節子の部屋 ① お祖父様のハサミ
幼い頃の夏の思い出です。
あの恐怖は忘れられません。
あれは節子がミジンコ位に小さかった日のこと...遠い夏の日のことでした...( ˘ω˘ )
お祖父様もお祖母様もご健在の夏休みのことでした。
祖父様のお屋敷がまだあった頃のお話です。
お祖母様は村一番のお金持ちのお嬢様でしたのでお料理は、ほとんど出来ませんでした...( ˘ω˘ )
1週間の献立はカレー、けんちん汁、里芋の煮っころがし、菜っ葉のお浸し、うどん...。
節子のお母様の差し入れがない限りは無限のループで数品目が続きます。
そんなお祖母様が、節子にお昼に「蜘蛛の糸」とか、「エボの糸」とかなんとかかんとか言う素麺を茹でて下さいました。
たまに当たりでピンクや緑の麺が入ってるヤツです。
「節子、海苔はいるか?」
お祖父様が大きなハサミでお海苔をチャキチャキ刻みながらおっしゃいました。
「はい。お祖父様、お海苔はタップリお願い致します( ・∇・)」
お祖父様はたいそうグルメでいらっしゃいましたので食する物は全て一級品。
勿論、お海苔も一級品。
素麺のおつゆもお出汁から違います。鰹の本節を削って下さいます。
柚子七味、葱と海苔と生姜のすりおろしで、サッパリ頂き、とても美味しゅうございました(ღ˘ㅂ˘ღ)
そして数日後。
お祖父様が!!
なんと!!なんと!!
お祖父様が!!
あの大きなハサミで鼻毛をカットしておりました!!_:(´ཀ`」 ∠):_
「ジャキ、ジャキ、ジャキ...」
驚きのあまりに声が出なかった節子にお祖父様がにこやかにおっしゃいました。
「あっ、(  ̄▽ ̄)節子~!今日の昼はうどん食うべ~」
あの大きなハサミは常に洗っても拭いてもいないと
知ったのに時間はかかりませんでした...。(╥ω╥`)
お祖父様とお祖母様と過ごした懐かしい夏休みの思ひ出です。当時のほのぼのとした暮らしの中にあった恐怖が甦ってきました。