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1_43 大伴


二階堂は雄たけびを上げながら機関砲をハリアー団に向けて乱射した。

それをハリアー団の面々は夜空を縦横無尽に駆け巡りながら回避してゆく。

「二階堂め!元気だけは一人前だな。闇雲に撃っても無駄に浪費するだけだというのに」

ハリアー団の中でも一番大柄の大伴は滑空しながら二階堂の居る監視塔へ向けて

右腕に付けられた二連バルカン砲のレーダーサイトを掃射した。

「ひぃぃぃぃい!!」

赤いレーダーがこちらに向けられているのをすぐさま察知した二階堂は素早く身を屈め、衝立にへばりつく。

そもそも二階堂の籠城する全高50m程の監視塔は中々強固な作りになっており監視するためのビームライト、各機銃、

弾薬が監視室へ備え付けられておりその縁は防弾ガラスこそ無いものの頑丈な鉄鋼作りになっていた。

バララララララ!

大伴のバルカンが火を噴く。

弾が鉄鋼製の衝立に当たるたびに激しい音が響き渡る。

二階堂はそれを震えながら必死に耐えた。

射撃音が止み、とっさに二階堂は顔を上げた途端、今度はその顔面一直線にグレネード団が飛んできた。

二階堂は崩れ落ちる様に回避する。

グレネード弾は当たることなく監視塔を貫き、そのままウバメ達の中に落ちてさく裂した。

爆風に当たったウバメ達は何ら怪我することも無くキャッキャとはしゃぎ回っている。

「おい、ハリアー3!遊んでんじゃねーぞ」

空を滞空していたヤル気の無さが態度にじみ出るハリアー7が叱責する。

見ればハリアー団の面々は足についているジェットスラスターと思しき物に番号が印字されている。

「ああっ?!ならお前がやったらどうなんだ、ボンクラが」

「どうでもいいからさ、早くやってくんないかな。さっきから俺が追い回しているから燃料残ってないんだよね」

「適当なこと言ってんじゃねーよ、ハリアー2」

「おい!4お前がやれよ、お前が”多目的向き”だろうが」

たしかに4のみは他と違い、翼や腕、足に多くの武装を備えていた。

しかし4は名指しして来た6に向かって突っ込んでゆく。

驚いた6は急ぎ回避行動を取る。

「馬鹿野郎!なにすんだ!」

「貴様の部下になった覚えはない、気安く命令するんじゃない」

「んだとオラ、スカシてんじゃねーぞ!」

どうも傍から拡声器から伝わる声を遠巻きに二階堂が聞いても彼らは仲が悪いようだった。

”二階堂聞いているか、こいつらの様子から見るにまだ勝機は残されている”

モニターしていた南山が二階堂に無線から伝える。

「解ってるぜ、こんな場所で・・・死ねるかよダボが!」

最早二階堂は南山を信用していないのか吐き捨てる様に答えた。

”二階堂さん、ちょっといいですか?先程その近辺を洗っているのですがどうやら監視塔はそこだけではありませんね?”

省吾の問いに二階堂はここに来る前の事を思い出す。

「ああ、暗がりだが目視で確認した限りではあと二つ300mほど先にあったはず」

それを聞いた省吾は声を弾ませて言った。

”ならいい作戦があります、二階堂さんいいですか――――”

省吾の提案を二階堂は藁をもすがる思いで聞き入った。


「もういい!お前らいい加減にしろ!帝国空軍ともあろうものがこんなことでどうする?!

ハリアー5!」

「了解」

団の中でも最も忠実であろうハリアー5が急速旋回し、二階堂の監視塔目掛けて突っ込んでくる。

そのスピードは他と違いけた違いであった。

「くおっ!マズい!」

二階堂の悲鳴のような叫びがこだまする。

「いただく」

短い発声と共に、ハリアー5の左腕から小型ミサイルが発射された。

”これはマズい二階堂!!”

モニターしていた南山が悲痛な叫びをあげる。

「くっそぉおおおおお!」

二階堂が叫ぶと同時にミサイルは監視塔の屋根に直撃する。

ガラガラと音を立てながら屋根は崩れ、黒煙を上げた。

「ち、最初からそうしていればいいんだよ」

生意気な態度を取っていたハリアー2が両腕のバルカンを崩れた屋根に向かって掃射する。

「止めろハリアー2!死んだらどうする!?」

「死にゃあいいんですよ二階堂のボンクラなんか、後で脳みそだけ回収すりゃ古今お嬢も満足するって」

「古今少佐を愚弄するんじゃない!懲罰ものだぞ!」

また言い争いかと思った矢先、5が緊迫した声でそれを制止する。

「大伴団長、二階堂のボンクラがいないようだ」

「・・・そんなまさか?さっきまで監視塔の上でウジ虫のようにうじうじしていたというのに」

大伴がジェットエンジンの火を噴かせて監視塔に近づき目視やレーダーで照射するも

明らかに二階堂の姿は確認できなかった。

「・・・・どういうことだ?!どこにいった!」

その大伴の叫びと同時に後方から破裂音が鳴り響く。

「!!!」

大伴が振り向くとそこには翼やジェットエンジン、背中に背負った燃料を積んでいるとみられるランドセルに

射撃によって無数の穴があけられているハリアー4の姿があった。

「が、ガハッ!!!うわっぁぁああああああああ!」

ランドセルやエンジンが火を噴き大爆発を起こして4ははじけ飛んだ。

「なっ?!どういう事だ!!」

大伴は目の前の光景が信じられずに驚愕の声を上げた。

「大伴団長、北監視塔だ」

冷静沈着な、5が大伴に伝える。

「ンな馬鹿な、二階堂はさっきまでそこにいたんだ、そんなはず・・・・」

そう言って、索敵を得意とするハリアー7がパイロットヘルメットについている索敵ゴーグルを起動させて

北監視塔の方を見やった。

するとそこには、こちらに向けて長距離ライフルを構える二階堂の姿が確かに確認できた。

「二階堂、どういう事だ・・・・・・」



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