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1_44 大伴


混乱するハリアー団に向かって二階堂は北監視塔から我武者羅に射撃する。

それらを巧みに回避する中、一人2番が高笑いを始めた。

「は、ハハハハハ!なんだ、そういうことか~やるなぁ二階堂。流石は俺と同じ”二番”持ちだ」

大伴はその高笑いに神経をイラつかせながら二番に問いかけた。

「笑ってんじゃねぇぞ2、どういうことか説明しろ」

するとハリアー2はレーザーサイトを北監視塔の下部辺りを照らした。

「あそこにハリアー5が爆破した南監視塔の小さな破片がいくつか散らばっているでしょう?

その中に見てくださいよ、煙を上げているドラム缶が転がって・・・・ハハハハハッ!二階堂、あいつは面白すぎる」

それを聞いた、ハリアー5がにわかには信じられない様子で言った。

「馬鹿な・・・あいつはミサイルが爆発して黒煙が上がったのを利用して・・・」

「銅板の上にでも置いたドラム缶の中に入って、下に爆弾でも置いて爆破して北監視塔までぶっ飛んだんだ」

「マジかよおい、面白すぎるだろう・・・」

ハリアー団の面々は4が撃墜されたことを気にも留めずにそれぞれ二階堂の奇行に湧きだった。

大伴がそれを制止する。

「貴様ら、止めろっ!無線を私語に使うな!それにしても二階堂の奴・・・かつて

第二次世界大戦時には、誇り高き名誉ある我々の先輩方が爆薬を搭載した魚雷に乗って自ら敵艦まで操舵したという

”人間魚雷”を彷彿とさせる・・・二階堂、貴様は帝国軍人になる資格があるのやもしれん」

「団長!さっさと行きましょうや、二階堂の奴をひっ捕まえましょう」

「だな、俺は4が元々気に食わなかったんだ。その礼も入れたいしな」

それぞれ急旋回し、北監視塔へとアフターバーナーを上げる。

「各員体制を整えよ!強襲する」「了解!」


”二階堂さん、うまくいきましたね”

「うまくいったじゃねーよ、次はないからな!」

省吾の安堵した声にも今の二階堂には耳障りでしかない。

”よし、できるだけ弾幕を張れ。盛大にだ。次の準備だ!省吾、北監視塔の”アレ”は?”

南山が省吾を急かす。

”今やってますって!しばしお待ちを・・・”

無線からはキーボードを叩く音が激しく聞こえる。

二階堂の眼前には光り輝く6つのシルエットが凄まじい勢いで迫ってくる。

「おいまだか早くしろ、せっかく命張ってやったのが水の泡になっちまう!」

”アクセスできた・・・・あとは、コード入力・・・遠隔設定・・・コンソールは・・・来い!来い!・・・・オンライン、スタンバイ来た!”

返事を切望する二階堂は悲痛な声を上げる。

「おい出来たのか?!出来たのか!どうなんだ!」

すると声を弾ませた省吾が二階堂に答える。

”準備完了!二階堂さん、やりますよ!”

「省吾、お前はやっぱり俺の一番大事な後輩よ!」

二階堂は嬉々として声を上げる。

”俺はどうだ、二階堂?”

「死ね!!!」

南山が無線越しでもシュンとなっているのがなんとなくわかった。

そして、眼前にハリアー団たちが現れた。

少し距離を置いて2と7、6、そしてその後方を大伴と5、3が飛び交う。

「”キュウソネコカミ”という!気をつけろ!」

「団長はそこで見ていてください。行くぞ7、6!」

「なんでハリアー2が音頭とってんだ、ふざけやがって・・・・」

2は6や7の愚痴るのをガン無視して二階堂向けて突っ込んだ。

二階堂は監視塔に備え付けられている機銃を乱射した。

「二階堂、馬鹿の一つ覚えっ!」

2は背中を反らせるように回避すると、腕に付けられているバルカンを掃射した。

バララララララ!

「ひいいいいいぃぃぃいいぃい!」

二階堂はさっさと機銃から離れて奥の衝立に隠れてしまった。

「さっきの根性はどこに行った?!二階堂、貴様はやはりっ―――?!」

6が二階堂が逃げ込んだ衝立の裏に回り込もうとしたとき、二階堂が使っていたはずの機銃の銃口が動き出した。

「なぁっ!!!?」

機銃の一斉掃射。

まるで機銃自身が意思を持ったかのように狙い定めたそれは6の足に付けられたジェットエンジンに無数の穴をあけた。

「っ緊急脱出ぅううううう!?」

6が腕のコンソールから輪が付いたコードを引っ張り出そうとしたとき、違和感を感じて前を向いた。

眼前には他の方角に向けられていた据え置きの機銃すらこちらを向いていることが分かった。

ダダダダダダッ!

ハチの巣になるハリアー6。

その時、ハリアー6はとっさに反撃しようとしたのか腕のバルカンが多方面へ火を噴いた。

それはまるで引き寄せられるかのように真向いの7のバックパックへと直撃する。

「6、この馬鹿野郎!」

7は爆発する前に急いで緊急脱出のコードを引っ張った。

すると7の身体についていた装備は一瞬にしてバラバラになり、7と共に落下した。

7のランドセルと背中の間についていた落下傘が開くもあまりにも地面に近いため減速することができずに

地面にたたきつけられる。

7は雪の積もる地面に埋もれたまま身動き止めた。

「や、やった。これで3人、残り3人!!」

「クソ二階堂!!いい気になりやがってダボが!」

2が怒号を発し、グレネード弾を乱射する。

それは北監視塔のあちこちに着弾し、爆炎を上げた。

”冷静になれ2!これでは敵の思うつぼだ!”

”情けない奴・・・・”

大伴の制止と5の呆れ声が聞こえるも2の耳には届かず、すでに頭に血が上っていた。

すると突然、衝立に隠れていた二階堂がひょっこりと姿を現した。

「っ!野郎---!」

「来いよハエ野郎!!」

2は腕のグレネードを捨てて蛍光灯のような近接戦闘用レーザーブレイドを装備する。

「死ねやこらぁぁぁぁぁ!!!!」

”ハリアー2突っ込むな!”

「うるせぇ!」

「今だ!!!」

二階堂はぎりぎりまで迫った瞬間を狙って、持っていた一眼レフを構えた。

そしてシャッターを切る。

「なっ!!!!」

一瞬の眩いばかりの光にハリアー2のフライトヘルメットは一瞬真っ白になり、突然の出来事に錯乱した。

二階堂は一眼レフに搭載されているフラッシュを炊いたのだ。

だが二階堂が潜入する際に持ち込んだカメラは特殊な細工が様々に施されている。

通常の動画静止画撮影、データー通信、相互通信、モニターに加え細工してあるのがフラッシュである。

通常のフラッシュと違い、超小型にも関わらずガイドナンバー60にも匹敵するストロボ能力を持つそれは

ハリアー2の視界をつぶすには十分だった。

そして一瞬の瞬きのあと、再び目を開いたとき。

「!!!」

目の前に鋼鉄の柱が広がっていた。

監視塔の柱に激突しそのまま地面へと真っ逆さまに墜落した。

「・・・・・ハリアー1、どうやら先程の機銃は何者かに操作されていたようだ」

事態を後方から冷静に見つめていたハリアー5が呟く。

「南山のほかにも、”色々”ついているようだ。これだけでも収穫よ」

「また二階堂がいなくなったな、今度はどこに消えた?」

3が静まり返った監視塔見て辺りを索敵する。

「残るは北西監視塔か?」

大伴が北西監視塔の方を見やる。

「任せろ」

5が北西監視塔に向けてもう片方に備え付けられた残りもう一つの小型ミサイルを構えて、発射する。

今度のミサイルは監視塔の中心、腹のあたりに直撃し爆発音と黒煙を上げて監視塔は崩壊した。

―――暫くして。

「・・・・・・手ごたえを感じない」

5がぼそりといった。

「雪の中に埋もれたか?」

3がそういってコンソールであたりにいるウバメ達に支持を出して辺りをサーチライトで照らしてゆく。

だが大本は一人、微動だにせず、その場で浮遊していた。

「どうした団長?」

「二階堂は、基本はゴキブリのように這いまわるゴミ虫だが売られた喧嘩は買うやつだ・・・そうだろう二階堂?!」

そういって大伴が大きく振り返った時、二階堂はそこにいた。

「・・・・・・こうなりゃ、死なばもろともだ」

「このわずかな間に・・・どうやって・・・」

ハリアー団三人の前に現れたのは彼らの装備品”フライングハリアースーツ・通称F.H.S”を身に着けた二階堂の姿があった。

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