表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/236

夢の話

あなたは3時間以内に6RTされたら、俳優と一般人の設定で前世の記憶を持ったふたりが再会する話のhsweltの、漫画または小説を書きます。

shindanmaker.com/293935

で、されてなくても書き始めました。

夢の話


「えっ嘘だろ」

 度付きの薄い色のサングラス越しに、交差点を見下ろす。カフェのチェーン店内は適度にざわついていて、こちらの呟きなんかほとんど周りに聞こえない。

「嘘だろ〜」‬

 頭を抱える。落ち着け、分かるわけない、向こうからこっちは見えない。そもそも、覚えているわけがないのだ。他人の空似、だろうし。

(そうそう。他人。だって、該当するやつは、夢の中の住人だし)

 子どもの頃から見ていた夢。広々とした、明るく光を取り込む、白い石造りの城。子どもの笑い声。優しい両親。夢はカラフルで、音も匂いもあって、あまりにはっきりしていた。自分の成長と共に登場人物の年齢もあがっていった。最近、見ないなと思っていたんだが。‬

(しっかし、そっくりだなあ)

 交差点を渡る姿、その、一瞬だけかちあった気がした、綺麗な琥珀色の目。


「見つけた!」

 突然大声が聞こえて、驚いてコーヒーをこぼした。

「あっすみません」

 大声のまま、後ろから、その人物は、隣の席に割り込んできた。コーヒーはこぼれたまま。

「あの、あの、あなたのこと、俺、知ってます」

「あっ? あ、えーと」

 隣の席に座ったのは、さっき、交差点を渡っていた、人物だ。

 いや待て驚くな、これは運命なんかじゃない。こういうことは、たまにある。あんまり有名ではないけれど、端役の、俳優もしているので。ファン、とまでは名乗らなくとも、知ってます、応援してます、と声を掛けられたことなら、ある。

 だから落ち着いて、

「そうなんだ?」

「ミーシェでしょ?」

 落ち着けなかった。こぼれたコーヒーをよけてテーブルに突っ伏す。店員さんがコーヒーを拭いてくれる。謝って、それから、

「何で……?」

「何で、って。俺とミーシェは、運命だから!」

「いやだから何でだよ、お前はほとんど外見変わってないのに、こっちは別人でしょう? 何でそんな名前で呼ぶの、しかも夢でしょ」

「そりゃ、まさか人間になってるとは思わなかった。探してたんだよ俺。ミーシェ」

 とびきり、愛おしそうに、相手は笑って。

「立派な毛並み、大きな耳、鋭い牙、もふもふのお腹にしっぽ!」

「やめろそんな目で見るな、そんなに獣っぽいか?」

「獣っぽくはない、かわいい。きれいな、しなやかなネコ科の大きな獣だった頃と、雰囲気はそっくりだよ」

「ふん……」

「今、何やってんの? 狩り? どこに雇われてる?」

「いや、ここ現代ですから」

 あの、夢の中のような、ふんわりとした光はここにはない。

「端役の俳優」

「へー! どれ? 何か配信とかで今すぐ見られるやつある?」

「見なくていいでしょ、見たけりゃ今の姿を見てよ」

「うん、うんうん。俺もさ、何言ってんの? って言われるかもしれないとは思ったんだけど、こんなにスムーズに再会するとは思わなくて、どうしたらいいか分かんないの」

「じゃあ」

 とりあえず、連絡先を交換する。それから、自己紹介。子どもの頃のこと、夢を……同じ夢を見た、それが多分、夢じゃないんじゃないかと、少し思っていて、でも気のせいだろうと、そっと蓋をしていたことを、店を変えながら少しずつ話した。

 その日の晩は、夢を見た。

 広い草原を駆ける夢。

 今はもう存在しないしっぽが、ゆらりと伸びる。

 風の匂い。

 あの世界がどうなったのか、自分は知らない。けれど、大事だった人と、再会したから、これはそう……同窓会、みたいなものだ。

 また、会えるかな。

 夢の中で、一番好きな木の下で昼寝した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ