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笑わない彼女の思い出のその後

 前話の続きとなります。


 彼氏に依存している彼女とゲームが切っ掛けで出会い、二人でドライブ。

 帰りたがらない彼女を寝かしつけた翌朝……

 結局その日は明け方起き出して、ファミレスに寄った後待ち合わせに使った駅まで送った。


 ファミレスでは次に会う日取りを決めさせられ、彼氏ののろけを聞かされ、服用している薬の説明を一頻(ひとしき)りされた。

 すっかり(ほだ)されてしまっていたし愛おしくもあったから穏やかに聞いている風は装ったが、内心複雑ではあった。のろけの内容は覚えていない。でも、嬉しそうに語る合い間に時折覗かせる諦めに似た表情が今でも記憶に残っている。


 その一月ほど後に約束通り会った時には、ホテルのカラオケで歌った。まぁ、それだけじゃなかったわけだけれど。その時には、件の彼氏の話題は上らなかったが、メッセージの入らない携帯電話をぼーっと眺めていたのは覚えている。

 その彼氏と言うのは彼女と同世代で、つまりは私とは一回りも離れた若者。そんな男が所謂メンヘラ気質の彼女と長続きする筈もなく、次第に連絡を寄越さなくなってきたようだった。


 そうしてXmas前、携帯電話を握り締めてついに彼女が泣き出した。その時の会話は覚えている。

「もういい加減、そんな奴は諦めちゃいないよ」

「なんでそんなこと言うの? 彼は『私が一番』って言ってくれたんだよ。待ってなくちゃ」

「そう言ったって、連絡くれないんだろ? それに、君が掛けたって出てもくれないじゃないか」

「むぅ、掛けるのみてたな」

「隣で掛けてりゃそりゃ見える」

「もう、ばかばかばか」

「なぁ、俺と付き合おうよ」

「むぅ、いつでも一緒にいられる? 私が一番って言えるの?」

「どちらもノー。休日は兎も角平日は無理だし、俺には二番も三番もないから一番だなんて言わないよ」


 彼女ははっとした顔をすると、(おもむろ)に抱き着いてきた。

(あー、結局そう言うことになっちゃっうのかなぁ)なんて思いながら彼女の重みを感じていた。


 彼女との終わりはその二ヶ月後、バレンタインデーのことだった。

 その日仕事を抜け出しそびれ、待ち合わせの新宿東口のゲームセンターに行った時は既に約束の時間を大きく過ぎていた。彼女は出会いの切っ掛けになったゲームのある地下ではなく、外が見える二階の誰もいないレトロゲーのコーナーにいた。

 その時点で不機嫌に見えたので半ば気を遣ってしまったのが逆に災いした。今なら分かるのだが、当時の自分はどうにも思い至らなかったのだが。


 彼女は自分が我儘で周りを振り回していることにある程度自覚していて、大切に思う人の誕生日だから自分の我儘を控えて相手の我儘を聞こうと思っていたようだ。

 元々待ち合わせ日時を決める時にも、「誕生日だからお兄の好きな物を食べよう」と話していたのに気を遣ってつい、「何が食べたい?」と聞いてしまったからいけない。

 突然彼女は「もういい、帰る」と叫ぶと店を飛び出してしまった。


 私にとっては後にも先にもたった一度の追走をし、交叉点で追いついて腕を取ったのだが。

「もういいです。お兄とはやっぱり無理です。ごめんなさい」と。

 それ切り私は何も言えず、ただ彼女が立ち去るのを見送ることしかできなかった。


 その後はお決まりのように連絡手段を断たれ、活動拠点の掲示板も微妙に移動して私と関わらなくなった。

 それでも例の彼氏と別れたことも、その後付き合い始めた彼氏が我々ゲーム仲間共通の友人であることも、隠す様子はなかった。

 前後関係は不明だが、彼氏からの最後通牒の電話を居酒屋で受けた際にはオーバードーズで胃洗浄を受けたらしい。その時付き添ってくれたのが、その共通の友人ということだ。


 その後一度だけ夏のコミケに連動した中規模のオフ会で見掛けたが、元友人に傅かれるように振る舞う様子に私の周辺の面子はどん引き。二人が孤立していった後は件のロボット対戦ゲームも下火になり。

 それからのことは全く耳目にしていない。


 と言うわけで、十日ぶりの投稿です。

 今回も、京都は出てきません。


 私の勤務先も原則テレワークに移行しまして、通勤のストレスからは解放されました。

 テレワークならでは時間配分にもそろそろ慣れてきました。

 なので、巧く時間を作って投稿していきたいと思いますのでご贔屓に。

 そうそう、評価もお願いします。ページの下の方の☆を★に変えるだけ。

 ではまた近いうちに。

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