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眠る眠る窓の外
あれは窓。心に切り開けられた窓だった。
秋に冬眠の支度を整えて、落ち葉と綿毛で地下を埋めつくし、目覚めたときのために木の実を蓄え、眠った矢先のこと。
夢の中に訪ねてくる者がある。
現世の扉も窓も閉まっているのを、無遠慮に叩いて、開かないと分かると夢を訪う。それは詩人で、冬眠しない種族だった。
急に夢の中で起こされたのだ、不機嫌になるのは許してほしい。
詩人は、勝手に屋内で休んでいきたいから許可をくれと言う。食料も衣服もあるが、外は猛吹雪で、立っているのもやっとだ、と。夢の中、窓の外を見れば真白なる世界。問答が億劫ゆえ、許可を出す。その冬は詩人が残した窓を時折眺め、気分転換した。
第五十九回のお題「窓」#Twitter300字ss @Tw300ss




