第三章
城からの脱出に成功し、リアーナ一刻も早く城から離れなくてはと山を降りていた。
どうして、こんなことになってしまったのだろうと考えれば考える程、わからなくなってくる。
ロイスはいつから私を恨んでいたのか、ダレイオスは何故私に王座を譲ると言ったのか······
私には、人ならざるものの力があること····
全てが謎に包まれている。
「誰か、助けて·····」
誰にも届くことの無い消え入りそうな声で言った。
一方、ロイスは一部の兵隊にリアーナ見つけるよう指示を出したが、誰一人見つけることができず、もうこの城にはいないのだと察した。
「王子、追手をかけますか?」
「いや、その必要はない」
「え?」
「城を出た姫にはなにもできまい」
「ですがっ!」
「その前に、やることがある·····」
疲れ果てて全身の筋肉が悲鳴を挙げながらも、休むことなく懸命に脚を動かし続けていた。
「もう、朝?」
段々と辺りが明るくなり、夜が明けたのがわかった。
「あ、」
そして、自分が今どれだけ酷い格好をしているのかも。
来ていたネグリジェは、裾が数カ所破れ白だったからかとても汚れが目立っており、靴と脚は泥まみれ髪は指通りが悪くなっていた。
「もう、イヤ········」
その場に崩れ落ち、涙を必死に拭った。