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現在過去未来

作者: mimimi

大阪の中でも少し田舎で育った私。

昔は人見知りが激しすぎて、親戚とも喋れなかったくらい。

会った瞬間隠れて黙り込んでしまう私は、

よく親や兄弟、親戚に「貝殻」と言われていた。

私は、小さいながらに何ともでも言ってくれという気持ちだった

事を今もよく覚えている。


そんな内気だった私も、幼稚園・小学校と通い外で体を動かす運動が

大好きだった為、自然と友達は男友達ばっかりになっていった。

休み時間になると、男の子達と変わらないほど全力で校庭に走っていき、

「とりあーいしっ!」の掛け声でチーム分けが始まる。


男友達とこうして単純な遊びをする方が楽だった。


女友達でも仲良しのグループはあり、楽しい小学校生活を過ごしていた。


小学校高学年になり、女の子達はだんだんとおませさんになっていく。

ませている事は何も悪い事ではない。

ただ、ませた事により周りが見えなくなる行動がとても増える。

人の気持ちを考えれない、自分が良ければそれでいい。


私は高学年になっても相変わらず外で男の子に混ざって遊んでいた。


その行動が他の女の子には疎ましく感じたのであろう。


朝、いつも通り学校へ登校し教室へ入って「おはよー!」と

仲良しグループの女の子達に声を掛けた。


目は一瞬合ったけど、フル無視。


子供ながらにすぐに気づいた。

自分の好きな人と遊んでいる姿を気に食わなく思っているんだろうな。


とてもしょうもなくて仕方ない気持ちになった。


私は放送委員だったので、給食の時間は放送室で給食を1人で食べていた。

自分の好きな曲を流しながら、気分良く給食を食べている時に、

放送室のドアをノックする音。


仲良しグループの1人が入ってきた。


「無視してごめんね、〇〇ちゃんに無視するよう指示されてて。

嫌いだから無視してる訳じゃないよ!本当にごめんね!」


何も響かなかった。


理由を尋ねると案の定、私が〇〇の好きな人と親しげに

休み時間いつも遊んだり喋ってる姿に腹が立っているとの事。


〇〇はもちろん、放送室に来たこの友達さえどうでも良くなった。


言われるがままに無視をするこの軍団が気持ち悪く思えた。


私にこの事を伝えに放送室にきて、きょろきょろ挙動不審。

誰にも見られていないかという恐怖に狩られていた。

どうしてそんな思いまでして無駄な事を言いに来たのか理解できなかった。


家に帰り、何も変わらずごはんを食べテレビを見てのんびりしていた。


そこにFAXの受信音。「ピーーーーー。...」


当時は、メールや携帯電話がまだ普及しおらず、友達とは家の

FAXでメッセージのやり取りをしていた。


相手は、放送室に来た女友達。


「無視してごめんね」

「仕方なくて...喋ったら私が無視されてしまう。

「でも私はお友達と思ってるからね!」


とことん響かない奴。


このFAXを私の手元に持ってきたのは母親。


「あんた〇〇に何かされてんの?しばいたろか?」


母は父よりも強い。

というよりも人一倍子供を思う大人。


本当にしばきそうなので「大丈夫だよ」と私は母に伝えた。


1,2週間無視は続いた。

不思議な事にこの「無視」というのは、何もなかったかのように

自然と終了する。何もなかったかのように話しかけてくる。


的が変わり他の子を無視する。

とてもえげつない仕組みだとつくづく思う。


中学生に上がると、更にエスカレートした内容になる。


教室のみんなが机をくっつけてご飯を食べている中、

1人だけ机が追い出されている。


トイレに入ったらでれない逆施錠。


椅子に接着剤。


教室のドアを入ると黒板消しが落下してくる。


教室からの閉め出し。


1Fにいれば3Fからホースで放水シャワー。


お決まりのフル無視。


この頃は、携帯をみんな持ち出していた為、

いろんないじめが生み出されていった。


メールで回覧板のようにすぐみんなと連絡が取れるからでだ。


私は、中学校では1度も被害にあわなかった。

被害にあっている子を助ける訳でもなく、

いじめっ子に「やめろ!」なんていう訳でもなく、

他人事のように右から左へ聞き流し、

ただただ中学校に通うという作業を毎日繰り返していた。


中学校に入学と同時に部活を始めた。

が、先輩が気に入らずすぐに退部した。


そこからは帰宅部生活。

こうなると遊ぶ人が自然と変わっていく。


帰宅部、帰宅部の先輩、他校の帰宅部。


暇人が集まる。


何かの繋がりで中学校の卒業生の男とも遊ぶようになる。

あっちはただの体目的。


遊ぶ度に触られる。

本当に汚い世の中にうんざりしていた。


と同時にみんなの事をすごく、すごく、すごく見下していた。


中3になり、何もかもだるくなっていく。


朝、母親が出勤するまでは学校に行く準備をする。

出勤したら制服を脱ぎまた布団に戻り昼過ぎまで寝る。


母親が帰ってくるまでに制服に着替え外に出る。


夕方何食わぬ顔で家に帰り、食事をしてお風呂に入り寝る。

これが当たり前の毎日になっていた。


幸い担任が神対応だった為、出席日数がぎりぎり取れた。

門に1歩でも入れば出席をつけるから、来てほしいと電話。

今考えれば、困らせていた事を申し訳なく思える。

その頃は、何も考えず1歩入る為にだけ登校をしていた。


担任のおかげもあり、公立高校に入学できた。


高校生になり、友人の紹介でアルバイトを始める。

高校の時はアルバイトが中心的な思い出しかない。


何歳になっても男友達との単純な遊びがやっぱり気楽で、

バイクの後ろに乗ったり夜中朝方までみんなでコンビニ前に

たむろして喋る。この単純な遊びが本当に気楽だった。


その分、やはり小学校の時と同じでいちゃもんを

つけてくる女の人たちもちらほらいた。


どうでもよかった。


高校で仲良しになった子達と、夏休みに海に行った時。


夜、浜辺でみんなで花火をしていた。


すぐ近くの浜辺のコンビニに飲み物を買いに行った時、

5人組の男の子が声をかけてきた。


「花火一緒にしよーや!」


初めてその場で会った人達とノリで花火をしてみんな楽しんだ。


2個上の大学生グループ。


その中に1人無理に笑っている男の子が1人いた。

私は、すぐにわかった。愛想笑いの塊。


みんなが騒いでいる中、手持ち花火をしながら

その男の子は私に話してきた。


昔からずっと長い付き合いの彼女と別れたらしい。


とても好きだったんだなって気持ちが痛いくらいに伝わった。


この人の、愛想笑いじゃない素の笑顔を見たいって思った。


その場で解散し、それぞれのホテルに帰り就寝。


次の日、朝から海で遊ぼうとしたら昨日の5人と遭遇。

その日も海で一緒に遊んだ。


みんな大阪の人で、また大阪に戻ってからも遊ぼうよって

なってそれぞれが連絡先を交換した。


夜、大阪に戻り私は彼にメールをした。

「昨日一昨日とありがとう!また遊ぼうね!」


10分もしない内に返事は来た。

「こちらこそありがとう!近々ごはんいこー!」


悲しい顔をしていた彼の事が頭から離れない。

気さくで気を使って笑って話してくれる彼の笑顔が

いっぱい見たい、もっと距離を縮めたい気持ちでいっぱいになった。


何度か会い楽しく過ごし、彼が告白をしてくれた。


前の彼女の事を忘れさせてくれそうな存在になってると言ってくれた。


付き合い始め、彼の1人暮らしの家に遊びに行ってごはんを

作ったり楽しい日々を過ごしていた。


遊園地に行きぐるぐる真上で回転する乗り物で自転車の鍵を落とし、

自宅まで自転車を担いで運んでくれたのに、笑顔で接してくれる彼。


いつも笑顔でにこにこ一緒に過ごしてくれた。


だけど、どこかで悲しい気持ちがまだ溢れている気がいつもしていた。


そんなある日、朝起きると彼からメールが1通。


「ごめん、やっぱり前の彼女が忘れれなくて、、、別れよう。本当にごめん。」


このメールを見た時とても悲しかったのと同時に、

何かが吹っ切れた気持ちにもなった。


やっぱりね!って自分の気持ちの中で思っていたから。


私はすぐに「わかった!元気でね!」と返した。


数日後、彼の家に置いてた私のゲームを自宅近くまで持ってきてくれた。


なんだか申し訳なさそうな顔をして駅から降りてきていたから、

私は会う瞬間からずっと笑顔でいつも通りお喋りをしていた。


向こうも笑顔に戻り、なぜかカラオケに1時間だけ行くことに。


歌手のモノマネをして笑わせてくれたり、

いつもと何も変わらない彼の姿だった。


カラオケが終わり、駅でバイバイを言う時、

また申し訳なさそうな彼がいた。


私は笑顔でその場を去った。

初めからこんな気がしていたのか、その頃には

悲しいといった感情はなくなっていた。


その後、平穏な日常を過ごし高校卒業。


みんな、就職や専門学校への進学。

私は、アルバイトを引き続き続ける毎日。


自分でも何がしたいのかわからなかった。

自分という人間がどのように生きていきたいのかわからなかった。


彼の事が忘れられない訳ではないが、彼氏が欲しいという意欲がない。


色んな友達と遊んではしゃいでバイトしての繰り返しだった。


バイト終わりに友達から電話。

「3:3で海までドライブしよー!」


私は友人達と合流。

今日来る男の人はクラブで声をかけられた人らしい。

その1人が友人2人を連れてくる。


男の人に対して何も思わなかった私は、

少しだけ遊んでちゃちゃっと帰ろうと思っていた。


男の人3人が待ち合わせ場所にきた。


ギャル男並みの派手な男の人が1人と普通の男の人が2人。


適当に3人ずつに分かれ2台の車で隣の県の海へ。


それなりに楽しく過ごした。

でもどこか心から笑えていない私がいた。


車で大阪に戻り解散する時、1人の男の子が

みんなで連絡先を交換しようと言い出した。


それぞれ連絡先を交換し、解散した。


その日からみんなとメールをしていた。

ただの暇つぶしという感じで。


その内の1人が、遊びに誘ってきた。


彼は同い年で他県の大学に通っている。

大学の近くで1人暮らしをしている為、大阪にはいない。


自分の住んでいる町の観光名所を案内してくれるとの事で、

指定された駅まで電車で行き、改札を出たらヘルメットを持った彼がいた。


バイクの後ろに乗り、色んな所に連れていってくれた。


最後に、雑誌やテレビでよく見る有名な川に行った。

ベンチに座り色んな話をした。


その時、彼から告白された。


正直、私は全然好きという感情はなかった。

良い人だとは思ったが、好きという感情ではなかった。


付き合っても付き合わなくてもどっちでも良い。


私は深く考えず、軽い気持ちで「いいよ!」と答えた。


彼はガッツポーズをして喜んでくれた。


その後、駅まで送ってもらい私は自宅へ戻った。


私は、彼氏ができた事が何故か怖かった。

よくわからない気持ちのまま1日1日が過ぎていく。


彼が大阪に遊びにきたり、私が彼の方へ遊びに行ったり

お互いの親とも会ったりそれなりに順調な付き合いだった。


大学卒業するまでの間、彼の家の方に一緒に住むことになった。


アルバイトを探し、家のごはんを作ったり、休みの日は

まる1日一緒におでかけをしたり、楽しく過ごしていた。


そんなある日、彼が朝いつも通り大学へ行き、

私は休みだったので、部屋の大掃除をしていた時の事。


ほこりを払っていたら、一冊の分厚い本が落ちた。


何の本だろうと中身を覗くと、それは分厚い本ではなく

前の彼女との思い出がたくさん詰まっているノートでした。


お互いの好きなところや、バカだなぁって思うところ、

仲良しだったんだなぁって事がすごくわかるノートだった。


何もなかったかのように本棚に戻した。


私は、胸の中のもやもやが暴れだし止まらなくなっていた。


掃除をしながら、色んなところを見てしまった。


3段ボックスの引き出しに入っていたのは、女性用のコテとハンディマッサージャー。


もちろんハンディマッサージャーはあの時に使用していたものだと思う。


生々しくて吐き気がした。


彼が帰宅し、私は平然を装い彼と食事をした。

少しして彼がお風呂に入った時に、彼の携帯を見た。


前の彼女とのメールがエンドレス。

着信履歴、アルバムの写真、すべて前の彼女がたくさん入っていた。


前の彼女は結婚をしていて旦那とお子さんがいる。


なのに、明らかに関係をもっているメールのやり取り。


私は、この瞬間から殻にこもり始めた。

昔と同じ「貝殻」に戻っていた。


彼には何も言えず、大学へ行ってる時に家で大泣きしていた。


好きになる気持ちを忘れていた時に現れた彼に、

だんだん惹かれていった時にこんなものたちを見てしまった。


勝手に見て、勝手に悲しんで、自業自得だと自分に聞かせていた。


何か私の顔色に気付いたのか、あのノートが部屋から消えていた。


その時、捨てたのかと一瞬でも思った自分が本当にアホらしかった。


ノートもプリクラも思い出のもの全部、実家の部屋に置きに帰っていた。

その行動に私はまだ何も言えずにいた。


言ってしまったら彼は、前の彼女の方に戻りそうな気が怖かった。


自分が押し殺せばいい話。


そのまま日々は過ぎていく。


あの時出会い、付き合ってあっという間に2年がたった頃、

彼の大学卒業とともに就職先が決定した。


本社が大阪の為、大阪勤務かと安心していたら、

「岐阜の支店勤務になった。ついてきてくれる?」と連絡が。


私はあの時の事を胸に秘め、岐阜へついていく事にした。


スーパーやコンビニが遠く、冬に雪が積もる場所での生活が初めて。

周りに友達や知り合いがいない環境。


私は、何をしているんだろうと毎日思うようになっていた。


彼がいつもの時間に帰ってきてごはんを食べている時、

携帯が鳴っていた。


一向に出ようとする気配がない。

後で掛けなおすから大丈夫と食事を続ける。


コールが鳴っている画面に見えたのは前の彼女の名前だった。


この画面を見た瞬間からなんとも思わず過ごしていた日々が、一転した。


彼を疑いの目でしか見れなくなった。


携帯をまた見てしまった。


案の定、前の彼女との連絡がぎっしり。

今回はこれ以外に男友達とギャンブルや風俗の話をしている連絡も見てしまった。


更には出会い系サイトの掲示板に投稿している記事も見てしまった。


もう精神的にもたない、

自分の為に何もできていない、

自分の人生なのに、自分が何も楽しめていない。


彼と4年付き合い、初めて話をした。

彼は、何も怪しい事はしていない。

前の彼女とも連絡をとっていない。

出会い系をしていない。

風俗へも行っていない。


何も正直に話してくれなかったから、追及もしなかった。


私は、毎週末大阪に帰るようになり、

大阪の友達と週末遊ぶことだけを楽しみに過ごしていた。


平日は仕事場の人とごはんに行くことが増えていた。


彼との時間を極力減らしていった。


突き放すと追ってくるという言葉があるけど、

本当にその通りだった。


大阪に帰る事が心配とか、職場の人らとのごはんも怪しい

など、とことん私に構うようになってきていた。


そんな中、私はもう気持ちがすっぱり切れてしまっていた。


彼に求められても寝たふりをして断る日々。

もう限界を感じていた。


話し合う気もなかった。


大阪にいる友達に頼み、夜中にこっちまで車で来てもらった。


自分の荷物を必要最低限にまとめ私は家を出た。


時間は夜中の4時。

彼はベットでぐっすり寝ていた。


鍵を静かに掛けて、合鍵をポストに入れてその場を去った。


朝方6時ころ彼から何度も着信。

私は出なかった。


着信が鳴りやみ1通のメール。


「色々辛い思いをさせて本当にごめんなさい。」


返事は返せなかった。


大阪へ車で3時間かけて到着。

友達が自宅まで荷物も運んでくれ親切に対応してくれた。


大阪で再就職をし、色んな友達と遊ぶ日々。


出会いもたくさんあった。

でも好きな人はできなかった。


好きな人ができる事が怖くて自分から距離を取っていた。


仕事に没頭した。

お金があれば好きなことができる。


パートナーがいなくてもお金があれば楽しく過ごせる。


そう考えて毎日を過ごしていた。


気が付けば2年経っていて、仕事もそれなりに頑張っていた。


夏場の外回りに汗だくになりながら取り組んで、

無我夢中で働いて何かを忘れようとしていた。


引きずっているとかではない。

何を忘れようとしているかもわからない。


自分のしたい仕事で生き生きしている訳でもない。


未だに何をどうすれば良いのかわからない自分と過ごしている。


自分が1番幸せになれる方法を探している。

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