第一章 始まり
アルバニア王国は、世界最大の都市。そこに位置する高い山の上にそびえ立っているシエル城。そこには、王の他に世継ぎを継ぐ王子と1人の姫がいた。
城の中で、黒い影が渦巻いていることも知らずに――――――――――。
「姫様ーー!!」
侍女が城の廊下を1着のドレスを抱えて慌ただしく走っていた。
「リアーナ姫様!」
バンッ――――――――――――――――
扉を開くと、白と淡い水色のネグリジェに身をまとい、夕日に照らされ輝きを増した長い金色の髪を揺らし、振り帰る1人の少女、リアーナがいた。
「どうしたの?そんなに慌てて」
「見てください!このドレス!姫様の為に特別に作られたものなんですよ!」
「素敵!!」
リアーナは、ドレスを受け取ると自身にあて、クルクルと回ってみせた。
「早速、お父様に見せてくるわ!」
「待ってください!王は今、会議中ですので、行くなら明日に!」
「そうね、、、そうするわ!」
夜になり、ベッドには入ったものの早くドレスを見せたい思いで寝付けず、コッソリと父に見せにいくことにした。
真っ暗な廊下をドレスを抱え、誰にも気付かれぬように走った。
「お父様、起きているかしら?」
父の部屋の前に着き、一呼吸おいてからドアをノックしようとしたら、話し声が聞こえ、気になって覗いたら兄(王子)ロイスが父に向かって小さく怒りの声を挙げていた。
「父上!どうして、私ではなく妹のリアーナに王座を譲るのですか!」
「お前もわかっているであろう、リアーナの人ならざるものの力を、、、」
「だから何だというんですか!人脈や戦闘技術は私の方が勝っている!」
ロイスは、父の答えを予想していたのか、気に食わない表情をした。
「あぁ、それは私が1番わかっておる」
「なら、何故!」
「お前は、プライドが高すぎる、、戦に出陣したらそれが仇となり隊が崩れる」
「ッ!?」
ロイスはその言葉に何も返すことができなかった。
「リアーナがあの力を善として扱えば、我が国は危機が来ることもなく、平和が続く」
「しかし!城の殆どの者は私が王座に就くことを望んでいる!」
「人脈だけでは、どうにもならん!用が済んだなら、出ていけ」
ダレイオスがそう言うとロイスの表情が殺気あるものに一変した。
「ハァ、、これだけ言っても通じないとは――――。」
ロイスが手を上に挙げた途端黒いマントに身を包んだ者達が、10名ほど、現れた。
「殺れ――――――――――。」
その合図で一斉にダレイオスに襲いかかった。
ダレイオスは、いきなりのことで内心驚きながらも戦闘態勢にはいった。
「ロイス!!貴様、私を殺し王座を奪う気かッ!!」
怒りが現れになった顔をロイスへと向けた。
「その通りですよ、、、父上」
「ッ!!この裏切り者めがッ!!、、、ウッ!!」
黒装束の奴らに気を取られていたのか、ロイスの剣が胸を貫いた。
「ガハッ!!」
血を吐くのと同時に床に倒れた。
リアーナは、今起きていることに頭が追いつかず、パニック状態になっていた。
キイッ―――――――
「アッ、、、アァッ!」
扉を押した音と抱えていたドレスを落とした音で皆の視線が王からリアーナに移った。