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第10話 発送

拙い作品ですが、読んでいただけると幸いです。


 よろしくお願いします。

僕は今、自宅近くのコンビニに居る。上手く早退に成功したというわけだ。途中、恐田に会わずに済んだのは幸いだった。担任は恐田だが、奴に申し出るとややこしくなりそうだったので僕は職員室に入って一番近くの先生に申し訳なさそうに謝りながら早退を申し出た。緊急事態だと告げるとその先生は何かを察したのか「むしろ早く帰りなさい」と一言だけ言い、早退を了承してくれた。

 その後僕は家に帰り、フンの言う通りに必要な準備を整えた。中でも消臭にはかなり気を使った。だって中身がバレたら店員に受取拒否される恐れがあるからだ。ペットのウンチやオシッコに効くスプレータイプの消臭剤を10本丸々使い切ってようやくその荒れ狂う臭いを抑え込むことに成功した。

 そして何重にもしたビニール袋に恐大便おそれだいべんを封印し、そのまま丁寧に梱包した。必要かは分からないが気泡緩衝材、まあ一般的にプチプチとかいわれるアレも一応詰め込んでおいた。天地無用の荷札シールも貼ってある。更に他にも水濡れ厳禁、下積み厳禁、横倒し厳禁、精密機器につき取扱注意、とこれでもかとばかりに貼っておいた。

 完璧だ。これで慎重に扱ってくれるだろうし配送中の事故も起きづらくなるだろう。神社の住所も調べたし、後はこの想い(・・)の詰まった段ボール箱(おくりもの)をコンビニで出すだけだ。というわけで今、僕はコンビニの店内に居て、そしてその手には段ボール箱が抱えられている。店内の客は今なら僕一人だけの状態だ。


(よし、いくか……)


 腹を決めた僕はコンビニのレジに向かう。もう11月に差し掛かり少し肌寒く感じる日も多くなってきたというのに、僕の着ているシャツはまるで天の川銀河のような無数の汗染みを浮かべていた。

 僕がレジの前に立つと、近くで品出しをしていた年配の女性店員が受付をしに小走りで向かってくる。


「いらっしゃいませぇ」


 店員が前に立ち、僕の緊張はピークに達していた。


「あ……あのっ……これを出したいんですが……!」


 手が震えすぎて荷物をシェイクしているかの様になりながら、僕は何とかレジ台の上に荷を置く。すると店員がこちらを凝視してきた。


(しまった……もしかしてバレたか!?)


 僕が動揺を隠せないでいると、店員は何かを尋ねてきた。


「ありがとうございますぅ。お荷物は元払いと着払い、どちらにされますかぁ?」


 ……どうやら僕の杞憂だったようだ。店員はただただいつもの流れで受付をしようとしているだけだった。極度の精神状態でどうも疑心暗鬼になっているな僕は。平静さを保たないと。だがしかし参ったな。迂闊だった。送料に関してはただ料金が幾らぐらいになりそうか、ざっと調べただけだった。

 そうか……着払いも選択肢にあるのか。恐らく送料は千円前後は掛かるだろう。中学生である僕にとっては決して安くはない金額だ——しかし流石に着払いはないな。だって受取拒否されるリスクを考えたら危険すぎる。

 僕が店員に元払いと伝えようとしたその時、フンの声がした。


(いいえ。ここは着払いよ!)


 ……恐ろしいことをいうウンコだなコイツは。いや、正確には人間なのだがいずれにせよ無謀な提案をしてきているのは事実だ。


(フン。僕の金銭事情を憂慮してくれているのか知らないが冷静に考えてみてくれ。着払いはそもそも受け取ってもらえない可能性があるんだ。となると元払いの一択しかない)


(大丈夫よ。奉納品・・・ですもの。きっと受け取るわ。私を信じて着払いにしなさい)


 頑なに折れようとしないフンに対し、僕はどうやって説得しようかと困惑しつつも何とか言葉を絞り出した。


(——お金のことはいいんだフン。これが最悪の未来を回避する為に行っていることと考えたら僕はより確実な方を選びたい)


(違うのよ。そういうことじゃなくて私は着払いにしたときのメリットを考慮して勧めているのよ。考えてもごらんなさい? 奉納品と書かれた荷物を着払いで受け取り、いざ開封するとそこにはウンコが入っている。お金まで払ったのによ? 火に油を注げるのよ。着払いの方がより怒り狂うのよ。そうするとより早く、より確実に相手に殴り込ませることが可能になるの)


 ――元々この作戦の発案者はフンだ。ここで言い争ってる時間が惜しい。というか沈黙が長すぎて店員から怪しまれている。僕は仕方なく着払い希望を店員に告げた。


「ではお客様ぁ、こちらの送り状に記入をお願いしますぅ」


 そう言って店員が着払い用の伝票を手渡してきた。僕は事前に調べた情報をメモした紙を見ながら間違えないよう、正確に伝票に記入していく。その矢先だった。店員が荷物に顔を近付けながら、恐れていたことを口にした。


「ん?何かこの箱臭うぞぉ? 臭う! 臭うぞぉ! クンクン……」


 窮地に立たされた僕は今まさにバレそうなことに焦るより、何故か店員の発したフレーズ、そして店員の口調そのものに既視感を覚えていた。


(この感じ……どこかで……)


 そのときになり僕は初めてその店員のネームプレートを見た。……もっと早く見るべきだった。何故なら決して見過ごすことの出来ない情報だったからだ。そこにはこう書かれていた。


 恐田と……。


短編の連載形式です。不定期更新となります。


 この度はお読みいただき、ありがとうございました。

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