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8.召喚士のレベル上げをしよう


 お昼前にはアルカー渓谷に到着。

「凄いです旦那さん……飛べるなんて」

「ドラゴンより速いだろ」

「はい。あ、いや、ドラゴンがどれぐらいのスピードで飛ぶのかなんて知りませんし……。でもきっと速いですね。あいつら明日出発するって言ってましたから」

「綺麗な渓谷だのう――――!!」

 奥さん大喜び。

 でもワイバーンが飛び交ってるんですけど……。

 怖いんですけど……。


「まず昼飯にするか」

「そうじゃの。せっかく来たのだし、ピクニックにするかのう」

 テーブルを出して、荷物を出して。

「ここを拠点にするから、テントも張ってしまおう」

 二人で要領よくするするとテント設営する。

 大きいのが一張り、小さいのが一張り。

「シルビスはそっちな」

 こんなサイズのテントよく売ってましたね……私にピッタリですけど。

 って、こんなとこにテント張って、ワイバーンに襲われそうです!!


「あの! ワイバーン飛んでるんですけど! こんな場所で見つかりませんか!」

「見つかってもかまわないよ。結界張るから」

「そんなことできるんですか!」

「なんにも心配いらないから大丈夫」

 二人でエプロンなんかしちゃって料理作ってます。

 ハンバーグとレタスと薄切りチーズのバーガー。それにお茶も。

 手慣れてるなあ二人とも……。ほんと、夫婦って感じ。


 ワイバーンがぎゃーっぎゃーって鳴いてる。

 怖いんですけど……。

 でも確かに近寄ってこないよね。

 なんでだろ……。

「さ、食べて食べて――!」

 こんな丘の上でテーブル出して、きれいな風景ながめてお茶して。

 すっごい贅沢な気分……。

 なんか幸せ。


「シルビス、パーティーってどうやって組むの?」

「はい、私からパーティー申請します」

「じゃあ俺にやってみて。カーリンにはやらないでいいから」

「なんでわしはやらんのじゃ」

「俺はレベルもステータスも上がらないから、俺がワイバーン倒すとその経験値は全部シルビスに入る。カーリンはまだレベルに余裕があるからカーリンがワイバーン倒すとあんまりシルビスに経験値が入らない。だから、全部俺一人で倒すほうがシルビスのレベルが上がりやすいってわけ」

「そうなのかの。じゃ、わしは寝ててもいいのかの?」

「まあはっきり言うとそういうこと」

「じゃあそうするの」

 簡単に言うけどそれってすごいことなんじゃ……。


「パーティー組めた?」

「はい。お二人は私に隷属してることになってるので、私の方で勝手にパーティーに入れたり外したりできますから」

「そっか。じゃ、食べ終わってお昼寝したら、すぐ狩りにするよ」

「はい……」

 ずっと飛んできて、疲れた……。

 食べ終わって、私用のちっちゃいテントに入る……。

 むにゅっ。

 なにこれ?

 ふわん。

 ……なんか見えない布団敷いてある――!

 なにこれ! なにこのふわふわ!

 見えない空気の布団?

 なんだこれ――!!

 これも魔法なのかしら。

 旦那さん、あなた万能すぎます。

 とろん……。

 猛烈に眠くなってきた。空、寒かったんだもん……。

 ぱたん。

 寝ちゃった……。



 ぎゃ――――っぎゃ――――っぎゃ――――!

 物凄い声で目が覚めました!

 なにごと――――!


 テントから出ると、なんか凄いことになってます……。

 ワイバーンが集まってます!

「ひいい――――!!」

「あ、目が覚めた?」

「なっなっなっ……」

「大丈夫、大丈夫。もうこれ全部捕まえてあるから」


 捕まえるって……捕まえるって……。

 11匹もいるんですけど――!!

 なんか地面の上でバタバタ暴れてるんですけど――――!!

「全部捕まえ終わったんで、結界解いたんだ」

「それで急に声がぎゃーぎゃー聞こえたのかの……。わしまで目が覚めたわ」

 奥さんもテントから出てきた。


「こ……このワイバーンどうなってるんですか?」

「簡単に言うと見えない箱の中に閉じ込めてある」

「凄っ……。そんな魔法まで使えるんですか」

「まあね」

 旦那さん、上を脱いで上半身裸です。

 すっきりしててよく鍛えられてる感じ。筋肉しなやかそう。


「シルビス、自分のステータス開いて。なにか値が変わったら教えて」

「はい。ステータス!」

 私のステータスが開く。……レベル1。情けない……。


 旦那さん、ナイフを持って最初の一匹。

 首だけ動かせるようになったワイバーンが旦那さんにブレスだのファイアボールだの連発する。

「きゃああああ――――!!」

 旦那さん全部まともに食らってるよ!

 死なないの?!

 それ死なないの?!


「魔法抵抗値上がってる――?」

「あっはい!!」

 もうカウンターがスロットみたいにグルグル回ってものすごい勢いで私の魔法抵抗値が上がってるんですけど。

 どかーん! どこーん!

 旦那さんファイアボール食らいながらワイバーンの顔ぶん殴ってます。

 ナイフ意味ないじゃない……。

 私の攻撃値もめっちゃ回ってます。


 がぶ!!

 ワイバーンが旦那さんに噛みつきました!!

「いやあああああ――――!!」

 こっ……腰が抜けた……。

 私の防御値がガン上がりしています……。

 旦那さん、噛みつかれるたびにワイバーンの頭ぶん殴ってやめさせてますね。

 何度も何度も噛みつかれてますけど、全然平気みたい。

 どうなってんのこの人……。


「……何をやっておるのかと思ったら……。マサユキもほんと丈夫じゃのう……」

 奥さんが隣に来て、私のステータスを一緒に見ます。

「ホントじゃのう! マサユキの経験値が全部お主に入るのか。こりゃたまげるのう!」

「だっだっ旦那さん、あんなことして平気なんですか?」

「心配するでない。あれでも死ぬことには人一倍用心深い男じゃ。何度も死んでとことん懲りたらしいからの」

「何度もって……」

「死ぬたびに別の異世界に飛ばされたそうじゃ。せっかく戻ってきたんだから、今度こそは絶対死なないって言うとったわ」

「旦那さんって何者なんですか?」

「わしの夫じゃ。そしてわしの子供たちの父親じゃな」

「……」

「そろそろいいかな――!!」

 旦那さんがそう言って、ワイバーンの首にナイフで切れ目を入れます。

 ぴゅぅううぅうううううう――。

 滝のように血が飛びます!!

 きゃああああああ――。

 私は声も出なくて、心の中で悲鳴を上げます!


 めちゃめちゃ暴れてたワイバーンが、弱ってきて、そして、動かなくなりました。

 出血多量かな……。

 びゅううううう――ん。私のレベルカウンターがものすごい勢いで上がります。

 旦那さん、なんかの魔法でワイバーンを浮かせて、逆さに吊るしてますね。

 ワイバーンの体から血がどんどん抜けていきます。

 近くに流れてた小川が、血に染まって赤い川になるぐらいに。

「血抜きをちゃんとしないと、旨い肉にならないからな。レベル上がった?」

 旦那さんがこっちきました。

「れ……レベル19になりました」

 1から一気に19に! なにこの促成栽培!!


「そうか、なんか使えるようになった魔法ある?」

「それは自分でポイントを割り振るんです」

「そっか。まあその辺は任せるよ。今まで勉強してきたんだから、どうしたらいいいかよく知ってるよね」

「はい。レベル上がったらやろうと思ってたことがいっぱいありますから」

「じゃ、それやってて。魔法使えるようになったら、どんどん使って」

「はい、あの、私は召喚士ですから、回復とか強化とかがメインですね」

「支援魔法の総合職か。それって召喚獣以外にも使えるの?」

「はい、召喚獣とパーティーメンバーは同じ扱いです。召喚士には攻撃魔法はあんまりないんです」

「じゃ、防御と魔法抵抗をガン上げするとして……俺に回復と強化をMPが無くなるまでかけ続けるか。MPがゼロになったらお昼寝にしていいよ」

「はい……なんかすみません。旦那さんにばっかりひどい目にあわせちゃって」

「何言ってる。レベルが上がったらシルビスにもひどい目にあってもらいますよ」

「いやあ――――――――!!」



 二匹目です。

 旦那さんがワイバーンの攻撃受けながら、殴ってます。

 私の魔法抵抗と防御と物理攻撃がガン上がり中ですが、魔法も積極的に使っていきましょう。

物理防御(プロテクション)です!」

「ありがとー。うん、少し痛くなくなった」

魔法防御(マジックガード)です!!」

「うん、少し熱くなくなったな!」

回復(ヒールです!!」

「……まあ続けて」

攻撃力上昇(パワーアップ)です!!」

「……少し手加減しなきゃワイバーン死んじゃうな」


 すごい……。

 魔法使えるってすごい!

 杖が超高級品だから、MP消費も少ないよ!

 いくらでもかけられそう!


 二匹目に止め!

 レベル26になりました!


 三匹目!

 レベル31になりました!

   ……

   ……

   ……

 五匹目でMPが無くなりました……。

 もう夕暮れ……。

 レベルは45になりましたよ。

 もうあいつらのパーティーにも大威張りで入れそう。

「さ、飯にしようか」


 旦那さんが五匹分のワイバーンの死体を、次々に収納していきます。

 ……どっかから、『ぎゃああああああああ――』という悲鳴が聞こえたような気がします。

 奥さんが、夕ご飯作ってくれていて、それをみんなで食べます。

 おいしいー……。肉がたっぷり入った煮込み料理。

 いくらでも食べられるような優しい味です。


「どうだった?」

「魔法抵抗と防御値がすごいことになってます。レベル以上ですね」

「魔法の腕前は?」

「もう少しでパーティーメンバー全員の回復ができそう!」

「そりゃよかった」

「で、召喚の腕前はあがったのかの?」

 奥さんがちょっと心配そう。

「あ……忘れてた。召喚士なんだから召喚のスキルもあげなきゃ……」

「頼むよ――。ゆくゆくは俺たちを元の世界に戻してもらうんだから」

「はいっ。あ、がんばります!」

「急がなくてもいいけど、魔王倒すまでにできるようになってればいいからね」

「疲れたじゃろ。MPの回復もせんといかんだろうし、今日は早く寝たほうがいいの」


 ……二人、ほんと優しいな……。




 月明り。バシャバシャ音するから、ちょっとテントから顔出してみた。


 二人とも、小川でパシャパシャやってはしゃいでる。

 ふふっ、子供みたい。


 ……また交尾ですか。


 この二人ねちっこいというか、やらしーというか、長いのよね――。

 始まったら始まったでそこからがまた長いし。


 ……でも二人とも、すごく幸せそうなのよね……。

 なんだかうらやましくなるぐらいに。

 この二人交尾そのものが好きっていうか、ホント変わった種族。

 私も彼氏できたら、あんなふうにするのかな。

 ……しないよね。交尾なんて発情期の時に子供作るためにさっさとやるのが普通だしね。


 ……もういい。見てらんない。

 寝る……。



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[一言] 女神ボックス…まだ有効だったんすねww
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