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メイド参上

作者の力量不足で設定や説明がかなりガバカバな部分があると思います。




読んでいて楽しくなるような文章が書けるよう日々模索しています。




よろしくお願いいたします。


 栄生さんと別れた後、急いで自宅に帰る。学校から歩いて15分ほどで走ったので10分くらいで到着した。


「お帰りなさいませ千尋(ちひろ)様」

「ただいま。身体はもう大丈夫なのか鵜久森(うぐもり)?」


 自宅の自室のベッドに横になっているのは俺の家政婦兼クラスメイトの鵜久森だ。

 今日は発熱のため学校を休んでいた。


「充分に休息も取れたので熱の方も順調に下がっております、問題はありません」

「それは良かった」

「本日は学校を休んでしまい、ご一緒にできず申し訳ありません。明日は行けますので」

「そんなに気にしないでほしい。そうだ冷えピタと氷枕を替えようか」

「何から何まで申し訳ありません」

「いいさ。そういえば今日は刈谷(かりや)さんも休んでたぞ。風邪だそうだ」

「左様ですか。………………ちっ」

「ん?」

「どうかされましたか千尋様」

「いや。今舌打ちのようなものが聞こえたような」

「いいえ。ちゅと言ったのです。ちゅー」

「そうなのか、よくわからんけど」

「………………」


 フグみたいに頬を膨らませる鵜久森。良くわからんが怒っているのか?


「ところで父さんは?」

「スーパー銭湯でアルバイトと仰っておりました。夜も遅くなると」

「今日もアルバイトなのか、申し訳ないな」

「はい。将彦(まさひこ)様には頭が上がりません」

「そうだな」


 俺が高校1年生の頃、些細な喧嘩から発展し両親が離婚した。

 金持ちの母さんは俺と妹を引き取ろうとしたが、それをしてしまうと何もできない父さんが生きていけないので俺が父さんに付いていくことなった。それでは心配で夜も眠れないと何故か鵜久森も付いてきた。

 当初は無職の父さんでは養っていけないと母さんからの全面支援の予定であったのだが、父さんがプライドに関わるとそれを拒否。

 そのため家賃以外は自分達で稼ぐことになったため無職の父さんは俺たちを養うため毎日アルバイトに明け暮れている。


「…………よし冷えピタとか取ってくるよ」

「ありがとうございます千尋様」


 鵜久森の部屋を出て、キッチンにある冷蔵庫に氷枕と冷えピタを取りに行く。





 ◆





「なんと。私が休んでいる間にそんなことが」


 氷枕と冷えピタを取り替えた後、今日学校で起こった出来事を簡潔に鵜久森に話した。


「そうなんだよ。今日は大変な1日だった」

「心中お察しします」

「まあでも決まったものをいつまでも憂いていても仕方ないからな。いつもみたいに楽しみながら頑張るよ」

「立派なお考えです。私も微力ながらE組のために戦います」

「よろしく頼むよ」


 鵜久森は強いのでとても頼もしい。個人的には栄生さんと鵜久森の2人はE組の中では抜けていると思う。


「あー鵜久森ちょっといいか」

「はい何でしょうか?」

「今日すぐに電話に出られなくて申し訳なかった。一言でも連絡をすべきだったな」


 着信が86件もしてくれたのだから連絡をしなかったのは本当に申し訳ないと思っている。


「その通りですね」


 即答だ。少し怒っているようにも見える。でも言い訳をさせていただくと充電が少なかったのもあるが、86件も着信があると少し引いてしまって返信するのを躊躇(ためら)ってしまったのだ。



「私、心配で心配で休むことができませんでした」

「さっき充分に休息が取れたって言ってたじゃないか」

「確かに休息は充分に取れましたが、安心した状態では取ることができませんでした」


 むちゃくちゃな理論だ。何を言っているのか俺の知識不足の頭では理解ができない。


「電話じゃないと駄目なのか? メールとかならすぐにーー」

「駄目です。直接声を聞かないと安心できません。文字なんて他の人が千尋様を偽ることができますから」

「…………確かにな」

「なのでこれからは必ず電話での連絡をよろしくお願いします」


 鵜久森は俺に対して少々過保護な部分がある気がする。同い年なのにな。

 それからまた少し話していると時計の針が18時を指していた。


「もうこんな時間ですね。体もだいぶ楽になりましたので夕食の準備をします」

「大丈夫なのか?」

「はい。今日は何も千尋様のお力になっていませんので、せめて夕食は私が」

「そうか。せっかくだから俺が作ろうと思ったのだが」

「げっほげっほ。あれーまた熱が上がったかもー」

「それはいけない。急いで薬を取ってくる」


 確か解熱剤はあそこの戸棚の中のはずだ。それと水も持ってこないと。


「いいえ薬など不要です。千尋様の手料理を食べることで熱は下がります」

「そんなわけないだろう」

「絶対に下がります。むしろ食べないと上がります」

「そ、そうなのか?」

「はい間違いありません」


 鵜久森は凄まじい体質の持ち主だな。


「わかった。じゃあ作ってくる」

「愛情モリモリでよろしくお願いいたします。るんるん」

「愛情モリモリだな。任せてくれ」


 鵜久森の部屋を離れ台所へ向かう。

 台所に到着し、冷蔵庫を確認する。冷飯、卵、刻みネギ、卵、梅干し、のり、卵…………。買い物に行っていないからすっからかんだな。この食材なら雑炊でいいか。


「よし」


 まずは卵は溶きほぐす。鍋にご飯、水と出汁と愛情を入れて火にかけ、ご飯が汁を吸ってきたら溶き卵と愛情を流し入れる。あとはしょうゆで味を調える。最後に隠し味の愛情を入れてっと。お皿に盛ってのりと小ねぎを散らせば……。


「…………愛情モリモリってなんだ?」





 ◆





 出来上がった雑炊を持って鵜久森の部屋に到着する。


「おーい鵜久森、出来たぞー」


 部屋に入ると鵜久森は何故かベッドに正座をしていた。


「何で正座をしてるんだ?」

「待ちきれませんでした」


 そんなに楽しみにしてくれていたのか。それは嬉しいな。


「待たせて申し訳ない。材料がなかったし胃に優しいから雑炊を作ったぞ」


 お盆に載せた雑炊を鵜久森に渡す。


「これは美味しそうですね……では早速いただきます。あむっ、もぐもぐ」


 お手本のようによく噛み、味わっている鵜久森。


「…………ごくん」

「どうだ?」

「千尋様の愛情をとても感じました」

「そうだろうな。愛情モリモリで作ったからな」

「この雑炊ならあと3キロは食べられます」

「こらこら。お腹を壊してまた明日も休むことになるぞ」

「あむあむっ……ごくん。あむっ」

「聞いてる鵜久森?」


 高熱で休んでいたとは思えないくらいほどのスピードで雑炊をあっという間に平らげた。


「ごちそうさまでした。とても美味しかったです千尋様」

「雑炊なんて誰が作っても一緒だろう」

「いいえ。千尋様が作っていただいたものは何でも美味しいですよ」


 簡単な料理なのだがそんな風に言ってもらえるのはとても嬉しい。


「良かったら明日も作ろうか」

「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、それでは特別感が薄れてしまうのでまたの機会にお願いいたします」


 特別って……。俺が料理を作ることはそんな誕生日的なものなのか。


「それに千尋様にはなるべく私が作った料理だけを食べて欲しいですので」

「そうなのか。じゃあこれからもよろしくお願いします」

「お任せください」


 そんなに鵜久森が料理を作ることが好きだったなんて知らなかった。確かに鵜久森は料理が上手だから俺が作るよりは全然いい。


「ふぅ……ごちそうさまでした」

「えっ早くないか。いつの間に?」

「お気になさらず。大変美味しゅうございました千尋様」

「あっはい。お粗末様でした」


 確認すると雑炊があったお皿は米粒一つ残っておらずとても綺麗に食べられていた。手品みたいだな。


「さてと、俺は洗い物と父さんのご飯を作ってくるよ。鵜久森は休んでおくんだぞ」

「はい。本当に今日は申し訳ありませんでした」

「いいさいいさ気にしないでくれ。じゃあおやすみ鵜久森」

「お休みなさいませ千尋様」


 鵜久森に挨拶をし部屋を出る。父さんのご飯を作ったら、授業の予習をして寝るとしよう。

読んでいただき本当にありがとうございます。




誤字・脱字があったら申し訳ありません。




これからも日々努力していきます。



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