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ミーティング①

作者の力量不足で設定や説明がかなりガバカバな部分があると思います。




読んでいて楽しくなるような文章が書けるよう日々模索しています。




よろしくお願いいたします。

 急遽決まったD組との試合まであと2日。放課後にも関わらず教室には多くの生徒が残っている。


「今からD組との試合に向けてミーティングを行います」


 黒板の前でそう言ったのは栄生さん。副委員長の俺も栄生さんの隣にいる。


「まず今回の試合方式は“全滅戦”よ」


 『全滅戦よ』と言われても九象麻高校の生徒以外が聞いたら頭がポカーンだろう。

 試合形式には“全滅戦”“王様戦”“対象戦”の3種類がある。


 ⚫対戦相手のクラスメイトを全員戦闘不能にするシンプルなルールの“全滅戦”。


 ⚫クラスの中で一人王様を決め、お互いに王様が誰なのかわからない状態で開始し、王様を相手より早く戦闘不能にした方が勝ちというルールの“王様戦”。


 ⚫学校側が校内のどこかに隠したオブジェを相手より先に壊したクラスが勝ちというルールの“対象戦”。


 今回の試合形式は“全滅戦”である。つまりD組全員を戦闘不能にすれば俺たちの勝利だ。


「それで今回の作戦なのだけれど」


 チョークを手に取った栄生さんが黒板に文字を書き始めた。えーとなになに『モーゼの十戒作戦』?


「私が半田くんをスムーズに殴れるように皆が道を作る、以上」

「「異議ありっ!」」

「却下します」

「「却下を却下しますっ!」」


 クラスの大多数からブーイングの嵐。これを(なだ)めるのは副委員長である俺の仕事である。


「静かに静かにっ! 皆さん聞いてー聞いてー聞いてくださーい! あ、あのー本当に皆さん静かにして。すいません、お願いします無視しないでください」


 この後ブーイングの嵐は数分間続き、ようやくクラスが少し落ち着きを取り戻す。とりあえず嵐を発生させた元凶の栄生さんに意見を言う。


「栄生さん、さすがに無茶苦茶過ぎるじゃないかと思うけど」

「何がかしら?」

「だって栄生さんの作戦、強引というか力業というか考えなしというか脳筋というか」

「ごめんなさい。叩いていいかしら」

「駄目です」

「そう。なら目潰しはいいかしら?」

「もっと駄目です」


 何で叩くのが駄目で目潰しがオッケーだと思ったのか不思議で仕方ない。右手をピースの形にしてジリジリとこちらに近づいてくる栄生さん。

 もう目潰しをする気満々だ。目って治癒魔法効くのだろうか。やったことがないから心配だ。


「いくら栄生ちゃんでも千尋に暴力するのはダメっ!」


 後方の席から刈谷さんが立ち上がって大きな声で止めてくれる。


「…………そうね。これじゃ本当に脳筋になってしまうわ」


 刈谷さんの声を聞いて冷静になった栄生さんが元の位置に戻って行った。

 助かった。ありがとう刈谷さん。刈谷さんに会釈をするとウインクが返ってきた。


「話が逸れてしまったけど、ミーティングをーー」

「神宮寺だけ庇ってもらえるなんてズルいぞっ!」


 ミーティングを始めようとした時、熱田が刈谷さん同様に席を立ち上がり大声を出して俺の進行を遮った。


「えっと……何が?」

「だってよ俺たちが荒木さんのお尻を揉みしだいた時、誰も庇ってくれなかったぞっ! 不公平だろ」


 それは誰も庇わないのが当たり前だと思うけど……。


「そうだそうだ。男子全員平等に庇えーっ!」

「人類皆平等」

「俺たちにも慈愛をよこせっ!」

「カモンっ! 可愛い子の愛情カモンっ!」


 熱田の発言を皮切りに男子たち(主に荒木さんに痴漢を働いた人たち)が声をあげる。


「ほら刈谷ちゃん。俺たちも神宮寺みたいに庇って」

「ごめんなさい。千尋以外は気持ち悪いから無理♪」

「「ぐべらっ!」」


 刈谷さんの返答に吐血し机に突っ伏す亡骸たち。


「そうだよ。無理に決まってんじゃん。あんたたちみたいなやつら」

「なんだとっ!」


 いけない、このままだとまた嵐がやって来てしまう。今度こそはしっかり止めなければ。


「ストップっ! 今はミーティングをーー」

「決めた。D組の前にお前たちをボコボコにしてやるっ!」

「やってみなさいよ」

「逆にボコボコにしてやるわ」

「あ、あのーちょっとミーティングーー」

「女子だからって手加減しねぇぞコラっ!」

「男子だからって手加減しねぇぞコラっ!」

「千尋ー好きだーっ!」

「ちょっとうるさいよっ!」

「もう帰っていいのー?」

「お腹空いた~」

「千尋様ファイトです」


 再び嵐がクラスに来襲してきた。皆が一斉に言い出しているから誰が何を言っているのかさっぱり聞き取れない。

 お願いだからミーティングをさせてください。





 ◆





 騒ぎ疲れたのかようやく静かになったのでやっとミーティングが始まる。


「本当はD組の生徒全員をデータにして対策を練りたいけど、騒ぎ過ぎたせいでそんな時間もないのでとりあえず注意人物を2人だけ」


 栄生さんからアイコンタクトが送られる。昨日徹夜で作った資料を黒板に貼る。


「まずはこの人、D組委員長の半田くんよ」


 2年D組のクラス委員長半田(ねん)くん。

 今回熱田たちの制服を燃やした張本人。クラスメイト想いの熱血男子。クラスメイトの荒木さんに好意を寄せている。


「半田の先祖って何の魔族なの?」


 大江さんが手を上げて質問をする。


「えっと確か火のやつじゃなかったけ」


 頭に浮かんではいるみたいだが名前が出てこない熱田。ここで答えを言うのは簡単だが、せっかく考えてくれているのでヒントだけを言うことにする。


「ヒントは最初の文字が“さ”で始まる魔族です」

「火を使う“さ”の付く魔族…………さ……さ……わかったっ!」


 手をぽんっと叩く熱田。どうやら閃いたようだ。


「サラダバーだっ!」

「そんなヘルシーな名前の魔族はいないだろ」


 どうやら熱田は飲食店での提供方式の名前を思い出しただけのようだった。

 そんな熱田の答えを聞いて笑っている大江さん。


「ぷぷぷー。違うよ熱田、正解はサスペンダーだよね友愛」

「そんなどこぞの名探偵の服装みたいな名前の魔族はいないわ」

「うそっ間違えた」


 大江さんの答えに栄生さんが冷静につっこむ。大江さんは顔を真っ赤にしている。

 周りを見てみるとこの二人以外はもう正解を思い付いているようだ。


「さ、さ、さ………ま、待って。もうここまで出かかってるから」

「さ、さ……うーん…………あっ! 思い出したぞ“サラマンダー”だっ!」

「「「おおぉ~~」」」


 教室中で拍手が起こる。みんな二人のこと馬鹿にし過ぎではないだろうか。という俺も拍手をしているが。


「それっ! “サラマンダー”っ!」

「そう。半田くんは“サラマンダー”の子孫よ」


 “サラマンダー”は火を操る魔族である。

 火の魔法を使わせたら半田くんは学年で一、二を争うと言われるほどの実力者だ。


「サラマンダー………」


 サラマンダーと聞いて鵜久森の表情が暗くなる。


「今回の試合、私はお役に立てないかもですね」


 充分に鵜久森も強いのだが、鵜久森にとって“火”というのは難敵なのだ。

 普段はクールで表情が読みづらい鵜久森だが今は目に見えて落ち込んでいる。


「そんなこと気にしなくていい。鵜久森は鵜久森ができることをやればいいんだから」

「…………ありがとうございます千尋様」


 良かった、いつもの鵜久森に戻ったようだ。


「正直、半田くんに対策はないと言っていいわ。あの強力な炎魔法を完璧に防げる人はうちのクラスにはいないのだから」

「「「…………」」」


 栄生さんの言葉を聞き、クラスが暗い雰囲気に包まれる。


「でも…………必勝法があるわ」

「「「その言葉を待ってましたっ!!」」」


 一気に雰囲気が明るくなった。表情の起伏が激しいクラスだな。


「魔法以外は大したことないから、どこかで隙を作って直接ボコボコにできれば勝機がある」

「…………それが難しいじゃないのか?」


 熱田の言う通りだ。それができたら苦労しない。


「そこについては神宮寺くんが既に対策を練ってくれているわ」

「えっ」


 聞いてないぞそんな話。栄生さんの顔を見ると表情一つ変わっていない。

 ここは絶対に言うべきだ。何も考えていません、栄生さんの嘘ですって。でないと本当に対策を練らないといけなくなってしまう。


「皆聞いてください。栄生さんは嘘をーー」

「さすが千尋様です」

「千尋カッコいいっ! 惚れてたけどまた惚れた」

「よっ2Eの頭脳(ブレーン)


 皆から期待の眼差しが向けられている。これは何も考えていないなんて言えない。

 栄生さんはこの状況を予測していたのか。恐ろしい人だ。


「……もちろん。あと最終調整して明日には皆に発表できると思う」

「「「おおぉ~~」」」


 栄生さんも「おおぉ~~」と言っている。今日も徹夜で頑張らないといけない……。




読んでいただき本当にありがとうございます。




誤字・脱字があったら申し訳ありません。




これからも日々努力していきます。

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