第一話 『The beginning of the end』
"地球"。それは神という存在が作った、美しく綺麗なたった一つの「生命」が存在する惑星である。
…だった、はずなのだ。
今の此処は汚く、とても美しいとは言えないだろう。それも、人間達が環境を破壊し、自然を汚染した結果である。
もはや、この惑星には使い道は無い。ならば、まずこの惑星の為に使った資源を「回収」しなければーー。
…そうして目覚めたのが、「ニンゲン」である。
「ん〜、、よく寝た!!」
やっぱり朝っていいな。
すっきりするし、新しい始まりって感じがする。
空乃ユイ、中学2年生。ごく普通の家庭で、愛され、幸せに14年間を暮らしていた。
「あ、おはようユイ。自分で起きたのね?」
「な…!私だって自分で起きられるもん…もう!」
「うふふ、ごめんごめん」
お母さんと楽しく会話をしながら食卓に着く。いつもお馴染みの、お誕生日席だ。
「ユイ、そういえばだけど、、最近お友達で"アレ"の被害に遭った子は居ない?」
「あぁ…友達では居ないけど、友達のおばさんが住んでる所が…衝撃波?みたいなので家も人も跡形も無く消えちゃったんだって。」
「あらそう、、本当、怖いわね…。」
"アレ"とは、世界で急に起き始めた謎の災害である。津波や地震なども含まれるが、普通の自然災害とは違って、プレートがなんだか…というのと因果関係が見つけられないらしい。
科学的にも証明できなくて、何も解明出来ないまま発生から早3年が過ぎていた。
「あー美味しかった!ご馳走様!!」
私は、ガタッと音を立てて椅子を立った。早々と支度をして、玄関に向かう廊下を歩く。
謎の災害…か。、、まぁ、私の所に限って起こるなんて事ないだろうし、いつか究明されるよね。
「じゃあ行ってきまーす!」
登下校の道は、狭くて虫も沢山いる。だが、ユイにとってはそれも大切な"思い出"の一つだ。
「…ん?なにこの音…」
ゴゴゴ、と大きな音があたりに響き渡った。その瞬間、一帯が緑色のナニカにつつまれる。
「っきゃあああぁぁぁあ!!!」
それまで全く経験したことのないような苦しみだった。まるで、胸を小さな何かで貫かれたような。
「いっ……!これ、はーー、、土と…花?」
花、と聞いたら綺麗で痛くなど無いと思うかもしれないが、それは間違いだ。花には、普通のものとは違う、まるで針のようなトゲがついていた。
「…へ、、なに、これ」
何かベタついているような気がして、焦点の合わない目で自分の右手を見てみると、そこは赤黒く染まっているのだった。
「…あ"ぁ"、ッ"」
それに気づいた時に、痺れるような痛みがユイの神経を通る。叫ぶ力も出なかった。
お母さんは…?お兄ちゃんとお父さんも、、大丈夫、かな…。声を出すのも辛くて、ずっと口をパクパクさせている。
…私、死ぬのかな。訳がわからない状態のまま、このまま、ゆっくりと。
その時、目の前に影がかかる。
「え」
「助けて欲しいですか?」
それを聞いて、私はゆっくりと頭を起こしてその声の主を見る。
「…天、使、、?」
それは、大きな羽をつけた女性だった。真っ白で雪のようなロングヘアーに、怪しく光る赤い瞳が反射していた。
「まぁ、そんなところですね」
女性は、私と視線が合うように屈んだ。近くで見ると、かなりの美形であることがよく分かる。
「…貴方は、選ばれました。ここで私の手を取れば、、神の子として生き返り、一生を神の為に尽くすことが出来ます」
「っえ、どういう…こと、?」
どういう事か、全く意味がわからなかった。何も分からないからこそ、怖くなってしまって思わず後退りをする。
「…わかりませんか」
女性はゆっくり立ち上がって、、こちらに斧を振り翳した。その矛先は、どう考えても私を指している。
「この場で塵となるか、神様の為に働くか。選べと言っているのです」
私が選ぶことのできる選択肢は、間違いなく一つしか無かった。震える手で、彼女が差し出した手をつかむ。
「貴方の為なのです。」
彼女は一言、私にそうささやいて、私の視界を冷たい手で覆っていくのだった。




