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最終不在着信86件

作者の力量不足で設定や説明がかなりガバカバな部分があると思います。



読んでいて楽しくなるような文章が書けるよう日々模索しています。



よろしくお願いいたします。

 色々なことがあり過ぎた今日1日の終わりをチャイムが告げてくれた。

 帰りのホームルームも終わり、皆下校をしようとしている。


「神宮寺、一緒に帰……って忘れてた。お前これから」

「ああ。栄生さんと試合申請書を提出しに行ってくるから、今日は一緒に帰れないな」


 いつもは熱田や他のみんなと一緒に帰っているのだが、栄生さんからとても熱烈なお誘いを受けたのでそちらを優先しないといけない。

 優先しなければ俺の身体に手形の穴が空く。


「そっか。申し訳ないな俺のために」

「熱田のためだけじゃない、皆のためだからな」

「神宮寺…………お前は何て良い奴なんだ」


 第一は俺のためでもあるがな。


「じゃあ先に帰るな。また明日」

「ああまた明日」


 熱田たちを見送った後、机の中に忘れ物がないかをチェックしスマホを確認する。

 不在着信が50件………………鵜久森(うぐもり)か。さっき確認したときはまだ30件だったのに。


「行くわよ神宮寺くん」

「すぐ行く」


 既に準備万端の栄生さんが声をかけてきた。

 返信は後でいいだろう。また栄生さんの機嫌を損なわせたら大変だからな。

 スマホをカバンに入れ、足早に栄生さんのもとへ向かう。


「今さら聞くけど、俺いる? 申請書に印鑑貰いに行くだけだろ」

「私のブレーキ役よ」

「印鑑貰うのに何をしでかそうとしてるんだ」

「そのためのブレーキでしょ」


 ごもっともだ。


「それじゃ行きましょうか」


 教室を出ると廊下で駄弁っている生徒をかぎ分け職員室へと向かった。






 ◆






「急だなー。どうしてまたD組と試合なんて? 今私も色々と忙しいのにー」


 職員室で自分の席で足を組みながら二川先生はいきなりの試合申請に迷惑そうな顔をしている。


「最近のD組の行動が目に余るのでお灸を据えようかと」

「えっうちのクラス怖っ。それでみんな納得してるの」

「はい」

「えぇぇ~~」


 自分の担当するクラスにドン引きしている二川先生。

 それもそうだろう。要するに調子に乗ってるからボコボコにしちゃおうという意見に満場一致なクラス…………これは引いちゃうな。


「………………神宮寺、ちゃんと説明して」

「わかりました」


 二川先生からのヘルプを受け取った俺は試合に至るまでの今回の経緯を大まかに説明する。


「なんだ。ちゃんと理由があるじゃないか安心したよ私は」


 担任としてクラスが正常であったことにホッと息を吐く二川先生。


「でもやっぱり3日後は早すぎるなー。私だって予定があるかもしれないだろ」

「予定あるんですか?」

「ないけど」

「じゃあ問題ないですね。早く承諾してください」


 試合申請承諾書を二川先生の机に置く。これに印鑑を貰えれば承諾になり、試合を行える。

 D組担任の先生の印鑑は既に押されているので、あとは二川先生が押してくれれば完了なのだが二川先生は印鑑を押してくれない。


「うーん試合するのは全然いいけど、何でも試合で解決しようとするなよ。たまには話し合いとかさ」

「話し合いよりも拳の方が効果は絶大です」

「確かにそうだけどさー。拳ばかりで解決しても将来何にもなんないよ」

「今は拳で解決できるのでそれで充分です」

「強いな~栄生は。私なんて、昨日また地元の同級生から結婚しますっていう手紙が届いてさ…………はあ心が折れそうだよ」

「それは…………」

「な、拳で解決できないだろ。これが大人の問題なんだよ」


 中々承諾してくれない疲れきった目をしている二川先生。余程昨日届いたという手紙が堪えているのだろう。大人って大変なんだな。

 これは長引くかなと思った矢先、何か突破口を思いついたのか栄生さんが動き出す。


「熱田くん達の制服弁償が今回試合申請をする理由ですが、加えて半田くんがE組の壁に壁ドンして穴を空けましたので制裁をしようと」

「えっ! イチャつきがてら壁を破壊するなんて………酷すぎじゃないか」


 …………ん? そうだったけ? 疑問に思い栄生さんの顔を見るが表情ひとつ変わっていない。

 こ、この人……壁に穴を空けたことを半田くんに擦り付けたんだ。これはさすがに訂正しないと半田くんが可哀想だ。


「すいません。壁に穴を空けたのは半田くんじゃーー」

「半田くんでしょ。そうよね神宮寺くん?」

「いや栄ーー」

「神宮寺くん」

「でもーー」

「神宮寺くん」

「…………そうでした」


 栄生さん、手をグッパグッパするの止めて欲しい。


「あと先生のこと年増で売れ残りって言ってました」

「よし承諾する。二度とそんなつまらん冗談を言えなくなるくらいボッコボコにしろ」

「ありがとうございます。では印鑑を」

「ちょっと待ってろよ」


 さらに嘘を重ねてきた。栄生さん…………恐ろしい女性(ひと)だ。


「ほい」

「ありがとうございました」


 栄生さんと半田くんのお陰で二川先生から印鑑をいただくことができた。ごめんなさい半田くん。

 とにかく試合申請書に印鑑を押して貰ったので、あとはこれを校長に提出すれば完了だ。


「審判は私でいいのか? D組の坂下先生は?」

「坂下先生はお忙しいみたいで今回は審判できないそうです」

「一応私もお忙しいんだけどな…………まあいっか。審判やるからには穴のや担任の立場も関係なく公平にジャッジしちゃうけど大丈夫?」

「構いません。むしろルールの中でボコボコにしないと犯罪なので」


 その自覚はあるのか。意外だ。


「お忙しいところありがとうございました」

「試合、楽しみにしてるから。D組をボコボコにしろよー」


 笑顔で手を振る二川先生に見送られながら、職員室をあとにした。


「私はこれを校長に提出してから帰るわ。神宮寺くんはどうする?」


 校長に試合申請書を提出するのは一人でもできる。本当に提出するだけだからだ。

 ここまで付いてきたなら本当は提出まで付いていきたいところだが。


「悪い。家に鵜久森が……」

「そういえばそうだったわね。じゃああとは私に任せて先に帰ってていいわよ」

「申し訳ない」

「いいえ。むしろ付き合わせちゃってごめんなさい。早く良くなってねと鵜久森さんに伝えておいて」

「ああ伝えとくよ」


 栄生さんと別れた後、下駄箱でスマホを確認する。


「うわっ」


 不在着信が86件に増えている。これは帰る前に一回連絡を入れておいた方が……。


「あっ」


 充電が残り2パーセント。連絡は諦めて、帰宅したら謝ろう。

読んでいただき本当にありがとうございます。



誤字・脱字があったら申し訳ありません。



これからも日々努力していきます。

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