1話 蘇生
稚拙な文章力ではありますが、読んでいただけると光栄です。
死んだ。
ただ一人の家族、妹が。俺に目に映ったものは傷一つない真っ白なプレゼントボックスと血で煮られたかのようになった妹の死体だけ。俺は何も考えられなかった、というよりは脳が、俺に考えることを止めたのかもしれない。立ち尽くす俺の前を血まみれの軽トラがいそいそと走っていく。
この時の俺にとって、犯人が捕まろうが捕まらまいが、どうでも良いことだった。ただその時は、ただただ何も出来ない自分への哀れみと自虐心だけがうずたかく積もっていった...
生きる意欲をなくした俺は道散らばったガラス片でこの命をたとうとした、「すまない優子、この兄を許してくれ。」
その瞬間だったような気がする。「本当にそれでいいのかい?」
しわがれた声が俺の右耳を濡らした。果たしてそこには白衣の老人がいた。車の音など一切なかったのに。「君、今とても複雑だねぇ。悲哀、憤怒、懺悔、ほかにもいっぱいありそうだなぁ。」まともな思考能力を半ば失った俺はその老人がなにを言ってるいるのか分からなかった。
「でもきみは合格だ。ついてきなさい。」「え?」ゴゥンッ。頭に鈍い響きを感じた。薄れゆく意識の中で、妹の死体を怪しげな四角いケースにつめる黒背広の人影がオレのわずかな視界を占領した。
最後に老人は言った。
「生きる準備はできたかい?死にたがりくん♪」