Sixth.
「はぁ…」
彼は母校で深い溜息をついた。
「初めての失敗だよ…」
彼は落胆した。
「ま、捕まらないだけマシかな…」
彼はそう言うと教室の上部にある通気口へと入った。
『本部へ連絡。被害者と思われる遺体を発見。外傷は…手術痕のみです。あ!』
遺体を見つけた捜査員は思わず叫んだ。
『ど、どうしたんだ!!』
『死因は…心臓を体外に出されて機能しなくなったものによります…』
『…変死体だな。』
『…。』
応答がなくなった。
捜査員は気を失った。
「ふぅ…ようやく出れる。」
俺は通気口の中を1時間ほどさまよい続け、ようやく出口に達した。
「多分、ここは…」
この学校はおかしい。
何故か、地下室が存在している。
普通の学校ならありえないことだ。
「ま、この奇妙な地下室のお陰で助かりそうだ。」
俺は、警戒もしないで地下室へと降り立った。
しかし、警察はそんなに甘くはなかった。
「誰だ!!」
新人っぽい警官が俺に銃口を向ける。
すかさず、俺も銃を構える。
すると、威勢の良かった新人が震えだした。
俺はこの場を乗りきれると確信した。
「お兄さんや、俺はね悪いことはしてないんだよ。仕事でこんな場所にいただけだ。確かに、銃を持っていて怪しいのは分かる。でも、それはお兄さんがいきなり銃を構えるから俺も怖いわけよ…なぁ…お兄さんも銃口を向けられて怖いだろぉ…」
俺は、少しヤクザっぽい口調で言ってみた。
すると、警官は銃口を下ろした。
「み、身分証を…」
「ほらよ。」
俺は身分証を渡すと同時に警官の顎を殴り気絶させた。
「まさか、ここまで警官が潜んでいるとは…」
俺は油断していたことを反省した。
「ここまで来れば、あとは余裕だな。」
さっきの反省がどこへ行ったのやら…
俺は万が一のことを考え、警官の無線を警官の持っていた銃で破壊した。
そして、その銃を盗み地下道へと進んだ。
詳しくは分かっていないが、ここの地下室と地下道は戦争中に作られた代物らしい。
そのお陰で、町の至る所に存在している防空壕につながっている。
「いませんね…」
田中の遺体がある場所に警官が集まっていた。
田中の遺体はすでに鑑識が回収し、証拠を探している。
「あの、通気口から逃げたはずだから地下室…」
警部補がそう言うと、地下にいる若い警官に無線を飛ばした。
『大島!!応答しろ!!』
…返事がない。
『大島!!聞こえているのか!!』
…返事がない。
「野田警部補。相手無線機へ繋げてません。犯人に壊された可能性があります。」
「なんだと!!地下への行く道は?」
「あります。」
「よし、連れてけ。」
「はい!!」
野田は巡査たちと1階へ急ぐ。
「この先の部屋の中に地下室への階段があります。」
「よし、犯人がいるかもしれん。銃を構えろ。」
「はい!!」
野田を含め3人の警官が銃を構える。
「警察だ!!!」
…その声虚しく返事はない。
そして、3人は地下へと足を進める。
「警察だ!!」
よく響いたが返事はない。
「大島!!」
野田は大島を発見する。
「大丈夫だ。気を失ってるだけだ。」
そう言って、大島の介抱を部下に任せる。
野田は周囲を見渡す。
「お前らは2人で大島を救助。」
「はい!!」
そう言うと2人は大島を抱えて地下を出た。
「さてと…」
そう言って、野田はギャラクシーが逃げた方向へ走りだした。
「もう、結構走ったな…」
俺は周りを見渡した。
今、俺は道に迷っている。
SERIEのGPSでもさすがに地下では捉えてくれない。
「どうしようか…」
俺が必死に悩んでいると足音が聞こえてきた。
まだ、距離はある。
でも、確実に追ってきている。
「まずは…」
俺は足をフルスロットで回転させた。
「まずは、逃げる!!」
パーン…
銃声だ。
警官の持っている銃でこの距離を撃つのは無理だ。
これは威嚇射撃…
しかし、俺は足を休めない。
バキューン…
刹那、足に異変を感じた。
…銃弾が足を掠った。
俺は逃げ切れないと悟った。
「誰だ!!」
俺は銃を構える。
威嚇の為に数発撃つ。
「警察だ。」
そこそこ上位の警官だと雰囲気で悟った。
「で、俺を捕まえるのか?」
「それが俺たちの仕事だからな。」
今撃てば殺れる…
ただ、スタイルという言葉が頭をよぎる。
「ふふ…抵抗はしないようだな…」
警官は俺の手を蹴った。
その反動で俺の銃が地面へと落ちる。
「さ、現行犯逮捕だ。」
パーン
また、銃声が聞こえた。
後ろから…
そして、警官は倒れた。
「早く!!」
俺は言われるままにそいつのバイクへと乗った。
あれから3時間、地下道を走り続けた。
そして、県境付近の防空壕から地上に出た。
「すまない。助かったよ。」
俺は礼を言った。
「当然のことをしただけ。」
彼女がヘルメットを外す。
「…!!!!」
俺は驚き、涙が頬を伝った。




