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終章 ニート、明日からまたがんばります
ピンポーン。
関子は、再び星野宅に来ていた。
「海月の海。これ、ちっと古いが詩帆は喜ぶだろうな……ふひひ」
もちろん、詩帆に見せたら帰りに県立図書館に相談するつもりだ。こんなに古く、汚れていたらさすがに受け取ってもらえないだろうが。
「はぁい」
玄関にでてきたのは、ルルカちゃんを抱いた詩帆の祖母だった。関子を見た瞬間、詩帆の祖母は目を剥いた。
「関ちゃん……よねぇ?」
「はい、関子です。これ」
関子は本を見せ、ルルカちゃんにも見えるように本を傾けた。ルルカちゃんは相変わらず真っ黒に澄んだ目をしていた。
「詩帆に、これ見せたら喜ぶと思ってきました。ルルカちゃんも、本、好きになるといいなぁ。」
「あらあら、ちょっと」
関子は笑っていたが、詩帆の祖母はそうではなかった。あわてて、関子の片手をとった。
「詩帆は、とっくにいないのよ。この子が生まれて間もない頃、大きな声では言えないけど、自殺をしてしまって」
関子ははっとした。
死んだ後、下界に降りて友人とぼうけんする。
関子と詩帆が好きだった、「海月の海」。
この本は、二人を再び巡り会わせてくれたのだ。
……関子の、ニート卒業のために。
「やりよるな……詩帆。ふはは」
変人ニート、夏目関子。明日からまたがんばります。




