♯1
完結済『妖精姫の結婚』スピンオフです。
作品としてはあまり未練はなかったのですが、カーネリアンのキャラが不完全燃焼で未練たらたらだったので、この形式で連載開始させて頂きます。
初めまして、わたしの名前はカーネリアンと申します。
年は五歳になります。
……こんな感じの始め方でいいのでしょうか。
真っ白なページを埋めていくのは何だか何とも言えない気分です。
私色に染める、というのはこういうことなのでしょうか。
……まあ、違いますね。
それはそれとして、これは私、カーネリアンの手記として記録に残ることでしょう。
は? 偉そう?
言った奴は禿げろ。
……ではなく、当然のことだと思うのです。
だってわたしはかの妖精姫の専属侍女となったのですから。
私の主、妖精姫ことユークレース・フローライト子爵令嬢。
この世類まれなる美貌の持ち主。
この世の美を終結させたようなその美しさ。
まだ十という年齢にも関わらず、人の心を奪わずにはおれないその存在。
中身は五歳下の私にも劣りますがな。
それはそれとして、あの方が後世に名が残らないはずはない至高の美の持ち主。
その専属侍女として終生お仕えする私のこの手記もきっと後世の人々の当世を知る貴重な文献として残るはず。
ですから、私は在るものは在るがまま、虚飾の美辞麗句などは抜きにして、私の主観込みの記録としてここに記していきたいと思う次第であるのです。
因みにこの手記帳はユークレース様、つまりは私のお嬢様から頂きました。
立派な皮表紙に宝飾があしらわれたそれはそれは立派なものです。
厚みも半端なく、たくさん記入できるようになっています。
毎日記載する日記帳として利用しても余裕で十年は持つでしょう。
もとはお嬢様がお父君のフローライト子爵からの贈り物です。
だけど、お嬢様は「私は日記は三日と書けたことないので無駄にしちゃうからカーネリアンにあげるー」と仰られて私に下さいました。
まあ、頂けるものは頂きますけどね。
これ、もともとお嬢様は字や文の練習をするようにということで、用意されたものだと思うんですよね。
本来は友人方との手紙のやりとりで経験値を積んでいくものなのでしょうけれど。
お嬢様、コミュ障で友人いらっしゃいませんから。
……最初はこのくらいでしょうか。
日記にするわけではないので、思いついた時や特別な出来事があった時などに、ここに記入していきたいと思います。
どうぞ、これから長い付き合いになると思いますが、よろしくお願い致します。
更新は不定期の予定ですが、どうぞよろしくお願い致します。