バス停で待つ子供
畑や田んぼの道路の端にイスと屋根がポツンとある田舎のバス停。時刻表には一時間ごとに来るバスの行き先とくる時刻が書かれている。
今はもう夕方、誰も周りには居ない。
五時の音楽が村の皆に時刻のお知らせをする。もう五時。
次、来るバスは十八時ともう周りはほぼ真っ暗でライトがないとどうにもならないような時間帯。
そして、夜行性の虫や鳥がだんだん動き回る。そんな時間に動き回るのは誰もいない。
この村には言い伝えがあって、黄昏時から彼者誰時までの間に外に出たらダメだ。ここの祟り神がお怒りになる!と僕がこの世に生まれるずうーっと前から言い伝えられてるんだって。だからその時間帯に外に出ちゃいけないんだ。
でもね、僕は未だに帰ってこない仲良かった子を今も思い出のここで待ち続けてるんだ。
昔、まだ生者としてこの世にいた頃と同じように…。
指切りげんまん…と歌いあって約束をしたこの場所。自分の両手の小指でやってその時のことを思い出す。
「指切り拳万うっそついたら針千本のーます!指切った!」
目の前に広がる畑や田んぼを見る。そろそろここにいるのも飽きたなぁ…。
ちょっと村を歩きに行こう。もしかしたらあの子に会えるかもしれないし!
少し高い椅子から飛び降り、狭くて長い一本道を一人ふらりふらりと鼻うた歌いながら歩く。
所々に欠けているアスファルトの道にはやっぱり影が映らないけど。