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一日の始まり

 鍋に出汁パックを入れて、切ったたまねぎを入れる。たまねぎが透明になったのを見て、火を止めた。

 目分量で味噌こしに味噌を入れ、味見をしながら濃さを調節していく。そうして最後にみりんを少しだけ垂らした。

 今日の味噌汁は出汁から最後の味付けまで全部まかせてもらった。だから太郎坊の好きだというたまねぎの味噌汁にした。一人暮らしのときによくやっていた最後にみりんを入れることも忘れずに。たまねぎの甘さがあるから控えめに入れた。

「お義母さん、味噌汁できました」

「あら、ありがとう。太郎が喜ぶわね」

「お義父さんのお口に合うか……」

「大丈夫大丈夫。あの人私が作ったものはゴミだって美味しいって言う味覚だから」

「それはそれでどうなんですか」

「太郎はもう少しマシな味覚してるから大丈夫よ」

 ケラケラ笑いながら、櫻子が人数分の目玉焼きを焼く。

 今朝の朝食はご飯に味噌汁、目玉焼きに昨夜のきんぴらの残りだ。

「もう目玉焼きできるわよ」

「わかったよ、櫻子さん」

「味噌汁は美澄さんなの!? やった!」

 櫻子の合図で雷鳴坊と太郎坊が動き出す。

 あっという間に人数分のご飯とお箸が出揃った。全員着席すると、いただきますと言って食べ始める。

「昨日と味噌汁ちょっと違う」

「みりん入れたから」

「これが美澄さんの味なんだね。しかもたまねぎの味噌汁嬉しいな」

「うん」

「私も今度からみりん入れてみようかしら」

「櫻子さんの作るものならなんでも美味しいよ」

 櫻子の焼いた目玉焼きは絶妙な半熟加減で、そこの醤油を垂らして食べると美味しかった。櫻子と雷鳴坊は醤油派で、太郎坊はソース派のようだ。

「しかし昨日の狢の件は、狐じゃなくてよかったな」

「美澄さん飛び出して行くんだもん。肝が冷えたよ」

「流石流石。狸だけじゃなくて、狢も退治しようとは」

 そう言って雷鳴坊が豪快に笑う。

 あの狸退治の一件は雷鳴坊の鉄板ネタになっているらしく、久しぶりに来た妖怪たちに語って聞かせているらしい。

美澄としては恥ずかしいのだが、自慢の嫁と言われてしまうとなにも言えなくなる。

「あの狢の親子はなにをするんですか?」

「親の方は清十郎の手伝い、娘の方は栄子を手伝ってもらおうかのう。娘の方は美澄さん一緒にいてやってくれ」

「分かりました」

「美澄さん、無茶はしないでね」

 太郎坊に釘を刺されつつ、美澄は味噌汁を啜る。栄子と一緒にということはベッドメイキングをするだけだ。竹刀を振ることなどないだろう。

「美澄さん?」

「分かってるわよ。太郎さんがいるときは太郎さんを頼るんでしょ」

「その通り」

 にっこり笑って、太郎坊も味噌汁を啜る。好きだというだけあって、おかわりもしていた。

 今日も平和な天堂家の朝食風景である。


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