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それは幸せの日の朝

 朝、美澄が目覚めると、いつも横で美澄の寝起きを待っている太郎坊の姿がなかった。

 時計を見るとまだ早朝で、いつも起きる時間よりずいぶん早い。

 でも今日はこの時間に起きなくてはいけない。

 うーんと伸びをして、ベッドから起きる。カーテンを開けると梅雨時期には珍しい晴天だった。

 顔を洗って階下に降りると、台所に立つ太郎坊がいた。

「おはよう。太郎さん」

「おはよう。美澄さん」

「手伝うわ」

「じゃあパン焼いてくれる?」

「わかった」

 太郎坊の手元ではスクランブルエッグができあがっている。その横には2人分のサラダもできあがっているから、今日の朝食は洋食なのだろう。

 太郎坊が台所にいる間に、美澄は冷蔵庫からバターとジャムを出し、牛乳とオレンジジュースを出した。

「太郎さん、ヨーグルト食べる?」

「食べる」

 ヨーグルトを出して、コップを用意する。

 その間に太郎坊の作っていたスクランブルエッグ、ソーセージ付きが完成していた。

「パンも焼けたみたいだよ」

「お皿用意しなくっちゃ」

 パンを置く皿を用意して、トースターから食パンを取り出す。しっかりと焦げ目がついたそれは、いい匂いがして食欲をそそる。

「「いただきます」」

 2人でそう言って、バターをたっぷり塗ったトーストをかじる。スクランブルエッグにはハートマークのケチャップがかかっていた。

「起こしてくれたら、私ももっと手伝ったのに」

「なんか目が覚めちゃって」

「そうよね」

 今日は胡一郎と絹子の結婚式の日だ。

 午前中近くの神社で式を挙げて、午後から天堂ホテルで披露宴をすることになっている。

 美澄は神社での式の前に2人に合流し、絹子の化粧をしてやることになっている。そのため今朝はいつもより早起きなのだ。

 太郎坊も美澄を神社まで送るついでに、2人の式を遠目にでも見たいらしく、式が終わるまでいることになっている。

「あのお父さんたちは来るかしら」

「なんか父さんが画策するって息巻いてたけど、大丈夫かなぁ」

「なにする気なのかしら」

「うーん」

 トーストをかじったまま、太郎坊がスマホを操作する。

「昨日、胡一郎にメールしたら、まだお許しもらってないみたいなんだよね」

「本当に来るのかしら……」

「最悪お母さんたちが引っ張ってくるんじゃないかな」

 呑気にそう言って、太郎坊がトーストを飲み込んだ。

「もし来ないなら、竹刀持って乗り込んでやろうかしら」

「美澄さんならやりかねないな」

「だって、来てほしいじゃない。絹子さんだって、お父さんに白無垢姿見せたいって言ってたし」

「そうだね」

「さて、気にしてもしょうがないからまずは絹子さんを綺麗にしないとね。時間あんまりないわよ」

「じゃあ僕は片付けてるから、美澄さんお化粧してきなよ」

「そうね」

 結婚してすぐの頃はそれが申し訳なく思っていたが、今はもう甘えることにしている。太郎坊が片付けている間に、化粧をして、2人で着替えていたらちょうど良い時間になるからだ。

 そうして今日はまだだった素振りを、太郎坊に見られながらすると、出かける時間になった。


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