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諸々の短編集  作者: 沖元道
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若者と悪魔

 若者が悪魔の前で言った。

「僕の魂を売れば、いくらもらえますか?」

 悪魔は無言で大金を取り出して見せた。

 若者はその大金をじっと見つめている。

「金額に不満があるのか?」

「いえ……買い戻すときはいくら必要ですか?」

「悪魔に売った魂を買い戻す奴なんて聞いたことがない」

「その二倍出しますので、一か月後に買い戻したいのです。魂を売って極悪人になって金を稼いだ後は、魂を買い戻して善人に戻りたいのです。お願いします」

 深く頭を下げた若者をじっと見つめてから、悪魔は言った。

「まあいいだろう」


 一か月後、若者は二倍の金を持って、悪魔の前にやってきた。

「約束の金です」

 悪魔は、その金を受け取り、一か月前に買った魂を若者に返した。

「ところで、この金はどうやって作った?」

「……」

「そうか、それは聞かない方がいいな」

「そうですね。それよりも、もう一度、魂を売りたいのです。今渡した金をそのままもらえますか? 一か月後に、さらに二倍の金額で買い戻します」

「まあいいだろう」


 一か月後、若者は最初の金額の四倍の金を持って、悪魔の前にやってきた。

「約束の金です」

 若者は、悪魔から魂を受け取ると言った。

 「今度は、十倍の金で魂を買ってくれませんか? もちろん、一か月後にその倍の金額で買い戻します」

「十倍とは法外だな……だが、これまで約束を守っているから信用するか」

 悪魔はそう言うと、大金を取り出した。

 若者はその大金を見ると、懐からナイフを取り出し、悪魔に飛び掛かって胸を一突きした。

「ううっ……」

 悪魔は胸を押さえて倒れこんだ。

 若者は、自分の魂と大金を持って、息を引き取った悪魔の前から立ち去った。


「悪魔から魂を買い戻すために借金をしたが、この金で返済して、それでも二人で十分に暮らしていける。しかも、幸せな善人として」

 若者は、美しい娘に結婚を申し込むため、家を出て待ち合せのレストランに向かった。


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