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112話 人身売買組織

ちょっとだけグロい描写があります。

苦手な方は後書きにダイジェストを載せておきますのでそちらをどうぞ。

新しく訪れたこの街でもセリアは治療を行い、俺達は観光しながらセリアとユリアちゃんを護衛するといった形で聖女としての任務をこなしていた。歴史を変えないようにするのも大変だね。

そういった感じで街から街へ、国から国へと移動していき、聖女の名前とその力を広めつつ、時には神聖魔法の素質がある者に魔法を教えながら旅を続けた。

途中襲われたりもしたが、俺とユグドの働きによって危なげなく退けている。

ちゃんと未来に帰る方法を探す研究をしたり、魔道具の研究をしていたりもするよ?見つかり次第すぐにでも帰りたいが、俺がヨウフェということでそういう訳にもいかなくなってしまった。なるべく歴史は変えない方がいい。アリアから徹底的に叩き込まれたセリアルのお話の通りに行動しないといけないわけだ。


ヨウフェによる1人で追っ手を食い止めるイベントもちゃんとこなしたよ。その時の事を振り返ろう。

あれはセリアに出会って、世界を漫遊し始めてから3年の月日が流れた頃の事だった。

ある街でユリアちゃんが誘拐されそうになったのだ。

誘拐犯は俺とユグドで無力化して、セリアが尋問をした。

そこである組織の存在が浮かび上がってきた。

その組織は人身売買を生業とする組織だった。

ユリアちゃんという俺達の逆鱗に触れてしまった哀れな組織は、聖女、憤怒の魔法師、KYヨウフェ君の3人に睨まれてしまったのだ。徹底的に痛めつけてやろうと決意することになる。奴等の商品である可哀想な人達を奪ってやろうという計画になったのだ。




「ねぇ、倒しても倒してもキリがないんだけどっ!」


セリアが敵の多さに嘆息する。俺もそう思っていましたよ。

時期的に考えて、これがヨウフェの見せ場である1人で追っ手を食い止めるというイベントなんだろう。俺達は今人身売買組織に追われていた。それは彼等の商品を根こそぎ奪ってあげたからだ。大切な商品を奪われてしまった彼等は、それはもう冷静さを欠いて追いかけてくる。これを俺が1人で食い止めないといけないんだろうなぁ。

いや、やりますよ?セリア達もお前のイベントなんだからちゃんとやれよと言ってきてるしね。

でもさ、ちょっと想定外なんですよ。何がって?それは追っ手の数です!

キレースでやった劇でも5人くらいだったのよ。まぁ劇だし?配役の関係でそんなに人数が用意出来ないってのもあるだろう。ユードのイベントならともかく、お邪魔虫のヨウフェのイベントだし、そんなに力を入れなかったのもわかる。一応歴史に記録されるくらいだから5人って事は無いだろうとはわかっていた。

でもさ、1人で相手するんだから、精々20~30人くらい。多くても50人くらいだろうと思ってたわけですよ。

それだってのに、何この数は。百人なんて軽く突破している。明らかに千人以上いるだろう。組織の拠点で結構な数を葬ったはずだけど、まだこんなにいたのか。うへぇ・・・これを1人で止めるのかぁ・・・。張飛じゃないんだからさぁ、限度ってもんがあるっしょ・・・。


どうしてこうなっているのかというと、それは今から3時間前の事だ。



「ヨーヘー君は姿を消す魔法を使えたよね?それを使えば誰にも見つかる事無く、目的を達成出来そうだけど、それだと追っ手イベントが発生しなそうだから、今回は正面から突破するよ。あわよくば組織を壊滅させちゃおう!正義は我等に有り!だよ。」


そうなのだ。隠密に長けた魔法を使えば簡単に囚われた人達を奪う事が出来るだろう。しかし、それでは追っ手すら掛からない可能性が高い。ちょっと大暴れしたほうがいいだろう。ユリアちゃんを誘拐しようとしたんだから、その報いを受けてもらわなければいけないしな。そもそもこの時代は、貧富の差はあれど、奴隷という存在はいない。つまり、そんな時代に人身売買をしているような連中は碌でも無い奴等だという事だ。

組織のアジトはわかっている。ここは派手にぶちかますとしよう。


アジトはかなり大きな工場のような建物だった。地元民の話を聞くと、この建物はこの国で有名なアウトローな方達の所有物らしく、たくさんの怖いおじさん達が出入りしているらしい。

入口に立派な門が見えるので、ユグドが見張りごと門を派手にぶっ壊した。その事で怒ったおじさん達がたくさん殺到してきたのだ。

俺達は迫り来る怖い人達を文字通りちぎっては投げ、ちぎっては投げと撃退して行き、囚われた人達が集められている地下牢に向かっていった。

地下牢まで到達すると、ユグドは敵を食い止める役、俺とセリアで囚われた人達を魔法の袋に収納するという役割分担になった。

囚われた人達は7割が年端もいかない子供達、残りは女の子達だった。全員が全員絶望に満ちた表情をしている。地下牢は全部で50個くらいあり、1つの牢に10人くらい詰め込まれている。というわけで、500人くらいはいるわけですよ。これ、食事とか大変そうだなぁ。それに地下牢は異臭が凄い。トイレなんてバケツが置いてあるだけだし、体を拭かせてももらえないのだろう。こんなところにいたら病気になってしまうよ。実際、健康そうな人なんてほとんどいなそうだしな。一応商品として扱われているだけあって、死にそうな人はいないが・・・。

セリアはこの子等をすぐにでも治療したいと訴えたので、俺達はそれを了承した。俺はこの子達を清潔な状態にするために、クリーンを掛けて回る。

セリアは綺麗になった子達を治療している。

ユグドはというと・・・


「フハハハハーッ!弱いっ!弱すぎるぞっ!歯向かってくる奴は死ねっ!逃げる奴も死ねっ!誰一人生きては帰さんぞ!自分の無力を呪いながら死ぬがいいっ!ハーッハッハッハッ!!」


などと、どっちが悪役なんだかわからない台詞を吐いているあたり、なんかスイッチが入っちゃったんだろう。日頃、ユリアちゃんが俺に懐いているもんだから、ストレスが溜まっているのかもしれないなぁ。

ユグドはなんか楽しそうなので放っておくとして、俺は囚われた子達全員にクリーンを掛けたので、やる事がなくなってしまった。

どうしよっかな、この組織の金目の物を拝借してくるかー。この建物内にあるお金なんかが全部ではないだろうが、無くなれば、かなりの打撃にはなるだろう。

俺はセリアにその事を伝えて、魔法の袋をいくつか渡し、俺が戻るまで、絶対に置いて行くなよと念を押して、インビジブルで姿を消して、組織の建物内を物色する。


「おー、色々溜め込んでるなぁ。人生数十回遊んで暮らせそうだよ。」


色々物色しまくった俺は、金目の物を根こそぎ回収して回った。怖いおじさんの財布に至るまで全てだ。

ふむ、これはあれだな。ただの盗人だ。意識するとなんか悪い事をしているような気がしてきた。

しかし、こいつ等はユリアちゃんに手を出そうとしたからな。その報いだと思ってもらおう。

まぁただの盗人だと思われるのも癪なので、メッセージカードを残しておくことにした。これで盗人から怪盗に昇格したわけだ。

広いアジト内をブーストを駆使して回りきり、地下に戻ろうとしたら、地下への入口で偉そうなおじさんが涙目のおじさんやお兄さん達に発破を掛けているところに出くわした。


「おらぁ!早く下の奴を仕留めやがれっ!おい!何ビビってやがる!!とっとと行くんだよ!!行かねぇと俺がお前等をぶっ殺すぞっ!行け行け!」


うわぁ・・・地下に戻りたくねぇ~。地下にはスイッチの入ったユグドがいるわけで、こんな奴等にはまず遅れを取る事はないだろう。そんで、このペースで地下に人員を送り込んでいるということは、下はどんなことになっているのかなぁ。見たくないなぁ。でも行かないわけにはいかないよなぁ。

心の準備をして、いざ地下へと足を踏み入れる。


そこは一面の赤でした。床はもちろんのこと、壁、天井等、なんか赤い液体が付着している。空気は湿っぽく、鉄のような臭いが嗅覚を刺激する。色々な種類のお肉がそこら中に散らばっており、中には糸みたいなものがお肉に混じってたりする物もある。あ、なんか白いゴルフボールみたいなのを踏んでしまったぞ。なんとも言えない感触だったなぁ。

・・・なんか気分が悪くなってきちゃったなぁ。

ちょっと失礼して、カウントダウン。5、4、3、2、1


「うぉおぉぅぇぇえぇぇえぇぇぇぇぇっ!!」


俺は胃の中の物を全てぶちまけてしまった。

あの野郎ぉぉぉ!!ちゃんと後片付けしなさいっていつも言ってるでしょぉぉぉ!!どうすんだよこれ!夢に出そうで嫌なんですけどぉぉぉぉ!!


落ち着くまでに約10分。そうだ、これはトマト祭りだと思おう。一回行ってみたかったんだよねーーー。ダイブとかしちゃおっかなー!ひゃっほーぅ!・・・って無理無理無理!こんな赤黒いトマトがあってたまるか!これは・・・あれだ!汚染された川なんだ!ダイブなんてもってのほかです!

そんなことをやっている間も、上で上司に尻を叩かれて突入してきた哀れな構成員さんが、その姿を汚染水やゴルフボールなんかに変えちゃったりしていた。

今まで人殺しは何度も見たし、俺も手に掛けたことはある。でもさー、これはないでしょ。どこに目を背けても死体・・・じゃなくて、お肉お肉お肉だよ。


セリアの様子を見にいくと、囚われていた子達は全て収納が終わった後のようだ。やる事がなくなったのか、ユグドに対して「キャー、ユグドスゴーイ、カッコイイー」なんていう適当な応援をしていたので、その応援を聞いたユグドが更に気張ってしまったのだろう。俺が戻るとパァと嬉しそうな顔をして「もう終わったから撤退しましょ。」と告げてきたので、トリップしていたユグドを正気に戻して、アジトを脱出することにした。


さて、ここでただ逃げるわけにはいかないのだ。、

だってこれはヨウフェの1人で追っ手を食い止めるイベントなのだから。今のところ、ヨウフェではなくユグドが追っ手を食い止めてしまっている。まぁあいつの場合は見敵必殺だから、ユグドがやったということを口伝する者すらいないけどな!

というわけで、俺の場合は、俺の伝説を伝える人を残さないといけない。つまり相手を全滅させちゃいけないのだ。なんか面倒臭いな・・・。


セリアと出会ってから3年が経った。

聖女としてのお仕事は順調だ。

そんなある日ユリアちゃんが誘拐されそうになったので、背後関係を調べたら人身売買の組織が浮かび上がった。

報復も兼ねて、商品である子達を奪ってやろうと組織のアジトに乗り込む洋平達。

無事に捕まっていた子達は救出出来たけど、怒った組織の人達が追いかけてきたぞ。

これはきっとヨウフェの追っ手1人で受け持ちますよイベントに違いない!


頑張れ洋平!負けるな洋平!

次回、「ここは俺に任せて先に行け」をお楽しみに!

更新は明日です。

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