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メガネキャラVTuberが食品ロスを語る?

作者: 桜崎あかり

 通り過ぎようとしていたコンビニに足を止めたのは、二〇代位の女性。天気も雨ではないので、中に入っていく。


 すでに一月も半分を過ぎようとしていた訳で、正月用品の割引が目立つ。年賀状はさすがに値引きはしないのだが……。


(このキャンペーン、なんだろう?)


 彼女は商品を物色していた時、目に入ったポスターが気になった。その内容はコンビニでよく見かける商品を購入してクリアファイルがもらえるものである。


 内容自体は他のコンビニなどでもアニメやゲーム作品とコラボしたものを多く見かけるだろう。しかし、この内容は何かが違っていた。


 別のお客も足を止めて彼女が見ているポスターと別のポスターを見ている。書かれていることは同じで、ポスターのビジュアル違いらしい。


(あの人は立ち止まる時間が短かったけど、どういう事?)


 思うところはありつつも、彼女はある程度の必要な買い物を終える。


そして、ポスターの事が気になったので家へ戻ることにした。



 家に戻り、自室でノートパソコンを起動して早速調べたのは、先ほどのコンビニで見たキャンペーンのポスターである。


 その内容がクリアファイルをもらえるだけの物であれば、他のコンビニとほぼ同じようなものだが、別の人物が見た時の反応は明らかに複雑そうな表情だった。


「やっぱり、こういう事だったのね」


 該当するコンビニの公式ホームページを確認した結果、彼女が思っていた疑問は解決する。しかし、あのポスターを見て何もなかったかのようにスルーした人たちの理由は未だにわからない。



 そこで彼女は自身のチャンネルでキャンペーンの話をすることにした。公式コラボしたバーチャル配信者は違うようだが……。


『みなさん、こんにちは。今回は少し気になった話題がありましたので、それに関して話をしようかと』


 メガネにセミショート、服装はバイクのライダースーツという変わったバーチャル配信者、それが彼女の正体でもある。


『この時期、コンビニでもスーパーでも見かけるようなものがなかった……驚きですよね。自分も、最初は疑問を持ちましたし』


『それは、恵方巻です。二月の節分に合わせて恵方巻の予約キャンペーンを多く見かけるでしょう。しかし、あるコンビニは違いました』


『そのコンビニでは恵方巻を取り扱わない代わりに、あるコラボを行っていました。それはクリアファイルキャンペーンです』


『クリアファイルには、普通にイラストだけでなくメッセージが書かれていました。これには驚いたのですが』


 そして、彼女はカメラの方に向かってクリアファイルを見せた。そのイラストは、最近になって注目を浴びたあの女騎士が描かれている。


 しかし、彼女が注目していたのはそこではない。書かれていたメッセージの内容だった。


『なくそう食品ロス、このメッセージを見て一部の一般客が……とは考えたくないですが、該当するコンビニで恵方巻を扱わないようになったのは、何となくわかります』


 それ以外にも彼女は色々と話したが、あまり企業の回し者と思われても問題があったので途中で話を切り上げる。


 重要なのはこうしたキャンペーンを行ったコンビニに対し、ネット炎上を行うまとめサイトやインフルエンサーが存在することだった。


 彼らは何を考えているのか? 恵方巻を売らない事に対して炎上行為を行うのであれば、それこそ別のコンビニなどで恵方巻を買えばいいだけの話である。


 しかし、大量の食品ロスが発生してから炎上行為を行う勢力もいるのは確実だろう。そうなれば、炎上行為が金儲けになるという事例を増やすだけ。


 彼女が行動を起こした理由、それはあの女騎士のようなSNS炎上行為に対してNOを言えるよなバーチャル配信者になる事……それだけだった。



 翌日には彼女の発言が切り取られてまとめサイトに取り上げられていたのだが、その反応は微妙の一言だった。


【他のコンビニもこれに続けばいい】


【恵方巻のキャンペーン自体、ごり押し過ぎて時代遅れ】


【あのクリアファイルは欲しいな】


 逆にこのコンビニが行ったキャンペーンに対しての反響が大きく、他のコンビニも後に続くべきという声が目立つ結果になる。


 これにはまとめた人物も想定外の反応に対し、即日でまとめ記事を削除するレベルだった。このまとめ主の狙いが何だったのかは、わからずじまい。


 一方で、彼女が『バズる』ような展開にもならず……お互いに不発という結果になった。


「後追いというわけでも、なかったのに……」


 一連のまとめを見ていた彼女も、この反応は想定した物とは違っていたことに対し、複雑な心境である。


 話の方法がアバターの違うだけの女騎士と考えていたようなユーザーなどにとって、今回の『バズり』方は想定外だったといえるだろうか。


 しかし、SNS炎上がガーディアンなどによって物理鎮圧される危険性を踏まえると、炎上することなく撤退したのは良い反応という可能性もある。


 果たして、SNS炎上は本当に終わりを迎えるのだろうか? それを知る者は、まだいない。


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