第13話:迷宮
おおう、また更新が遅くなってしまった。最近忙しいんので中々更新できないかも
「はあぁっ!」
壁に掛けられた松明がぼんやりと辺りを照らすだけの薄暗い洞窟の中で、剣撃を交わす音が壁に反響し響き渡る。
「ギィッ!?」
また1匹、俺はゴブリンを斬り捨てた。これで倒したゴブリンの数はもう50は超えただろう。あたりにはゴブリンの死体が転がり、血が水溜りを作っている。
「こっちも終わったよ、お兄ちゃん」
戦闘を終えたソフィアが駆け寄ってくる。彼女がやってきた方を見れば、そこには雷に焼き殺されたもの、全身を氷漬けにされたもの、体を切り刻まれたものと、様々な方法で殺されたゴブリンの死体が転がっている。
「お疲れ。でもこれでようやく半分ってとこだな。奥にまだ結構いる」
「これで半分?依頼の内容より随分多いじゃん」
「たぶん依頼者のミスか虚偽申告だな。帰ったら文句言おう」
俺たちが受けた依頼では、ゴブリンの数は50ほどになっていた。だが魔術で感知したところ倍はいる。これはさすがにまずいだろう。できれば依頼者のミスであることを祈る。ギルドに依頼が出されてから今までの間にここまで増えたという可能性はあまり考えたくない。
襲撃を警戒しながら俺とソフィアは洞窟のさらに奥へと進んだ。
曲がり道で角を曲がると、同時に無数の火球が俺たちを襲った。俺とソフィアは瞬時に魔力障壁を纏い、防御するが、火球は俺たちに触れた瞬間に爆発を起こし、洞窟を揺らす。
爆発により巻き起こった土煙が晴れると、そこには20匹ほどのゴブリンの集団がこちらを待ち構えていた。
「無茶しやがる。あいつら崩落の危険性とか考えないのかよ」
ゴブリンたちはこちらが無事なのを見ると、再び魔術を唱え始めた。全員がゴブリン種の中でも、魔術を使えるゴブリンメイジのようで、手には杖を持ち、魔術を行使している。
ゴブリンたちは気付いていないのかもしれないが、洞窟が崩れる可能性があるのでこれ以上魔術を撃たせるわけにはいかない。ゴブリンメイジたちの魔術が完成する直前、俺は奴等の術式に干渉し、その構成の一部分を書き換えた。
術式が完成し、先ほどと同じような火球が形成される。だが、その火球は俺たちではなく、ゴブリンたちを襲う。先程の火球と違うのは、爆発するのではなく、炎が奴等に纏わりつき、焼き焦がしていることだ。
体を焼かれる痛みに、ゴブリンたちは絶叫しながらのたうちまわっている。
少し経ち、焼け死んだのか、ゴブリンたちがピクリとも動かなくなると、ソフィアは魔術で水を出して、対象が死んでもなお燃え続けている炎を消した。
「次の集団が最後だ。油断するなよ」
「分かってるよ、大丈夫」
魔術で探知すると、これより奥には広い空間があり、ゴブリンが集まっているのが分かる。ソフィアと声を掛け合い気を引き締める。
洞窟を進むと、大きく開けた空間に出た。50匹ほどのゴブリンが武器を構えている。また他にも岩陰などにまだ複数のゴブリンが身を隠しているのが分かった。
「俺が前衛だ。ソフィアは援護頼む!」
「任せてお兄ちゃん!」
左右の手にそれぞれ剣を握り、強化された脚力によって瞬く間にゴブリンたちとの距離を縮めた。複数の剣が振り下ろされるが、俺はそれを両の剣で防ぎ、受け流す。敵の攻撃の間隙を縫って敵を斬り裂き、時には蹴り飛ばし、数を減らしていく。
弓や投石などでこちらを攻撃しようとしたゴブリンは、ソフィアが後方から打ち込む魔術によって倒され、一つとしてまだ俺の方に届いた攻撃はない。それにいつの間にか彼女によって、隠れていたゴブリンたちも倒されていた。
負けてられないな、そう思いながら俺は殲滅するスピードを上げた。
それから5分ほどで戦闘は無事終了した。調べた結果、他のゴブリンの存在は確認できず、捕まっている人もいなかった。ゴブリンの被害にあった人間がいなくて幸いだった。陰惨な目にあった女性などがいたら保護が大変だし、ソフィアに見せたいものでもない。
「はい、今回はゴブリンの巣の殲滅お疲れ様。周辺の村に被害が出る前で良かったわ。ありがとね」
「どういたしまして。まあ、100匹以上のゴブリンの集団からなるあれを巣と言っていいのかどうかは分かりませんけど」
言外に「依頼書に書かれてあったゴブリンの数おかしいよね?」と言いながらじと目でアルマを睨む。
「あはは、想定より規模が大きかった分報酬は少し多くなるから許してね」
アルマはぺろっと可愛いらしく舌をだしてごめんねと言って、報酬金とギルドカードを手渡してくる。美人は得だな、と思いながら俺はそれを受け取った。手渡されたカードにはCランクの文字が書かれている。
「それにしても1ヶ月足らずでもうCランクだもの。すごすぎるわよねー。普通は何年かかけてここまで上がるものだし、Dから上がれない人だってたくさんいるのに」
アルマの言う通り、CランクからDランクは冒険者のボリュームゾーンであり、Cランクに上がれない者が多くいるのも事実であった。
「ま、あれだけ高難度依頼を片っ端から片付けてたらランクもすぐに上がるわよね。おかげで最近は高ランク冒険者の人が迷宮に行ったせいで中々片付かなかった依頼が消えて、こっちとしてはありがたい限りなんだけど」
俺たちはここ1ヶ月はCランク以上の依頼ばかりを受けていた。Cより下の依頼は俺とソフィアには物足りなかったのだ。それに俺たちが低難度の依頼を受けても低ランク冒険者の仕事を奪うだけだろう。高難度依頼は最近受ける人が少ないとアルマが嘆いていたので渡りに船だった。
「でも高ランクの冒険者が皆行ってしまうなんて、迷宮に何かあるんですか?」
いくらなんでも高ランク冒険者が軒並みいなくなるなんてちょっとおかしい。しかもギルドへの依頼が滞るほどまでくると、はっきり言って異常だ。
アルマは困った顔をして答えた。
「あの迷宮が見つかったのは7年前でね、見つかって1年くらい経った頃、領主様は迷宮に軍を入れたの。3000人くらいの軍をね。でも失敗した」
アルマの話によると、迷宮には最下層に核があって、それを魔力で染めると迷宮の主として登録され、迷宮をある程度コントロールできるようになるらしい。それを求めて領主は軍を派遣したが、迷宮は想定よりも深く、150階層を超えたところで軍は壊滅したそうだ。
「迷宮は稀に迷宮暴走っていう大量の魔物が外に出てくる現象があって、領主様の軍はそれに巻き込まれたそうよ。その時は軍が壊滅させられたかわりに迷宮暴走自体はなんとか収まったみたいだけど」
「その後もちょくちょく軍を派遣したけど攻略はできなくて、それでとうとう去年、領主様は冒険者ギルドに迷宮攻略の依頼を出したのよ」
それが原因でAランク冒険者を筆頭に高ランク冒険者は迷宮攻略に掛かりきりだと言う。
そうして話していると、ギルドのドアが開いた。それとともにギルド内はざわめきに包まれた。
振り返るとそこには、剣を背負ったがっちりとした体躯の男に、槍と盾を持った高身長の男、双剣を腰に帯びた女、弓を持った女がいた。槍を持った男以外は全員が革鎧などの軽装だ。
「噂をすればってやつね。パーティー名『炎竜の牙』。あの剣士の人がこの街唯一のAランク冒険者のヘルマン。仲間の3人も全員がBランク。この街の中では一番力のあるパーティーよ」
アルマがこっそり教えてくれた。
『炎竜の牙』はギルド内の冒険者たちに戦果を報告していた。
「俺たちは今回200階層まで到達した!そろそろ迷宮も終わりが見えそうだ!」
ヘルマンの言葉に、ギルド内のざわめきが一層大きくなった。
「200階層だって!?領主様の軍でもそこまでは行ってなかっただろ」
「すげえ!本当に迷宮攻略しちまうんじゃねえか?」
ギルドを満たす声は、どれも『炎竜の牙』を称えるものばかりだ。それだけ彼等の成したことは大きいということだろう。その声に応えるかのように『炎竜の牙』の面々は、自身や仲間の武勇伝を語る。
それにしても迷宮は200階層よりも先があるのか。彼等の話を聞いていると迷宮への興味が湧き上がってきた。
「ふふっ、ノア君もやっぱり男の子だからかしら、目が輝いてるわよ。貴方達2人の実力なら迷宮も大丈夫だと思うし、行ってみる?最近は依頼も少なくなってきてるしね」
アルマは俺の様子を見て、微笑んだ。小さな子供を微笑ましく思うような目で見られてちょっと恥ずかしい。俺は精神年齢だけで言えばアルマよりもだいぶ年上だというのに。
「お兄ちゃん、迷宮行きたいの?」
ソフィアは俺の服の袖をちょいちょいと掴んで尋ねてきた。年相応の可愛らしい動作を見て思わず笑みがこぼれる。
「まあ、ちょっとはな。前から興味あったし」
本音を言うと行きたい。前世じゃあ魔物はいたけど迷宮なんてなかった。それに迷宮はなんだかこう、冒険って感じがして憧れがあるのだ。
「お兄ちゃんが行きたいならいいよ。一緒に行こう?」
「迷宮は結構外では珍しい魔物とかもいるみたいよ。行きたいなら行ってみればどう?」
2人は迷宮に行くことに肯定的だった。迷宮のリスクと利益を比較して、俺は迷宮に行くことに決めた。
「じゃあ、一緒に行ってくれるかソフィア?」
「うん!」
ソフィアも賛成してくれたし、大丈夫だろう。それにもし、迷宮が危険だったりした場合は逃げればいい。いのちだいじに、だ。
それからはアルマに迷宮についての情報を教えてもらい、翌日に迷宮へと出発した。
迷宮は俺たちが生活している街、シュヴェルシュタットからそう遠くない場所にあった。街からはだいたい5〜60キロといったところだろうか。身体強化を使用して走ったため、2時間もかからずに着いた。途中ですれ違った馬車に乗っていた人たちからは驚かれたけど、そんな細かいことは気にしない。
街と迷宮の間には村があった。普通は冒険者たちが迷宮に行く中継地点として利用するのだろうが、俺たちには必要ないので寄らなかった。
「迷宮っていうからどんなのかと思ったけど、なんか地味だね」
迷宮の入り口を見たソフィアの声には、明らかな落胆が感じられる。表情からもつまらなそうと思っているのが分かる。
迷宮はまるでどこかの遺跡のように石造りの入り口が地表部分にあり、そこから階段で下に降りるようになっていた。
ソフィアは地味だというが、昨日の冒険者たちの話ではこの迷宮は200階層を超えるというのだから、きっと地下には広大な迷宮が広がっているはずだ。
「さあ行こうか。たぶん中身は期待できると思うよ」
俺はわくわくしながら迷宮へ足を踏み入れた。
「うわあ、すごい。キラキラしてる!」
迷宮内部の光景にソフィアが弾んだ声をあげる。
迷宮は地下にあるため、日の光は届かない。だがその代わりに、岩肌のような黒い壁から突き出ている結晶や苔がぼんやりと青白い光を放ち、迷宮内部の広大な空間を照らしていて、幻想的な光景が広がっていた。
「思ってたよりもだいぶ大きいな……」
迷宮の中は想像以上に広かった。それに、迷路のように狭い道が続くわけではなく、洞窟のような造りになっている。
「ほら、はやく行こうよお兄ちゃん」
ソフィアは興奮した様子で俺の手を手を引き、走り出した。
いくら走っても同じような景色が続く。迷宮の道は時には分かれ、時には合流する。行き止まりになっている道も当然のようにあった。
そして行き止まりになった道から引き返そうとした時、キュウ、という鳴き声が聞こえた。
俺もソフィアも常に魔術で探知するのは大変なので、今は魔術を使っていない。そのためはっきりと存在を確認できるわけではないが、俺の耳は確かに複数の足音を捉えている。
数十秒後、足音の主は姿を現した。
「キュッ!キュウー!」
「うさぎ?」
ソフィアの言葉の通り、現れたのは4匹の兎だった。真っ白な体毛に、鮮やかな赤の目が目立つ。雪見だいふく、なんていうイメージが脳内に浮かんだ。可愛らしい姿だが、普通の兎に比べて一回りどころか二回りは大きい。俺たちの体の半分くらいはありそうだ。
「これがスノーラビットか。たしか雪玉ぶつけてくるんだったかな」
迷宮に出現する魔物の名前と特性については、アルマに教えてもらっている。彼女の話が確かならこいつは水の魔術による雪玉で攻撃をしてくるはずだ。結構硬くて、当たると痛いらしい。
魔力の高まりを感じて見ると、兎たちの周辺に雪玉が現れ、こちらに飛んできた。だが速度はそこまで速くない。せいぜい時速100キロくらいだ。俺たちは余裕をもって回避する。
雪玉は4匹がローテーションで放っているらしく、途切れることなくこちらに次々と飛んでくる。
「あいつら雪玉しか魔術使えないのか……?まあいい、そろそろ倒すか。【雷槍】」
合計4本の雷の槍が真っ直ぐに兎たちを貫いた。電流は弱めてあるので焼けてはいない。強い電気ショックといった感じだろうか。兎たちはピクピクと痙攣しているが意識を失っているようだ。
倒れた兎たちに近寄り、1匹ずつ首の骨を折っていく。外傷はないので兎の体は綺麗なままだ。毛皮は冬用にマフラーにしたい。
しっかりと兎の命を絶った後で死体を収納した。
「初めて見た魔物だったけどあんまり強くないね」
「まだ一階層だしな。これからどんどん強くなるさ」
アルマの話では、迷宮は深く潜れば潜るほど出てくる魔物が強くなり、迷宮の環境も変化するらしい。
この迷宮は200階層以上はあるのが確定しているのだから、最下層にはいったいどんな魔物がいるのか楽しみだ。
「おい、ソフィア……ソフィア!」
「……は、はいっ!?ど、どうしたのお兄ちゃん」
呼びかけても返事がなかったので、耳元で大声で名前を呼ぶとソフィアはビクッと体を震わせて答えた。
「もうだいぶ疲れてきてるだろ。今日はもう探索は終わろうか」
「えっ、いや大丈夫だよ。私まだまだいけるよ!」
「無理をしてもいいことなんてないよ。敵が弱くても些細なミスが命に関わる。今日は帰ろう」
「うぅ、無理なんかしてないもん」
迷宮に入ってから5〜6時間ほどが経っただろうか。俺たちは13階層に辿りついた。魔物との遭遇率が高かったことに加え、迷宮が予想以上の広さを持っていたため攻略に時間がかかった。
下に潜るに連れて、出現する魔物の種類は増え、毒液を吐き出すポイズンフロッグや力強さと俊敏さを兼ね備えたリザードマン、酸性の粘液で体が構成されたスライム、肉はなく骨だけの骸骨のような姿をしているスケルトンなどの森にはいない魔物が多数いた。
低階層ゆえか出てくる魔物の強さはそれほどでもないが、長時間に渡る探索と度重なる戦闘によって俺はともかくソフィアには無視できない疲労が既に溜まっている。時々ぼーっとしており、集中力も切れてきているようなので今日はもうこれ以上の探索はやめておいたほうが無難だろう。
この迷宮には当然ながら転移装置や到達階層を記録してそこから再開なんてものは存在しない。唯一の救いはそれぞれの階層を繋ぐ階段の前後にある空間が魔物が出現しないセーフティエリアになっていることである。
そのためより下層へ潜ろうと思えば、頻発する魔物との戦闘をこなし、何日、いや何十日もの迷宮内での野営が必要となるため、迷宮の攻略は困難を極めることだろう……普通ならば。
だが俺たち、というか俺には【転移】がある。一度でもその場所を訪れ、その空間座標が分かるのならば直接跳べるため、俺たちには迷宮内での野営は必要ない。
「ほら、帰るぞ」
「うー、分かったよ」
ソフィアはまだいけるのにとぶつぶつ言っていたが、俺が差し出した手を握った。俺はそのまま【転移】を発動する。視界に映る景色は結晶の淡く青白い光に照らされた洞窟から見慣れた街の門へと変わる。
門には順番待ちをしている人の列ができていた。順番が来るまで30分ほどほどかかり、兵士にギルドカードを見せてから街に入った。
街に入った俺たちはギルドに向かった。ギルドはちょうど仕事を終えたばかりなのか、依頼の完了報告をしていたり酒を飲んでいる冒険者が集まっていた。見れば、ギルドの受付カウンターはどれも並んでいるが、アルマが受付をするカウンターには他の2つよりも人が多い。
他の受付に行こうかなと思っていると、ふとアルマと目が合った。他の人の受付に並ぼうとすると彼女はショックを受けたような顔をするので、結局アルマの所に並んだ。なんだか逃げられなくなっている気がする。
「おかえりなさいノア君、ソフィアちゃん。今日は迷宮どうだった?」
俺たちの順番が来ると、アルマは微笑みながら聞いてきた。
「今日は13階層まで行きました」
「さすがね。5階層くらいで帰ってくるかと思ってたのに。それに日帰りとは思わなかったわ」
「そこはまあ魔術もありますし。ところで俺たちはアルマさんのところ以外は行っちゃダメなんですか?」
俺の質問に唇の端を上げるとアルマはカウンターの後ろを指差した。
「カウンターの後ろには換金された魔物を入れる台車があるんだけどね、私のところはあなたたちが来るから台数増やしたのよ。だから私のところに来てくれると助かるわね」
「じゃあアルマさんは俺たちの担当みたいなものですか」
「そういうこと。まあそれはともかく、今日の収穫を見せてもらいましょうか」
俺は収納から次々と迷宮で狩った魔物を出していく。魔物は売れる部位が決まっており、肉そのものはギルドではほとんど売れないので一応解体してあり、皮などの売れる部分を中心にして出しているがそれでも小さな山ができた。
アルマに鑑定してもらったところ大銀貨1と小銀貨6枚になった。アルマ曰く低階層の魔物の素材は安いらしい。
「ところでノア君たちはこれからも迷宮行くの?」
「ソフィアどうする?これからも行くか?」
「行くよ!お兄ちゃんだってまだ行きたいんでしよ?」
ソフィアはぐっと拳を握って答えた。俺はできれば迷宮を完全攻略したいので、その答えはありがたい。
「ということで、これからも迷宮に行くことになりそうです」
「うん、そっか。2人とも頑張ってね。応援してるわよ」
ギルドを出て宿へと向かい、街を歩く。歩きながらも思考の大半を占めるのは今日の迷宮のことだった。
迷宮は想像よりもはるかに大きく、魔物は初見の種が多数いた。そして魔物との遭遇率もかなり高い。戦闘音や血の匂いで戦闘中に他の魔物が寄ってくることも多かった。
そのせいか疲れが溜まるのが早い気がする。森暮らし時代にかなり鍛えたが、今日のソフィアには後半疲れが見えていた。今後の迷宮攻略にでもソフィアのことはよく気にかけておいてやらなければならないだろう。
魔物との戦闘時のソフィアとの連携や迷宮攻略における探索の仕方など考えることはたくさんありそうだが、それを考えるのもとても心が躍る。
協力して戦うこと、迷宮を探索することなどどれも俺にとって新鮮なものばかりだ。
迷宮を攻略することはきっと俺たちの成長の糧になる。そんな予感があった。




