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1_23 六火仙ファミリー

”二階堂さん、その先が別棟に続いているようです。どうします?”

省吾が半ば委縮しながら訪ねる。

「だ、黙れ。それよりも南山を出せ!おい南山、聞いているだろう。答えろ!」

まだ後ろに敵が存在する可能性がぬぐい切れていないにもかかわらず二階堂は天を仰ぎ見ながら言った。

”聞いているぞ、二階堂。そうエキサイトするな”

「エキサイトだって。ああ、”エキサイト”するさ。お前、元々あいつ等の仲間だったようだな?

どういうつもりだ、俺を売ったのか?!イーノ、お前もこの豚野郎に一杯食わされてるぞ。

いや、それよりもだ。さっきどうして無線で直ぐに答えなかった?!

あんな見たことも無いような連中、それに武器、人を蔑み、物を見るかのような目。

あんなもん死んだも同然と思ったわ」

矢継ぎ早に問いかける二階堂を各々が必死になだめる。

”ニカイドウサン、オチツイテ。大丈夫です、私はこの状況を把握しています”

「なんだって?!おい省吾、お前はどうなんだ」

イーノの答えに驚愕しながらも省吾にも確認を取る。

”僕は先程南山さんから・・・その・・・二階堂さん”

”いい省吾、俺が話す”

省吾の弁解を南山が遮る。

”二階堂、まずはすまなかった。無線の応答が遅くなったのは事実確認とお前の持っているカメラのモニターから出来るだけ

あいつ等の情報を収集するためだ。おまけでうまくいった。”

「お前っ――」

訝る二階堂を必死になだめる南山。

”さっき六火仙の連中が俺を知っていたように確かに俺はここにいた連中の一味だ。

俺は防衛省から特別辞令を受け取ってここへ転属になった”

「やっぱり、お前はこの・・・いや待てっ、防衛省だと?!」

防衛省という言葉に思わず息を飲む。

”ああ、ここは防衛省の管轄。決して表沙汰にはできない、米国すら情報を掴んでいない秘匿中の秘匿。

日本政府直属のシェルター兼防衛基地群・第6セクターだ”

二階堂は徐々に落ち着きを取り戻しながら南山に問いかける。

「冗談で言ってるんじゃないんだろうな」

”当たり前だ。ここは第二次世界大戦後直ぐに解体前の日本軍によって提唱され、

高度経済成長期に建造がスタートした第三次世界大戦に向けた日本最後の砦だ。

俺は其処の監督として開発チームに参加することになった”

「第三次世界大戦・・・俺も隊に居るときは時代が進むにつれて可能性が増してくると散々論されたが

マジで言ってんのか」

二階堂は息を整え終えると辺りの状況を把握しながら南山に問い返した。

”ああ、お前は除隊して日が長くなるからその辺遠のいているだろうが今かなり緊迫している。

全ては減り行くエネルギー関連や枯渇資源を背景に必然的に国力の増強を図るためまずはロシア辺りが動き出す。

そしてそれは、やがてアメリカ、中国を巻き込み全世界に広がりを見せる、その行き着く先だ”

「じゃあなぜ、日本の秘匿中の秘匿であるここから逃げ出した?いやそれよりも、なぜ中国に売ろうと思った?」

二階堂は手すりを掴みながら幅の限りなく短い橋の下の奈落を覗き込みながら言った。

”かいつまんで話すが、まずお前古今大佐って奴見たろ”

「ああ」

”あいつは元々防衛省のキャリア組でここの事実上の責任者の一人だった。

そして俺がここに来た時は既にあらゆる管理職を懐柔していた。

ここはもはや古今の私的な基地と化していたんだ。

そしてある日、大部分の隊員と一部の管理職の人間を引っ下げてウバメンツと呼ばれる国際条約違反の生物兵器を掌握し

このセクターを掌握した”

「それがお前の最初に言っていた大日本帝国の下りと言う事か?」

二階堂は身を翻し、今度は自分の来たドアの方を向く。

ドアの横には大きな鍵のマークとその下にはバケツ程度の大きさの黒く四角い塊が置いてあった。

(なんだあれ?)

”その通り、俺はその蜂起の最中にお前が知るイーノたちに連絡を取り、脱出の手引きをしてもらって今に至るという訳だ”

「普通は内閣府や百歩譲ってもWHホワイトハウスにコンタクトを取るだろう?お前ならできるはず」

南山はそれを聞くと渋い声をしながらぼやく。

”内閣府には古今と通じている者やパトロンまでいる。WHはCIAが既にここの調査に乗り出していた。

その中で俺の身が”一番安全”に保障できるのは・・・”

「お前の知り合いの人民軍だったという訳か・・・皮肉な話だ」

その時、二階堂の腰のホルスターからシャカシャカとカードを切るような音が鳴りだした。

”ヤバイッ! タロットホルダー が動き出した!”

「南山、これは一体何なんだ。お前ならこれが何だかわかるだろう?!」

凄い音を立ててカードホルダ―が振動しだす。

”おそらくそれは元々開発中のウバメンツを制御するチップ群をトレースする装置だ。

悪趣味な野郎がタロットに細工しているがな。しかしどういう事だ、ウバメンツの制御がまるでランダムの様に・・・”

そう言った矢先、チンッ!という小気味いい音が鳴りカードがホルスターから顔を出した。

”二階堂、カードを抜いて何が出たのか確認しろ!状況が解るかもしれん”

「クソッ!!」

二階堂は悪態をつきながらホルスターからカードを引き抜く。


NO.12 THE HANGED MAN (吊るされた男) 正位置


「なんだこれ、宙吊りになった人が・・・」

”まずい、いいカードではないっ。急いでその場を離れるんだ!”

南山は二階堂を急かしだす。

「逃げろって言っても・・・この手すりも無い30CM程の幅しかない橋を強風吹き荒れる中渡れっていうのか?!

下は底知れない奈落だぞ!それに橋は何メートルあると思っているんだ」

二階堂は顔面が青ざめる。

”そう言ってもそこに居たらやがてウバメ達が来るに違いない、急げ。後、向こう岸を見ろ!”

「向こう岸・・・?」

目を細めながら橋の終端の壁を見る。

そこにはここに有る鍵のマークと同じように扉の横に鍵穴のマークが有り、下にはいかにも物を置くような穴が開いてあった。

その意味を感覚でつかみ取り、嫌な予感がよぎる。

「・・・おい冗談だろ、ここに有る重そうな金属の物体をあっちに運ばなきゃ扉が開かないとでもいうのか!?」

その時、ナイフで制御盤を壊して開かなくしたドアがへこみ出す。

「マズい!!あいつ等だ!」

”二階堂さん!!ドアの向こうに多数の熱源がっ”

モニターしていた省吾が悲痛の叫びをあげる。

「くそっくそっ、もうどうにでもなれってんだ」

そう言うと二階堂は鍵マークまで行って黒ずんだ金属の四角い塊を両手で抱えた。

「くそっ・・・・重いィィィ!!!!」

優にそれは20キロはあろうかという金属の塊だった。

「ふう、ふう、い、行くぞ!!死んでたまるか!!」

二階堂はそう言って意を決して橋の前に立った。

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