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殺人鬼  作者: ityou
8/11

Eight.

「とりあえず、こんなもんかな…。」

彼は、汗を拭いながらそう言った。


季節は夏になった。

彼の家にはエアコンという機器が無い。

冬は極寒だが夏は灼熱だ。

そろそろ、エアコンを購入しようと思っている。


「しかし、今回の依頼は初めての部類だったなぁ…。」

彼は、呟く。

決してTwitterに呟いたわけではない。


『石井頼朝を自殺に追い込め。』


パソコンを貰ってからSNSに関しては詳しくなった。

だから、彼はそのターゲットをネットで苦しめた。

しかし、相手はかなり精神的に強い奴でなかなか折れなかった。

そして2週間の死闘がつい先程、幕を閉じた。

「ふぅ…。」

彼お得意のため息が漏れる。

そして、彼の目線は壁に貼られた新聞記事に行った。

「殺人…かぁ。」

そう呟いて地下室を出た。



…。

俺は、夢を見ている。


中学生が2人で何かを言っている。

「お前、…から……され…のか?」

体格のいい中学生が言う。

しかし、断片的にしか聞こえない。

「そんなことねーよ」

もう一方の小柄な中学生が言う。

「安心しろ。俺がお前の…を……してやるから。」

「止めろっ。」

そう言ってこ小柄な中学生が体格のいい中学生を殴る。

「ダメだ。このままじゃお前が…じまう!!」

そう言って、体格のいい中学生が走り出した。


「はっ!!」

俺は、目が覚めた。

「夢か…。」

まだ、息が上がってる。

大した夢ではないが心臓がバクバクしている。

「……ごめんな良一…。」

そう言って、また寝た。



夏になると依頼が減る。

暑くて思考回路が壊れるからか、ここにエアコンが無いからか理由は分からないが毎年減る。

「殺人鬼の夏休みだ。」

そう言って、俺は家を出た。



「お久しぶりです。国士さん。」

彼は、墓参りに行った。

そして、国士と呼ばれる人の墓に来ていた。

綺麗に墓を磨き、周りの草を抜き、花を添えた。

そして、線香をあげ次の目的地へ行った。


「久しぶりだな。良一。」

さっきの墓の近くにある病院へ出向いた。

しかし、彼の返事はない。

死んでいるわけではない。

ちゃんと息をしているし心臓は動いている。

「調子はどうか?」

返事はない。

「俺の家さ、エアコンが無くて灼熱地獄なんだぜ…。」

返事はない。

「…ごめんな良一。」

返事はない。

何を言っても返事はない。

彼は、精神が崩壊して喋ることすら出来なくなった。

精神を崩壊させたのは彼だった。


「もう、諦めなさい。良一くんはもう2度と喋れない。」

後ろの方から重い声が聞こえた。

良一を担当している医師だ。

「…お前らが本気でやってねぇーからだろうが!!」

彼は、医師の胸ぐらを掴んだ。

「何をするんだ!!」

医師は彼を払い除けた。

凄い力を持っている。

「我々医師も全力を尽くしている。でもな、もう限界だ。」

医師は暗い顔で言った。

「じゃあ、どうすれは良いんだよ!!」

彼は、泣き叫んだ。

「もう、楽にしてあげませんか?」

医師は言った。

彼は、医師を殴った。

「殺すな!!良一を殺すな!!」

「分かりました。」

医師は言った。

彼は、医師に金の入ったケースを渡した。

「3億入ってる。今年も、1年間頼む。」

そう言って、彼は病院を後にした。




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