太刀風先生のニューセンス講義
伸ばした指と指の間を、細い作られた風の筋が流れていく。磨り減った指の皺と丸く削れた爪が形の見えない空気の筋に触れ、まとわり付くように気流が手を絡めていく。
振り上げた左腕を下ろしつつ膝を曲げて腰を落とし、さらに右腕を水平に伸ばして指を握り拳を作る。力は入れず、しかし殴れるよな形を保つ。身体に染み付いた動きを一つ一つ確認しながら行動に移すのは、慣れではなく常に思考することが重要だ。意識を身体に集中しながら思考を繰り返すのは、肉体的な訓練と同時に精神的な訓練にもなる。
考えるな、感じろ。というのは有名な言葉ではあるが、僕の師匠はこれを真っ向から否定していた。戦場において思考を放棄することは敵に命を差し出すようなものだ、といいながらも、頭を使ってばかりだといざという時に反応出来ずに棒立ちになる、というのだ。矛盾していることだが、そもそも人の頭の中で起こっていること自体論理では説明出来ないのである。師匠は、これを意識の分割という思考方法で解決していた。
意識の分割とは文字通りの意味だ。いくつかのことを同時に頭の中でするのである。思考の加速と無意識の反応を階層的に行うことで、身体の感覚を上層に被せた無意識に全て委ねることができ、下層に降ろした思考で常に懐疑と情報処理をすることが出来る。これをマスターすれば、どんな状況であっても解決策がみつかる、らしい。
握った手を緩めながら床近くまで落とし背中を伸ばす。丹田に力を溜め、目を瞑り、固定する。
無意識が身体の情報を意識へ送り込んでくる。筋肉の収縮、血流の加速、皮膚を流れる汗、エアコンが作る風、湿度と気温、不快な水音、いらだち、悪臭、揺らぎ、動悸、ぶれ、圧力、苦痛、怒り、驚き。
脳裏に浮かぶ人見さんとじゃじゃ馬姫の顔。
「のわっ」
平静が一気に崩れて、汗で足が滑り背中から床に倒れ落ちた。疲労が一斉に吹き出し、無視し続けていた苦痛が一気に頭に流れ込んできて、身体が一瞬で動かなくなってしまった。ひやりとした床が背中に心地よく、酸素を求めて肺が大きく膨らみ胸が激しく上下する。掠れたような息遣いが、自分のものとは思えないほど響く。
「はあ、はあ、まったく……松永先生に見つかったら丸焼きだな」
顔を横に倒すと汗が額から流れて、床に水たまりを作っていく。それを見ながら、入り口の方に向かって震える手を振った。
「覗きは犯罪ですよー、秋葉さん」
「……人聞きの悪いことをいわないでください、七緒さん」
顔を逆の方に傾けると、タオルを手に輸入物のジャージに身を包んだ秋葉さんがドアの前で直立不動で立っていた。
―――――――
ゼミから三日がたった金曜日。英雄法の講義を終えて、僕は英華基地にいた。研修など細々としたことを終えた秋葉さんと一週間ぶりに会うこととなったのだ。幹部候補生である秋葉さんは普段は英雄庁の出張所で働いているので、僕らより格段と忙しい。訓練の時間だってそうそう作れないのだ。
「すいませんお待たせしました」
「ホントにな、時間ねえのになにやってんだよ明日輝。長々とシャワーなんか浴びやがって」
「旦那は一回自衛隊に入った方がいいんじゃないすか。汗流すのに三十分も使うなんて悠長過ぎますよ」
「あの、そんなに長くないと思うんですけど……」
シャワーを浴びた後修練室に戻ると、不機嫌そうにヤンキー座りで僕を睨む太刀風さんと愉快そうにからかう斯道さんに挟まれて、窮屈そうに正座する秋葉さんがいた。ここは第5セクションの中でも少人数向けの小さな部屋で、それでも四人で使うには十分すぎる広さがある。首にかけた乾いたタオルとパーカーを壁際に投げて三人に近づく。
「大丈夫ですよ秋葉さん。太刀風さんのイライラは普段からですから」
「いや、そういうことじゃないと思うんですけど」
訂正する秋葉さんの言葉にあからさまな舌打ちの音。やれやれと首をすくめる斯道さん。
「それじゃ、時間もないことですし始めましょうや。旦那」
「そうですね。ここ五時までしか借りてないので」
その言葉に反応した太刀風さんがまた大きく舌打ちをする。基地の設備は時間単位で貸し出されるシステムになっており、予め予定した時間内しか使えないのである。五時を過ぎるとこの部屋はすぐに追い出されてしまうのだ。顔がぐっと強張った秋葉さんが前のめりに聞いてきた。
「それでは、いよいよニューセンスの訓練をするんですね」
「訓練?」
やる気に満ち溢れる秋葉さんは星座のまま器用に僕に近づいてきて顔を寄せてくる。それを囲んで、僕たち三人は顔を見合わせた。太刀風さんがハッとする。
「もしかして明日輝、てめえニューセンスについてこいつに全然話してねえだろ」
「基本的なことは話したよ。先天的とか後天的とか、そこらへんについては色々」
「じゃあ六対三分類法は? 対象と効果は? SOSは?」
「そこらへんは全く」
そういい切ると、太刀風さんは盛大なため息を吐いて項垂れた。話についてきていない秋葉さんは訳も分からず僕と太刀風さんを交互に見て首をかくかくとさせている。斯道さんはいわずもがな無関心というか傍観中だ。なにもいわずに太刀風さんを見ていると、視線に気がついて顔を上げた。目が合い、数秒の沈黙。
「あたしに説明しろってか!」
「その方が手っ取り早いし分かりやすいじゃないですか。どういったって僕はあんまり詳しくない門外漢ですし、太刀風さんは諜報部なんですから。お願いします」
あくまでにこやかにいい切ると、少しの間なにかを逡巡していた太刀風さんだったが、秋葉さんに聞こえないぐらいの小声で「ったく、しゃーねぇな」と呟いた。表面上はツンツンしていて勘違いされがちなのだが、中身は非常に優しく過保護だということを僕は知っている。つまり面倒見の良いお姉ちゃんみたいなものだ(兄弟がいないから予想だけど)。人当たりの良い斯道さんなんかよりも太刀風さんは何倍も世話好きでお節介である。
乗り気になった太刀風さんは、秋葉さんに向かって座りなおすと、なぜかケンカ腰で話し始めた。
「一回しか説明しねえから、絶対に聞き逃すなよ」
「はいっ」
太刀風先生の講義スタートだ。
「ニューセンスってのはな、訓練して使えるようになるもんじゃない。まずそもそもの基礎知識がねえからその発想につながんのかもしれねえけどな、ニューセンスについて誰かに教わったり習ったりするのは、まず使えるようになってからだ。つまり、まだ『発症』すらしてねえお前にな、訓練する資格自体ねえんだよ」
「そもそも、お前はニューセンスがなんだと思ってんだ? 超能力か? 特殊能力か? 魔法だのの奇術の一種か? センス保持者による長年の研究の結果からいえばな、精神エネルギーの転換といわれている。精神エネルギーってのはいわゆる心だの魂だのマナエネルギーと置き換えられる。まあ、はっきりいえば詳しいことはなにも分かっちゃいねえんだ。殆どの部分が想像に過ぎないんだよ。どういう仕組みで物理法則捻じ曲げてんのか。エネルギー源はなんなのか。それどころかどこで制御してるのかすら分からねえんだよ。例えば、脳だけを移植したら他の肉体でも使えんのか、みたいにな」
「そんなあやふやなもんだから、分類方法もあやふやなんだよ。一定のルールでニューセンスを分類していることになってるが、そのルール自体、国によってまちまちだ。米国はそこそこ整理してるが欧州なんか危険度でランク付けしてるぐらいだからな。ロシアなんざそれすらしてねえ。一つ一つ大雑把に分けて終了、って具合だ」
「日本も昔はロシア式で適当に三つに分けてたんだが、戦後かなり経ってやっと米国式をマネして分類方法を作った。それがいわゆる六対三分類法。正式には六の対象と三の効果による視覚的分類方法。ようは何を対象にするか、どんな効果があらわれるか、を見た目で分類してる。あ、ちなみにいっとくがこれを口外したら抹殺されるからな。気をつけろよ」
「そんで、まずは対象から説明するとな、空間、事象、物理、心理、物質、生体の六項目ある。効果は半分の、干渉、操作、創造の三項目だ。これに関しては全部覚える必要はねえ。相性とか強弱関係とかそういうありがちなのは一切ないから、まあ自分のニューセンスが『発症』したら自分のだけ覚えとけ。初見でなんのニューセンス使うか分からない、なんて状況にはお前はならないと思うから、知識として頭に入れとくだけで良いかもな。それじゃあ各対象と効果の説明をするぞ。まず空間とは……」
「太刀風さん。ちょっと待った」
すっかりノリノリに話していた太刀風さんを止めてこちらを向かせる。集中するとこんなにも周りが見えなくなるらしい。身振りまでつけて語っていた太刀風さんは珍しくきょとんとした顔で僕を見た。僕は、秋葉さんを指す。
「ショートしてる」
「は?」
僕らに挟まれる形で座っていた秋葉さんは、猫みたいと形容していた目がまん丸く見開かれ、口もぽかんと半開きになっている。耳を澄ますと、「はっしょ……」とか「せい……えねる」とかぶつぶつと呟いてる。情報が頭のなかで処理しきれなくてパンクしているみたいだ。太刀風さんがため息を吐く。
「この程度でこの反応かよ。インテリは脆いなオイ」
「結構頑張った方だと思うけどなー。僕がダーク・アブソリュートだっていったときなんかビンタされちゃったし」
「それはお前が間抜けなんだよ」
目尻を下げて項垂れると、太刀風さんは秋葉さんの顔の前で手を打った。ぱちんと音が響く。が、反応なし。舌打ちをして眉を顰めると、両手を開いて間隔をあけ、手を打つ寸前のような構えを取る。ふっ、と息を手と手の間に吹き込むと、見えない空気の板が生成された。
「めー覚ませ、っこら!」
気勢と共に両手に力を込め空気の板を叩き潰すように手を閉じると、密度の高められた空気が一気に壊れ、膨らませた紙袋を潰したようなボンッという破裂音が秋葉さんの目の前で鳴り響いた。短い黒髪が風圧で吹き上がる。
「きゃっ!!」
正座したまま飛び上がり膝から着地した秋葉さんは、数秒唖然として、やっと正気に戻った。
「す、すいませんでした。なぜか突然気が遠くなってしまって」
顔を紅潮させていく秋葉さんを見て太刀風さんがため息とともに項垂れる。僕は斯道さんと顔を見合わせてくつくつと声を出さずに笑いあった。
「お前そんなんで本当に大丈夫かよ。こんなのまだ序の口だぞ? ニューセンス使うまでにはまだまだ知らなきゃいけねえこと山ほどあるし、実戦出るにはその何倍もあるんだぜ。今からでも遅くねえから後方支援か背広組にでも移らせてもらえよ」
呆れ顔と共に太刀風さんが話す。この前は知らなかったけど今なら秋葉さんでも分かるはずだ。実戦に出ない、と上に申請を出して認可が降りれば例えセンス保持者であっても作戦に参加しなくてもよくなるのである。ここは政府の施設で役所の管轄だ。強制なんて人権を無視したことなんかあり得ない。ましてや秋葉さんは一種の公務員である。申請を出せばほぼ百パーで通るだろう。
だけど、秋葉さんは力強く首を振った。
「途中で投げ出しはしません」
意外にも強い口調のその言葉に、太刀風さんは舌打ちをした。顔を上げて目を合わせる。たっぷり十秒ほど視線がぶつかり合い、太刀風さんは顔を反らして舌打ちした。
「……そんじゃあ、少しずついくか」
ホッと秋葉さんが息を吐き、がちがちに凝った肩から力が抜け落ちた。斯道さんと笑いながら向き合い、小声で囁きあう。
「折れやしたね旦那」
「折れた折れた」
「聞こえてんぞそこ!」
「はい??」
耳を赤くして犬歯を剥き出す太刀風さんから笑いながら逃げると、秋葉さんが首を傾げて僕らを見た。意外、というかなんというか、天然っぽいな。
ふと、本当に唐突にだけど、良いチームになるかもしれないなんて思ってしまった。なんにも脈絡がないけど、この四人は結構合ってるのかもな、なんて思ったり。
「てめえら! いつまでも遊んでんじゃねえ! 斯道、お前のニューセンスこいつに見せてやれ」
「いえすまいまむ」
にやにやと笑いながらアゴヒゲを撫でていた斯道さんがふざけて左手の敬礼をして、唐突に左腕をブレさせる。文字通り、映像を重ねたように肩から腕が分裂したのだ。
「ええ!? こ、これって」
「影分身の術、あるいは残像なり」
左腕はなおも増え続け、ついに八本にまでなった。慣れた僕でさえ直視し続ければ目が痛くなるような映像だ。元々の一本は敬礼をしたまま、一本は顔の前で人差し指と中指を立てて手を握り忍者のポーズ、一本はサムズアップ、一本は腕を伸ばして銃のような握りにしても秋葉さんに向ける、一本はアゴヒゲを撫でている、後の三本はネタが切れたのか、適当に後ろの方でジャンケンをしていた。
「ま、ま、まさか本当にこんなことが……」
「ありゃ、杏音ちゃんはちゃんと見たことなかったかのかい?」
「斯道さんのニューセンスは遠目だと分かりづらいですからねー」
「つーか英雄の中でも分かってねえ奴いんだろ。絶対」
若干引き気味の秋葉さんに見せつけるように斯道さんは八本の左腕を動かす。明らかに腰が引けていて、ずりずりと後ろに退いていっている。それを太刀風さんが押し留める。
「さっきの話に戻るとな、斯道のニューセンスは六対三分類法でいうところの空間干渉にあたる。空間っつうのは難しくいうと三次元上の座標みたいなもんで、斯道のそれは自分を中心とした次元に干渉して存在自体を歪ませてる。あのタコ腕全部が斯道の腕であり、また全部が偽物って訳だ」
「まあ俺にも原理はよく分からないだがねぇ」
八本の左腕を徐々に重ねていき、あるべき姿に戻った頃にはなんの変哲もない普通の腕になっていた。今のはCGです、っていわれたらつい信じてしまいそうな自然さだ。秋葉さんは何度も目を擦って斯道さんを見ている。
秋葉さんの後ろにいた太刀風さんは立ち上がり右手を上に向けて突き出すと、手のひらの上に向かって息を吹きかけた。秋葉さんは今度も目を凝らすが、大きな変化がないので何が起こっているのか分からない。太刀風さんが僕を見る。
「明日輝。ちょっと煙草に火を点けて煙だせ」
「お。了解」
さっき投げたパーカーからラッキーストライクとライターを取り出し、火を点けて心底嫌そうな太刀風さんの右手に向かって煙を細く吐き出した。しばらく真っ直ぐ伸びていた煙の筋が、手のひらの少し上で勢いを止められ白い気流が乱れる。
「見えるか? 今あたしの手のひらの上には空気の塊がある。これがあたしのニューセンス、物質操作だ。気体限定で平面状に圧縮出来る。見てろよ」
紫煙によって形がはっきりした円形に圧縮された空気の板が太刀風さんの合図と共に解放され、天井に向かって元の体積に戻る。煙が上に向かって勢い良く吹き上がり、空調の風によって掻き消された。
「すごい……」
「別にすごかねえ。あたしらにとってはこれぐらい呼吸をするのと同じぐらい簡単なことだ」
いつまで吸ってんすか、という斯道さんの嫌みに聞きしぶしぶ煙草を携帯灰皿に押し積めてパーカーの上に投げる。太刀風さんは一旦言葉を止めて壁際に座り直すと、また空気の板を指先に作り宙を漂う紫煙の残りに向かって打ち出した。今度はそこそこの量の空気を圧縮させたようで、一瞬で煙が霧散する。
また放心しかけている秋葉さんを囲んで座り、今度はちゃんと反応を返せるようになるまで待つことにした。どうやら秋葉さんは考え込むと表情が険しくなるたちらしい。少しずつ消化していた秋葉さんはふと思い付いたように顔を上げ、斜め後ろにいた僕を振り向いた。
「それじゃあ、七緒さんのニューセンスは一体なんなのですか?」
「あー……僕?」
こう来ると予想はしていたけどなんて説明すれば良いのか分からない。言葉に詰まっていると、舌打ちと共に太刀風さんが口を開いた。
「光の速度が変わらないようにな、何事にも例外ってもんはある。明日輝のニューセンスは世界的に見ても数少ない例外の一つなんだよ」
秋葉さんは首を傾げて近づいてきて、いかにも興味津々といった目で僕を見ている。うーん、仕方ないっか。やっぱりこれについては僕の担当だよね。
「僕のニューセンスは、六対三分類法には当てはまらない、具現思念というのなんです」
左手を広げて見せ、手の中に闇のボールを創り出した。滲み出るように闇が手から溢れだし球体へ形を取る。
「僕はこれを便宜上闇って呼んでますけど本当に闇な訳ではありません。具現思念の名の通り、これは僕の思念が具現化した存在です。体積も質量もありますが、物質ではないんですよ。だから質感や硬度、形など全て思いのまま、自由自在です」
闇のボールは僕の思い描く形に歪んでいく。ボールは正六面体になり、正六面体は円柱になり、円柱は鉛筆になり、鉛筆はリングになる。僕がなるべき形を想像すれば、具現化された思念もなるべき形を取る。リングを高速で回転させて球体させ、一瞬で霧散させた。この通り、動かすのも消すのも思いどおりなのである。
「六対三分類法はそれぞれの対象と効果を続けて呼ぶ。斯道の空間干渉とかあたしの物質操作みてえにな。だがこいつのニューセンスは分類不可でな、昔は物理創造とか物質創造とかって分類してたんだがあんまりにもイレギュラーっつうか反則気味だから、十五年前ぐらいに具現思念って新しい項目をつくったんだよ」
「十五年前?」
僕の手をじっと見ていた秋葉さんが鋭くその言葉に反応した。なかなか勘がいいな。
「どうして十五年前なんですか? 七緒さんは確か二十歳ですよね。それだとおかしいような気がするんですけど」
秋葉さんが太刀風さんの方を見てそう聞くと、また珍しい太刀風さんのキョトン顔と向かい合った。太刀風さんは少しの間眉を顰めて思考し、やっとその言葉の意味に気が付いた。
「ああそうか。いってなかったな。具現思念はこいつが初めてじゃないんだよ」
秋葉さんはまたくるっと振り向き僕を見る。ほんの少しだけ苦笑して、太刀風さんの言葉を引き継いだ。
「日本で具現思念に分類されているのは僕と、もう一人いるんです。彼女が生まれたすぐ後に、具現思念という分類が出来たんですよ」
表情を険しくさせ悩む秋葉さんを見ながら、また別の事を思い出して苦笑した。最近はつくづく彼女に縁があるな、と思いだして。
「彼女の名前は姫野麻奈穂。つまり――」
「輝きの剣姫!」
秋葉さんは、また正座のまま飛び上がって驚いた。