範囲はAとB校舎の2、3階だけにしよう。範囲から体が全部出たら強制退場ね」
二川先生が今思い付いた追加ルールを発表する。
⚫これは“審判ルール”というものだ。審判をしてくれる先生によってこのルールは異なる。
今回だと試合のできる範囲を狭くする、広くするだ。先生によっては複雑なルールを追加する人もいる。
二川先生は基本シンプルなルールしか追加しないので予測しやすい。
「体のどこか一部が触れていたらセーフですよね」
「もちろんもちろん。他に質問は?」
二川先生が二人の顔を見る。
「ありません」
「大丈夫です」
「オッケー。じゃあ最後に握手でもしようか」
「よろしくな栄生。俺たちは正々堂々E組に勝つ」
「そう。もうお金の準備はしてあるの?」
「負けないからしていない。お前たちの方こそ用意してるのか?」
「今月は皆、金欠だからしてないわ」
握手が終わり、二人が自分のクラスのもとへと帰っていく。
「お互い配置に着いて、10分後、15時40分にスタートします。お互い正々堂々と試合に挑んでくださーい」
二川先生はそう言うと審判室に向かって行った。俺たちも栄生さんを先頭にスタート位置へと向かう。
□ D組side(半田燃視点)
各自準備運動などをして体をほぐしている。…………そろそろ時間だな。
「よし円陣を組むぞっ!」
みんなが円になり肩を組む。
「絶対勝つぞーーーーっ!」
「「「おおっーーーー!!!」」」
クラスの士気が上がる。俺は試合前の円陣でみんなの心が一緒になっているこの瞬間が堪らなく好きだ。
「必ず勝つからな荒木」
「えっ……う、うん」
この試合は荒木のためにも負けられない。
□
◆ E組side
「よっしゃっー! 燃えてきたぜっー!」
「熱田うるさい」
「よっしゃーーーー!!」
「うるさいっ!」
本番になり、みんなワクワクしているようだな。普段より声が大きい気がする。
「みんな集合してくださーい」
みんなが集まり円になる。
「それじゃ委員長、一言頼む」
「わかったわ」
隣にいる栄生さんが一つ咳払いをする。
「D組を二度とE組に逆らえなくしましょう」
「D組、ぶっ殺ーー」
「ストップ。栄生さん、その掛け声は駄目。健全にいこう」
「わかったわ。じゃあーー」
「D組、ボッコボコにするぞーー」
「「「おおーーーっっっ!!」」」
クラスの士気が上がったのはいいが、今度掛け声もミーティングに入れる必要があるかもしれない。
『えーテストテスト。今から2年D組と2年E組の試合を開始します。……よーいスタート!』
読んでいただき本当にありがとうございます。
誤字・脱字があったら申し訳ありません。
これからも日々努力していきます。