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1_61 敵前逃亡は死罪?!


二階堂の目の前には白目をむき泡を吹く小野。

そして、まだかろうじて意識の保っている僧正が倒れこんでいた。

周りには割れたガラス片、そして散乱したティーポット。

「・・・・・・見事だ二階堂。それでこそ大日本帝国軍人よ・・・」

「黙れこのキチガイどもが・・・・」

二階堂は僧正の胸ぐらを掴むとグイっと自身へと引き寄せた。

現実に戻っては僧正に迫った時に二階堂は気が付いた。

仮想の時に見た僧正よりも身体が明らかに貧相である。

そんな疑問が頭に過ぎりながらも二階堂は相手を質問攻めにする。

「それよりこれはどういうことだ、なぜこんな手を込んだことをする?

それに加えお前らだ、不気味を通り越して変態としか言いようがない」

「ふ、ふふ、変態か・・・・まあそれがお似合いの言葉よ。

我ら帝国軍人にとって隊長の勅命は絶対・・・生け捕りにしろというのであるならばこのようなこともやむを得ない」

二階堂は聞いて鼻で笑い僧正を突き飛ばした。

「馬鹿言ってんじゃねーよ。メイドがプラネタリウム室の仮想マシンが作っていたとするならば、

薬関係なくお前らもノリノリってことだろうが今変態おやじどもっ」

そういうと今度は僧正が鼻で笑いながら言った。

「小野の作った”異世界転性薬”はこの代り映えのない毎日のいい刺激になった。

ただ未完成が故に効果が薄く、二度目には―――うううっ、ごっごほっ、ごほっ!」

もはや息も絶え絶えの僧正に二階堂は憐みの眼差しだけを向けた。

僧正の呼吸が小さくなり、やがてその心の鼓動を止めた。

と、思ったその時。

「ご主人ぁーーーご主人ぁーーーーーあーあーあーーーーーーーご、ごしゅ、ご、ごしゅ」

目をひん剥き、僧正は二階堂の足元を掴んで錯乱した声を上げながら絶命した。

「呪われてるぜ・・・」

二階堂は掴まれた足元の手を払いのけた後に力強く踏みつけ、出口の方に向かって歩き出した。


歩きながら襟の無線のスイッチを入れる。

「省吾、南山聞こえるか?」

”大丈夫ですか?!二階堂さん、こちらから無線を呼び掛けても全く応答がなくて心配しました”

”こちらのモニターからいくらか状況が把握できたが・・・まあ・・・なんだ・・・旅の恥は搔き捨てろってやつだ”

南山が例の仮想マシンの映像の一部始終を見ていたのか、柄にもなくこちらへ気を使っているようだった。

「やかましい、さあとっとと行くぞ。省吾、ここからサーバールームへのナビを頼む、遅れてしまったがっ・・・・」

言いながら観音開きの扉を開けた瞬間、あの”二人”がそこにいた。

後ろに大量のウバメ達を引き連れて。


左の兵が言った。

「おい二階堂!お前もうやめるんか!?ちょっとつまづいたらすぐにやめようとする・・・そのヘタレの根性が実生活にも現れとるいう話やろがい!」

右の兵が言う。

「俺言うたでよ・・・”そう簡単にゲームオーバーならん”いうて。ホンマに聞き分けならんダボやなお前はよ!!」


カシャカシャカシャカシャ・・・・


NO.8 STRENGTH(力) 逆位置


「オオオオオオオオオオオォ!!!!」

回れ右してわき目も降らず全力疾走した。

「し、しょうご、しょうごぉーーーー!」

二階堂は息を切らせながら無線で応援を求む。

”プラネタそのまままっすぐ10時方向!わかりにくいと思いますが絶対非常口があります!”

「くそぉおおおおお!」

二階堂はその一面同じ色の壁しか見えないところを思いっきりタックルした。

ちょうどその非常口にヒットしたのか扉は開かれてその勢いのままゴロゴロと転がるもすぐに飛び上がり

走り出した。

広く長い廊下に出た。

だがすぐ右横を見ると追ってきたウバメ達が追い付いており、走りながらこちらに近づき全員そろって綺麗に手をL字に切っていた。

「ひぃぃいいいいい!」

方や左横を見るとほかのウバメ達が走りながら両手を上下にリズムよくフリフリして二階堂に接近する。

「ふぉおおおおおおおお!」

両側を挟まれ、絶体絶命の中、それでも二階堂は駆けた。

自身も世の中には自分よりも早い奴はいないんじゃないかと言うくらい信じられないスピードで走った。

「?!」

その二階堂に絶望が訪れる。

正面の扉は右側にコンソールが備え付けており、明らかに何らかのロックが掛かっているようだった。

「ほ、ほかに・・・み、道は・・・」

”他には道はない!二階堂、しょうがない何とかして扉は開けられないか?!”

「馬鹿南山・・・んな、こと、、、、うううっ!!」

扉に近くなり視点がコンソールに定まると二階堂はにわかには信じられないものに驚愕した。

コンソールではなく、子供のころ遊んだじゃんけんのパネルゲームマシンだった。

こんな状況でも鮮明によみがえる子供のころの記憶。

思わず泣きたくなるような音声までそのマシンから聞こえてきた。

「じゃんけん―――じゃんけん―――じゃんけん―――」

「お、おおおお、お、マジか、、、マジか―――」

コンソールにたどり着き、足だけをバタバタさせながらそのマシンを見る。

それは紛れもなく”あの”マシーンでグーチョキーパーのボタンが備え付けてあり、モニターはじゃんけんパネルが激しく点滅している。

”押せ二階堂!かけるしかない!”

「うううっ」

目前に迫るウバメ達、先程のものに加え、腋毛を剃る様な仕草をするものや大阪の芸人のするような歩き方をするものまで

狂った連中がわらわら向かってくる。

「じゃんけん―――じゃんけん―――じゃんけん―――」

「クソッ―――――――――!!」

二階堂は考える暇もなく真ん中のチョキボタンを押した。

モニターは一瞬パーが写った。

「やっ・・・・!」たと言おうとしたときすぐにモニタはグーになった。

「ヽ(・ω・)/ズコー」

「このダボがぁーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

足元の地面がパックリ二つに割れて二階堂は奈落に落ちた。


ゴロゴロゴロゴロ・・・・・ズドン!

一色線落下でなく、すぐに斜めの穴に入り転がり落ちるようになったのが唯一の救いだった。

ゴロゴロ転がり落ちた先は広い車両庫の様だった。

だが間髪入れずに目の前には明らかに阿波踊りであろう踊りをしながら笑顔のウバメ達が迫ってくる。

「も、もう勘弁・・・」

慌てて飛び起き、途中足をもつれさせながらも必死に逃げ惑う。

「勘弁してくれ―――――――――!」

叫んだ矢先、自身の体が急に軽くなった。

「?!」

一瞬何事かと思ったがすぐに解った。

いつの間にかウバメに両腕を取られて捕まったのだ。

そのまま”わっしょいわっしょい”と音頭を取られて数人に宙に投げられ運び出される。

「ふぎゃああああああああああああああああ!!!!!」

まるでボールの方にもてあそばれる二階堂の先には”アイツ”がいた。

「4番・・・ピッチャー、ウバメちゃん・・・ボール、ヘタレ、二階堂君の後攻です」

バットを構えて信じられないほどの轟音を出しながらスイングするあの兵士。

「おおおおおおおおお・・・・・」

二階堂はその光景にみるみるうちに全身の血が引いた。

「ピッチャー第一球・・・投げました!」

「グッ!」

二階堂はウバメに投げられる最中急いで自身の身体を丸めて防御態勢を取った。

それは、望まぬとも自らボールになったようである。

兵は大きく振りかぶり、目をカッと見開くと二階堂へ向けてフルスイングした。

背中に直撃。骨の折れる音が聞こえ、その人間離れした力で体は”くの字”になり数十メーター先に吹っ飛ばされた。

ヒュー――ドスンッ、ゴロゴロゴロ・・・・

「がっがはっ!」

人生で今まで経験したことのないような痛みに襲われながら、二階堂は足が動くとわかるやヨロヨロと駆け出した。

「どこ行くねん!まだ始まったばっかりやろがい!」

「ふざけやがって・・・次のバッターは俺だぜ?」

二人が二階堂の背中に向けて言いたい放題言っているが、かまわず二階堂は無線を聞きながら逃げることをやめなかった。

二階堂はあいつ等が言うことにも聞く耳も持たず、目の前に運よくエアロックが有ったので急いで滑り込んでロックをかけた。


「おい聞いとんのか二階堂!・・・ホンマにマジでお前軍人か?」

「二階堂逃げんなや!・・・お前・・・・」


「敵前逃亡は死罪やろがっ・・・・・・・・まあ、殺さんけどよ・・・フフッ」

二人はウバメ達とその場を後にした二階堂の見ながらニタニタ笑っていた。

「いやー今日も我が国は日本晴れ、気分も晴れやかよ、なあ二階堂!」

「フハハハハハ!」

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