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第1章:届かない言葉

駅前の歩道橋の上を、優子はゆっくりと歩いていた。

春の風はまだ冷たく、コートの襟を少しだけ引き寄せる。


空は薄曇り。晴れそうで晴れない。

まるで今の自分みたいだ、とふと思う。


会社に向かう途中、優子はスマートフォンを確認しようとして、やめた。

通知は多分、夫からだ。

最近は連絡のほとんどが、「弁護士に連絡したか?」という類のものになっていた。


でも、今朝はまだ答えたくない。


「これ、優って人が作ったんですよ」


部下が手渡した資料を、優子は無言で受け取った。


「ふうん」


会議室の片隅で、ひときわラフな服装の男が足を組んで座っている。

ジャケットは着ているが、シャツのボタンはひとつ開いたまま。

髪もどこか適当。でも、どこか自然体で整っている。


――見た目のわりに、資料はちゃんとしてるじゃない。


表紙をめくりながら、そう思った。


一瞬、視線が合った。

男はにやっと笑い、軽く会釈をしたように眉を動かした。


なんだか、芝居がかった笑い方。

けれどその後の数ページに渡るプレゼン資料は、想像以上に整理されていた。


「名前は……まさるさん、だったかしら」


心の中でつぶやき、視線を資料に戻す。

名前と、資料の完成度に、ほんの少しだけ興味がわいた。


夜、家に戻ると、夫がソファに座っていた。

テレビの音がやけに大きい。


「今日、早かったのね」


「たまたまな」


食卓には買ってきた惣菜が並んでいた。

気を遣って料理をしない日が増えた。


「この煮物、味濃くない?」


「そう?」


「……まあ、いいけど」


言葉は少ない。

食器の音だけが、部屋に響く。


「弁護士のとこ、連絡は?」


「まだ。調整中だって」


「ふうん」


その“ふうん”は、嫌だった。

怒りでも悲しみでもない、ただの空虚。


空気は重く、ふたりの間に見えない壁があるようだった。


その頃、優は婚約者・千佳の部屋にいた。


「顔合わせ、来週の日曜でいいよね?」


「うん、そうだね」


「ちゃんとお母さんに確認しといてね」


「……うん」


千佳は手帳を閉じて、彼の顔を見た。

真面目で礼儀正しい女性だ。


「最近、なんかよそよそしいよね」


「そんなことないよ」


「ほんとに?」


「うん。……大丈夫だよ」


言葉は丁寧だけど、どこかぎこちない。

話すほどに、何かが遠ざかっていく気がした。


千佳は彼にとって“正解”に近い人。

でも、“選んだ”実感はなかった。


「優ってさ、たまにどこか行っちゃうよね」


「昔からだよ。考えすぎて、何も言えなくなるタイプ」


「じゃあ、無理に聞かない方がいい?」


「……うん」


優は自分に問いかけるように、小さく息をついた。

――俺は、本当にここにいるのか。


翌朝、エレベーターで乗り合わせた二人。

優が先に手を振る。


「おはようございます、部長。今日も安定の怖さですね」


「……また軽口?」


「褒め言葉ですよ」


優子はそっと微笑んで、前を向いた。


その夜のリビング。薄暗い明かりが部屋の隅々まで届かず、影を落としている。

優子はコートを脱ぎながら、無言でテーブルに買ってきた惣菜の袋を置いた。その音に反応したか、ソファに座っていた夫が顔を上げる。

「遅かったな」

言葉は短く、どこか冷たかった。優子は頷きながらも、言い返す気力が湧かなかった。

「夕飯はこれでいい?」

小声で尋ねると、夫は肩をすくめて返事をした。

「別に、何でもいい」

二人の間に言葉は少なく、食卓には沈黙だけが流れる。優子が箸を手に取ると、夫はテレビのリモコンを手に取り音量を上げた。画面の中のニュースキャスターの声が、部屋の静けさをさらに際立たせる。

優子はゆっくりと料理に箸を伸ばしたが、味は感じなかった。

ふと視線を上げると、夫はテレビを見ながらもどこか遠くを見ているようだった。その背中は、数年前に見ていたはずの夫とは違っていた。

「ねえ、もう少し話せないかな」

声が震えた。夫はリモコンを置き、こちらをちらりと見た。

「何を話せばいいんだ?」

「わからないけど……ただ、黙っているのは辛い」

優子の声は涙で震えていたが、隠した。

「俺も、そうだ」

その言葉に、優子はまた涙を堪えた。

しばらく二人は言葉なく座ったままだった。沈黙の中で、すれ違う心の距離を実感する。

夜が更けるにつれ、言葉を交わすことがどんどん難しくなる。でも、どこかでまだ繋がりを探している自分がいた。


夜が明けても、優子の心は晴れなかった。何度も目を覚まし、時計の秒針の音がやけに大きく感じられた。

隣の寝室からは、静かな寝息。夫は眠っているのか、それともただ動けずにいるのか、優子にはわからなかった。

布団の中で体を丸め、目を閉じても思考はぐるぐると巡った。「これからどうしよう」「どうしてこんなに苦しいのか」答えの出ない問いばかり。

やがて薄明るくなった窓の外を見て、優子は決心したように布団を抜け出す。そっと、部屋のドアを閉めてリビングへ向かった。

キッチンの窓から差し込む朝の光が、冷たい空気を和らげていた。コーヒーメーカーに水を入れ、スイッチを押す。

カップにコーヒーが注がれる間、優子は窓の外を見つめた。通勤ラッシュの車がゆっくりと動き始めている。

「今日も、行かなきゃ」

小さくつぶやき、肩をぐっと上げる。まだ胸の中に重い石が沈んでいるようだった。

ドアの鍵をかける音も、いつもより硬く響いた。背筋を伸ばして、優子は朝の冷たい空気の中を歩き出した。


午後、オフィスの空気がざわついた。鈴木優子のデスクの電話が鳴り、彼女は緊張した面持ちで受話器を取った。

「……あの資料の内容、どうなってるんですか?」

相手は、ここ数年で最も重要なプロジェクトの担当先。声は静かだが、明らかに怒気を含んでいた。

「稟議前のドラフトが正式条件として届いたって、どういうことですか? こんな内容じゃ、ウチとしては契約を見直さざるを得ません」

頭の中が真っ白になった。慌ててファイルを開くと、確かに修正前の草案が提出されていた。

——終わった。

小さな手違いじゃない。これは、全体の信頼を揺るがす失態だった。


スマホが震える。夫からの通知。

「今日、会社の飲み会で帰らない」

その一文が、まるで追い討ちのように胸に突き刺さる。“私は今、壊れそうなのに”——その思いは、送る宛のないまま、画面に沈んだ。


「……部長」

背後からかけられた声に、優子が振り返ると、岩崎がいた。資料を手に、少し屈んで彼女の視線の高さに合わせる。

「ちょっと、いいですか?」

「うん……」

声にならない返事をすると、彼は軽く資料を持ち上げて見せた。

「これ、例の件っすよね。まあ、見事にいっちゃってます」

「……笑えない」

「うん、俺も笑ってないです」

いつものチャラついた口調なのに、どこか真剣さを帯びた声だった。

「でも、大丈夫っすよ。対応できます。ちょっと、いい方法があるんで」

「……ほんとに?」

「たぶん。でも、任せて」

一拍置いて、優子は立ち上がった。

「私も行くわ。ちゃんと謝らなきゃいけないのは、私だし」

その目に宿った責任感を、岩崎はまっすぐ受け止めたうえで、軽く首を横に振った。

「いや、俺だけで行かせてください。今、部長が行ったら、余計に話がこじれます。向こうも感情的になってるはずなんで」

「でも……」

「必ず建て直しますんで」

その言葉には、どこにも冗談の色がなかった。チャラい口ぶりの奥にある静かな強さが、優子の胸を少しだけ揺らす。

「……わかった。任せる」

「ありがとうございます。じゃ、ちょっと行ってきます」

岩崎は笑ってウインクし、資料を片手にくるりと踵を返す。その背中を見送りながら、優子はほんのわずか、息を吐いた。

重たい午後の空気に、ほんの少しだけ風が通った。


「とりあえず、最悪の状況は回避しました。引き続き対応するんでもう少し待ってて下さいね。」

そのメッセージが届いたのは、夜10時を過ぎたころだった。事態の緊迫感がほんの少し緩んだのか、優子はスマホを見つめたまま、静かに息を吐いた。

“この人、本当に動いてくれてるんだ…”

「ありがとう」と打ちかけて、やめた。言葉にしてしまうと、どこか軽くなってしまう気がして。ただ画面を伏せ、ソファの背にもたれた。

遠くで食洗機の音だけが響いていた。しんとしたリビングの空気に、体の力がようやく落ちていく。けれど眠気は来なかった。


三日後の朝。社内の自販機前を通りかかったとき、ふと足を止めた。

岩崎がいた。

最初は誰かわからなかった。無精髭に、首元が少しくたびれた白いワイシャツ。ジャケットは腕にかけられ、片手には缶コーヒー。姿勢もどこか、限界ぎりぎりのように見えた。

「……岩崎くん?」

声をかけると、彼はわずかに目を細めてこちらを見た。

「あ、部長。おはようございます……って時間でもないか」

「……なに、その顔。鏡見た?」

「うっすら。まぁ、ホラー寄りっすね」

言葉は軽いけれど、声にはかすれが混じっていた。

「ずっと向こうとやり取りしてて。昨日も日付変わってからホテル戻って、シャワー浴びたら朝になってたって感じです」

「……帰ってないの?」

「帰ってないです。っていうか、家どこだったかなってなるくらい」

乾いた笑いを混ぜながらも、彼の目の下には深く影が落ちていた。無精髭も、くたびれたシャツも、すべてが“今の彼”そのものに見えた。

優子は、黙ったまま隣に立った。

「……ありがとうね」

それだけが、ようやく出た言葉だった。

岩崎は目線を少しだけ落とし、照れたような笑いを見せた。

「いや、部長が謝らなかったのが正解だったと思います。最初に謝ってたら、完全に足元見られてました。あれは引くタイミングを見極めるゲームです」

缶コーヒーを一口。缶のふたに触れる指先がわずかに赤くなっている。何本目かだったのだろう。

「でも……あと一息です。今夜中にはなんとかします。たぶん」

「……その状態で“一息”って言われても説得力ないけど」

「俺、説得力より勢い派なんで」

優子は小さく笑った。

「せめて、髭くらい剃ってきなさいよ。あなたも部下を持つ身なんだから」

「はっ、それ一番効きます。……まあ、契約成立まで“人間性”は後回しにしてます」

「……返す言葉もないわ」

ふたりで少しだけ笑ったあと、岩崎がちらりと時計を見る。

「そろそろ戻ります。寝落ちしないうちに、報告まとめときたいんで」

「……無理しないでね」

「無理しかしない人生なんで」

そう言って、彼はまた書類の束を持って廊下へ消えていった。その背中を見送る優子の胸の中に、じんわりと何かが滲む。うまく名前のつかない感情だった。


その夜。

報告書の確認を終えたあとも、優子はすぐに帰る気になれなかった。ふと窓の外を見ると、少し離れた部署の灯りがまだ点いている。あの、くたびれた背中が頭をよぎる。

気づけば、歩き出していた。

ノックの音に、岩崎が顔を上げた。PCに向かったまま、やや眠たげな目でこちらを見る。

「あれ、部長……?」

「……ねぇ、何か手伝わせてくれない?」

「え?」

「岩崎くんにだけ、ここまでやらせてるのが申し訳なくて。ほんとに、ごめんね。何でもやるから」

「……本気っすか」

「こんなときくらい、上司らしくさせて。……まあ、すでに上司らしからぬミスをやらかした後だけど」

優子は苦笑いを浮かべながら、デスクの前に立った。岩崎は一瞬まばたきをしてから、やわらかく頬をゆるめた。

「……助かります。めちゃくちゃ」

椅子を横に引き、机の上の書類を少しずらす。

「これ、対応履歴の入力なんですけど……どこに何を書いたか、たぶん俺も覚えてません」

「大丈夫。探すのは得意だから。混乱してる時って、だいたい思考が散らかる傾向があるのよね」

優子は静かに座り、ファイルを手に取りながらキーボードに指を置いた。夜のオフィスに、打鍵の音と紙をめくる音が、落ち着いたテンポで重なる。

しばらくして、岩崎が缶コーヒーを差し出してきた。

「冷えてるけど……まあ、礼です」

「ありがとう。……昔はよく、仲間とこうやって夜遅くまで仕事してたの。気づけば朝になってて、笑いながら帰ってたこともあったな」

「意外と……そういうの、嫌いじゃないんじゃないですか?」

「うん。たぶんね」

缶のプルタブを開ける音が、静かな部屋にやさしく響いた。ふたりの距離はまだ遠いまま。それでも、同じ空気を吸って、同じ夜を生きているような、そんな感覚があった。



その翌朝。優子の夫、達也はまだ見慣れないカーテンの隙間から差し込む光に、目を細めていた。鏡の向こうで髪を整える、彼よりもずっと若い誰かの姿を、ふと視界の端で捉えながらも、特に何も言葉にはしなかった。

着信履歴に残っていた「鈴木優子」の名前を、一瞬だけ見つめて無言で消す。

その動作が何を意味するかを、彼自身が一番よく知っていた。


その頃。カーテンの隙間から差し込む光で、優子はぼんやりと目を覚ました。眠った気がしないのに、時間だけが容赦なく進んでいる。

隣のベッドは空っぽだった。いつ帰ってきたのか、あるいは帰ってきたのかさえわからない。リビングにも誰の気配もなかった。

テーブルの上には、マグカップと空の牛乳パック。食パンの袋は口が開いたままで、トースターにはまだ温もりが残っていた。

生活の跡だけがそこにある。けれど、“生活している人”の存在は、どこにもなかった。

「……行ってきます」

返事のない玄関に向かってつぶやく。声がかすれていて、自分でも驚いた。


会社に着くと、いつも通りの空気が流れていた。パソコンを立ち上げ、資料を整理しながら、優子は自分を仕事モードに切り替えようとする。

何も考えない。考えても仕方のないことは、ここには持ち込まない。

そう自分に言い聞かせていると、ふと机の上のマグカップに手を伸ばすタイミングで、向かいの席の部下が声をかけてきた。

「部長、先週の会議資料、すごくわかりやすかったです。あれ、全部お一人で作られたんですか?」

「ああ、ありがとう。いろいろ詰め込んじゃって、見づらくなかった?」

「いえ、むしろ助かりました。営業チームでも回覧してます」

「そう。……よかった」

ほんの短いやり取りだったけれど、それだけで少しだけ気がほぐれた。ここでは、まだ自分に“居場所”がある。そんなふうに感じられる時間。


午後、資料を持って会議室に向かうと、すでに中には数名が集まっていた。窓際の席で、岩崎の後ろ姿が見えた。いつも通り、ラフな姿勢でタブレットを確認している。

彼の気配に、昨日の夜のことが少しだけ思い出される。あの、疲れたような笑顔。冷えた缶コーヒー。無言で渡された紙の束。

「……鈴木部長、こちらにどうぞ」

部下に促されて、現実に戻る。席につき、何気なく岩崎を見ると、彼もこちらに気づき、ほんのわずかに目元で笑った気がした。でも、それはたぶん気のせいで、優子は視線を資料に戻した。


その夜。帰宅すると、リビングには灯りがついていた。達也はソファに座り、テレビのバラエティ番組をぼんやりと見ていた。

「……おかえり」

「ただいま」

それ以上、言葉はなかった。優子はキッチンで水を一杯飲み、そのまま寝室へ向かう。

息苦しいほどの沈黙。でも、言葉を交わすほうがもっと重たくなりそうで、逃げるようにドアを閉めた。


ベッドに座って、優子はふとスマホを手に取った。画面には、新着メッセージがひとつ。

【岩崎】報告書、全件提出完了しました。ひとまず一段落、ってことで。また明日よろしくお願いします。

優子は画面を見つめたまま、しばらく動けなかった。ただ「ありがとう」とだけ打って、送信する。

その返事が返ってくる頃には、もう眠りについていられたらいい。けれどきっと、今夜もまた、眠れない夜になる気がしていた。


翌朝の光が差し込むオフィス。優子はいつもの席に着くと、無意識にスマホを手に取った。昨夜の岩崎からのメッセージがまだ心のどこかで響いている。

書類の山に囲まれながらも、彼の軽い口調や笑顔を思い出しては、胸の奥がじんわりと温かくなる。そんな自分に驚きつつも、またすぐに現実の仕事へと気持ちを戻す。

だが、午前の会議中、ふとした瞬間に達也の顔が脳裏をよぎった。彼が誰かと一緒にいる場面や、電話の向こうの冷たい声。心のどこかで確信しているのに、見て見ぬふりをしていた事実が、じわじわと重くのしかかる。

昼休み。優子はひとり、静かなカフェでサンドイッチをかじりながら、スマホの画面をぼんやりと眺めていた。そこへ、ふいに同じ会社の若い部下が現れた。

「部長、ちょっと相談があるんですけど……」

いつもならきっぱりと断ってしまいそうなところだが、今日は違った。優子は目を上げて、柔らかく微笑んだ。

「いいわよ。何でも話して」

部下が話し始める間、優子の心は静かにざわめいていた。どんな小さなことでも、誰かの役に立てるなら、今はそれで十分なのだと。


「それぞれの決別」

薄暗いアパートの一室。優と彼女は、言葉少なに向き合っていた。部屋には重い空気が漂い、沈黙が続く。

「もう、これ以上は…」彼女の声は震えていた。

優はゆっくりと俯き、深く息をつく。謝罪の言葉が喉の奥に詰まる。それでも、偽りのない気持ちはひとつだけだった。

「申し訳ない。俺が悪かった。だけど、このままではお互いに良くないと思う」

言葉には責任感と決意が込められていた。


夜の街を歩きながら、優は見慣れたバーの扉を押した。カウンターの席に腰を下ろし、静かにコップを手に取る。少し離れた隣の席に、女性の姿が見えた。

鈴木優子。彼女もまた、静かにグラスを傾けている。

互いに視線が交わると、優は軽く挨拶した。「こんなところで会うとは、珍しいですね」

優子は微笑みながらも、言葉少なに答える。「偶然ですね…」

しばらくの沈黙のあと、優がぽつりと呟いた。「誰かを幸せにするって、難しいものですね」

優子は小さく息をつき、目を伏せた。「私も、そう思います」

優はグラスを静かに置き、少しだけ声の調子を変えて言った。「じゃあ、パーッと飲みません?」

優子は一瞬驚いたように顔を上げたが、すぐに小さく笑った。

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