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18years  作者: 田中タロウ
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第5部 第19話

「なんだよ、そのパソコンは?」

「レポート書くんです」

「そうか。大学生だもんな。頑張れよ」


そそくさと逃げ出そうとするコータさんの腕を

俺はがっしりと掴んだ。


「昨日、俺を散々脅してくれたお礼です。さっさと愛さんとの馴れ初めを話して下さい」

「脅した訳じゃないだろ」

「じゅうぶん脅されました」

「それにしてもサナちゃんは凄いよなー。お前よりよっぽど極道向きだ」


それは認めよう。


「で、サナちゃんはどうしたんだ?」

「今、母さんと一緒に刺青入れに行ってます」

「おお!ついに!って、お前はついていかないのか?」

「レポートをまとめないといけませんから」

「とか言って、本当は見るの怖いんだろ」


・・・うるさいな。


「コータさん。話逸らさないでください!ほら、話して!大輔さんに報告しないといけないから!」

「大輔さん元気だったか?」

「はい。結婚もされて幸せそうでしたよ。中学生の男の子がいました」

「そうか。よかった、よかった」


そう言って、また部屋を出て行こうとする。


「往生際が悪いですよ」

「なんでお前にそんなこと話さないといけないんだよ」

「・・・先月、美優ちゃんがまた大学にきて、面白いこと教えてくれたんですよ」

「・・・」

「『パパがK町のキャバクラがいっぱい並んでる道を女の人と歩いてたんだー』って」

「・・・」

「ええっと。間宮家の電話番号は・・・」

「蓮!!!!!」

「はい?」

「あ、あれは仕事だ!俺は浮気なんかしないぞ!!」

「ふーん。じゃあ愛さんに言っても問題ないですよね」

「・・・お前、間違いなく統矢さんの息子だな。ってゆーか、美優の兄だな」


ええ。その通りですが?


「たく・・・美優のやつ・・・千里眼まで装備してやがるのか・・・」

「で。話してくださいよ」

「長くなるぞ」

「任せてください。一字一句もらさず打ちますから」

「ネェちゃんとお前が出て行って一ヶ月くらい経ったころかなー。偶然街で愛を見つけてさ。

一言文句言ってやろうと思って、食って掛かったんだ。

そしたら次の日に愛が俺の高校まで反撃しにきやがった。さすが、美優の母親だろ?

で、攻防戦を繰り返しているうちに、なんか付き合うことになってた。以上」

「全然長くないじゃないですか」

「ま、人生こんなもんだ」

「美優ちゃんはどう絡んでくるんですか?」

「付き合い始めてしばらく経った頃、愛が統矢さんの子を妊娠してるのがわかって、

じゃー結婚して俺の子として育てるか、ってことになったんだよ」

「・・・」

「って、もしかして、愛のやつ、妊娠してるのわかってて俺に近づいたのか?

作戦だったのか?おいおい、俺ってば何を簡単に騙されて・・・」


一人ブツブツと邪推を始めたコータさんを残し、俺は部屋を出た。

なんだよー。

全然面白くないじゃん。


なんかこう、もっとドラマチックなことはなかったのかよ。

それこそ組長と銃撃戦で愛さんを取り合うとか・・・


・・・俺、コータさんと話してるとなんか頭が戦闘モードになるな。

リーサルウェポン・美優のせいか。


おお。そうだ。「せんとう」と言えば。



俺はコータさんの部屋から出てそのまま組長の部屋へ向かった。


「俺んち、風呂ないから毎日銭湯に行ってるんだ」

「そうか」

「でも刺青入れたらもう行けないだろ。だから入れ始めたらサナんちに住むから」

「ダメだ」


ちっ。やっぱダメか。


「しかし、確かに銭湯は『刺青お断り』だな。堅気の人間に迷惑をかけちゃいかん。

だが風呂に入らないわけにもいかない」


お、なんか聞き分けがいいじゃないか。

ヤクザなら刺青なんか気にせず銭湯くらい行け!とか言われると思ったのに。


「時に蓮。司法試験の勉強するんだよな?」


急になんだよ。


「ああ」

「それならバイトをしている暇もなくなるだろ」

「・・・だから?」

「全てを一挙に解決する方法がある」

「聞きたくないなー」

「聞け」

「断る」


組長は廊下にいる見張りに声をかけた。


「おい。白雪を呼んで来い」


なんだよ、なんだよ。

何で急に白雪さんなんだ。



「失礼します」


程なくして白雪さんが部屋に入ってきた。

俺を見るなりその白い肌が見る見る赤くなる。


いいなー。

癒される・・・。

いつもは、左に極道の女候補生、右にリーサルウェポンだもんなー。


「白雪。明日蓮がここに引越してくるから一部屋準備しておけ」

「え?あ、はい。わかりました」


白雪さんの顔がますます真っ赤になる。

かわいい・・・

って、おーい!

引越してこないって!

しかも明日ってなんだよ!


「どちらのお部屋にいたしましょう?」

「2階の・・・いや、ちょっと若い連中に揉まれた方がいいな。3階の適当なところを用意しろ」

「かしこまりました」


そう言うと、白雪さんは俺の方を向き、ニッコリと笑った。


「お待ちしておりますね」

「・・・はい」



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