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殺人鬼  作者: ityou
6/11

Sixth.

「はぁ…」

彼は母校で深い溜息をついた。

「初めての失敗だよ…」

彼は落胆した。

「ま、捕まらないだけマシかな…」

彼はそう言うと教室の上部にある通気口へと入った。


『本部へ連絡。被害者と思われる遺体を発見。外傷は…手術痕のみです。あ!』

遺体を見つけた捜査員は思わず叫んだ。

『ど、どうしたんだ!!』

『死因は…心臓を体外に出されて機能しなくなったものによります…』

『…変死体だな。』

『…。』

応答がなくなった。

捜査員は気を失った。



「ふぅ…ようやく出れる。」

俺は通気口の中を1時間ほどさまよい続け、ようやく出口に達した。

「多分、ここは…」

この学校はおかしい。

何故か、地下室が存在している。

普通の学校ならありえないことだ。

「ま、この奇妙な地下室のお陰で助かりそうだ。」

俺は、警戒もしないで地下室へと降り立った。

しかし、警察はそんなに甘くはなかった。

「誰だ!!」

新人っぽい警官が俺に銃口を向ける。

すかさず、俺も銃を構える。

すると、威勢の良かった新人が震えだした。

俺はこの場を乗りきれると確信した。

「お兄さんや、俺はね悪いことはしてないんだよ。仕事でこんな場所にいただけだ。確かに、銃を持っていて怪しいのは分かる。でも、それはお兄さんがいきなり銃を構えるから俺も怖いわけよ…なぁ…お兄さんも銃口を向けられて怖いだろぉ…」

俺は、少しヤクザっぽい口調で言ってみた。

すると、警官は銃口を下ろした。

「み、身分証を…」

「ほらよ。」

俺は身分証を渡すと同時に警官の顎を殴り気絶させた。


「まさか、ここまで警官が潜んでいるとは…」

俺は油断していたことを反省した。

「ここまで来れば、あとは余裕だな。」

さっきの反省がどこへ行ったのやら…

俺は万が一のことを考え、警官の無線を警官の持っていた銃で破壊した。

そして、その銃を盗み地下道へと進んだ。

詳しくは分かっていないが、ここの地下室と地下道は戦争中に作られた代物らしい。

そのお陰で、町の至る所に存在している防空壕につながっている。



「いませんね…」

田中の遺体がある場所に警官が集まっていた。

田中の遺体はすでに鑑識が回収し、証拠を探している。

「あの、通気口から逃げたはずだから地下室…」

警部補がそう言うと、地下にいる若い警官に無線を飛ばした。

『大島!!応答しろ!!』

…返事がない。

『大島!!聞こえているのか!!』

…返事がない。

「野田警部補。相手無線機へ繋げてません。犯人に壊された可能性があります。」

「なんだと!!地下への行く道は?」

「あります。」

「よし、連れてけ。」

「はい!!」

野田は巡査たちと1階へ急ぐ。


「この先の部屋の中に地下室への階段があります。」

「よし、犯人がいるかもしれん。銃を構えろ。」

「はい!!」

野田を含め3人の警官が銃を構える。

「警察だ!!!」

…その声虚しく返事はない。

そして、3人は地下へと足を進める。

「警察だ!!」

よく響いたが返事はない。

「大島!!」

野田は大島を発見する。

「大丈夫だ。気を失ってるだけだ。」

そう言って、大島の介抱を部下に任せる。

野田は周囲を見渡す。

「お前らは2人で大島を救助。」

「はい!!」

そう言うと2人は大島を抱えて地下を出た。

「さてと…」

そう言って、野田はギャラクシーが逃げた方向へ走りだした。



「もう、結構走ったな…」

俺は周りを見渡した。

今、俺は道に迷っている。

SERIEのGPSでもさすがに地下では捉えてくれない。

「どうしようか…」

俺が必死に悩んでいると足音が聞こえてきた。

まだ、距離はある。

でも、確実に追ってきている。

「まずは…」

俺は足をフルスロットで回転させた。

「まずは、逃げる!!」


パーン…


銃声だ。

警官の持っている銃でこの距離を撃つのは無理だ。

これは威嚇射撃…

しかし、俺は足を休めない。


バキューン…


刹那、足に異変を感じた。


…銃弾が足を掠った。


俺は逃げ切れないと悟った。


「誰だ!!」


俺は銃を構える。

威嚇の為に数発撃つ。


「警察だ。」

そこそこ上位の警官だと雰囲気で悟った。

「で、俺を捕まえるのか?」

「それが俺たちの仕事だからな。」


今撃てば殺れる…

ただ、スタイルという言葉が頭をよぎる。


「ふふ…抵抗はしないようだな…」


警官は俺の手を蹴った。

その反動で俺の銃が地面へと落ちる。

「さ、現行犯逮捕だ。」


パーン


また、銃声が聞こえた。

後ろから…

そして、警官は倒れた。


「早く!!」

俺は言われるままにそいつのバイクへと乗った。



あれから3時間、地下道を走り続けた。

そして、県境付近の防空壕から地上に出た。


「すまない。助かったよ。」

俺は礼を言った。

「当然のことをしただけ。」

彼女がヘルメットを外す。


「…!!!!」


俺は驚き、涙が頬を伝った。



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