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18years  作者: 田中タロウ
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第1部 第5話

「ばかやろう!!!」


居酒屋にドスの効いた声が響く。


「すみません!」


俺は慌てて怒鳴り声の主にオシボリを何個か差出した。




俺は大体、朝から夕方までは大学で講義を受けたり、

空手部で汗を流したりしている。

そして、5時以降くらいから主に家庭教師のアルバイトをしているのだが、

もちろん教え子達は中・高校生だ。

どんなに遅くても10時には終わる。


その後は居酒屋でバイトだ。

家庭教師のバイトが無い日は、大学の後ずっと居酒屋の方のバイトをしていることが多い。


どこにでもあるガヤガヤした安い大衆居酒屋だが、このバイトの良いところは

なんといっても晩飯が出ることだ。


更に服装も「ジーパンとTシャツに指定のエプロン」と、貧乏人の俺にとっては

エプロン以外、地でいけるありがたい規則だ。


今日もいつもの細身のジーパンにちょっとしたメーカー品だが安く手に入れたTシャツを身に着けて、

軽快な足取りでビールを運ぶ。


なんか、こういう接客業が意外に合っているようで、家庭教師のバイトより数倍楽しい。

本当は全部居酒屋のバイトに切り替えたいところだが、

やっぱり家庭教師の時給は魅力的だ。


どれだけ足しになるかわからないけど、母さんの手術代を稼ぐためだ、贅沢は言えない。



母さんの癌宣告から1ヶ月。

大学の方もテスト期間が終わり、後は夏休みを待つばかりだ。


本当だったらゆっくり実家で過ごしたいところだが、

そうも言っていられなくなった。

夏休みは東京でとにかくアルバイトに明け暮れることにした。


サナも


「私もアルバイト頑張って、手術代稼ぐよ!」


と言ってくれたが、さすがにそこまでしてもらうのは申し訳ない、と断ると


「だって、いずれ私のお義母さんになる人なんだから。早く良くなってもらわないと」


と、なんとも可愛らしいことを言ってくれる。


母さんもひとまず退院し、今まで通り事務の仕事をしている。

サナのお母さんも協力してくれている。


手術費用・入院費用・その後の生活費なんかも考えて、

目標200万円!


うん、4人で頑張ればなんとかなる気がしてきた!


正直、大学進学をせず就職していれば・・・と一瞬後悔もしたけど、

今後大卒として社会へ出た時の優位性を考えれば結果的には良いのかもしれない、と思い直した。



で、張り切っていたわけだが、

時には失敗もする。

手を滑らせてお客さんの服にビールを浴びせることもある。

そして、そのお客さんがたまたま、どう見ても普通のサラリーマンではない、

「ヤ」の付く人だったりすることもあるわけで・・・。


おお、怖っ!!





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