旅の途中で
…
………
………………
あぁ…… 何故、僕達はこんな所に来てしまったんだろう………
てか、どうやってココ来たんだっけ?
う~ん…… どうやったら戻れるんだろう………
なにしろ、地図を持ってきてないので。
あぁ、何故僕達は僕達のまま何だろう………
何かを変えたくて周りの声を聴かずに勇ましく旅だったつもりだったんだけどなぁ………
てか、そんなのいつの話だ?
この旅仲間と出会ってもう何年だ? いや、一年も経ってないのかもしれない……
ただ、僕がその期間を長く感じてるか、そうで無いかの違い。
なにしろ、カレンダーや時計。そんな類の物は持ってきて無いので………
ん?何故、地図や時計を持っていないんだろう?
いや、ここが何処かもわからないのにそんなこと気にしてても意味ないか。
予定があるわけでも無いのに時間など気にしてても意味ないか。
………………あれ、旅仲間が倒れている。
ずいぶんと、やせ細って、まるで何日も何も食べてないように。
可哀想に、俺なんか別にしばらく食べてないけど生きていけてるし。
あ、消えた。
何でだろ?
………………ああ、何か服をくれって叫んでる女がいるなぁ。
別に誰が見てるでもな………ああ、俺が見てるか。
そういや俺も男か、でもまあ別に変な気も起こらないし。
あれ?誰かが走っていって女を押し倒した。
裸の男が裸の女にのしかかってるな。
それを止めに誰か走ればいいのに。
………あ、止めにはいった。
いや、違った。
また一人のしかかってるやつが増えただけか。
あれ?彼らも消えた。
なんだ?神隠し?
…………………あれ?そういえばなんで歩いているのだろう。
周りの声を聞かずに勇ましく旅にでたからか。
あぁ…… 何故、僕達はこんな所に来てしまったんだろう………
てか、どうやってココ来たんだっけ?
う~ん…… どうやったら戻れるんだろう………
あれ?さっきも同じ事を考えた気がする。
ここに来たくなかったんだっけ?
戻りたいんだっけ?
後悔があるのか?未練があるのか?
『こんな世界に未練なんてあるか!』
ん?今の、誰の言葉だ?
こんな世界っていってもなぁ………
何もないし、別に未練なんて………
『死んだらだめだよ!』
死?
何だそれ?
思い出せない。
考えれない。
白い。
白い。
白?
白………
『生きてたらいい事もあるって!』
騒音だ。
『諦めるのか!』
雑音。
『夢はどうしたの………』
夢?
夢………………か。
あれ?苦しい。
別に苦しくてもいいか。
辛い。
問題なし。
何も無い。
だから?
忘れる。
何を。
夢?
愛?
今?
何か、イヤだな………
景色がかすむ。
輪郭が歪む。
存在が薄れる。
世界が遠い。
あ、やべぇ。
「生きてぇ………………」
…
………
………………
あぁ…… 何故、僕達はこんな所に来てしまったんだろう………
てか、どうやってココ来たんだっけ?
う~ん…… どうやったら戻れるんだろう………
なにしろ、地図を持ってきてないので。
ああ、そうか。
地図を持ってないなら、聞けばいい。
「スミマセン、ここはどこですか?」
目を泣き腫らした女の人が驚いた顔をした。
そして、すぐに嬉しそうな顔になる。
その女の人にのしかかられて困った。
体中が痛くて辛かった。
腹が減って苦しかった。
でも、不思議と嫌じゃなかった。
戻ってきた感覚に、すこしだけ感謝した。