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思い出の中に
思い出の中に
あなたのことを包みたかった。もっと優しく。
初めて出会ったときは、柔らかな笑顔で、あなたもわたしのことを愛おしんでくれた。わたしを抱きしめるあなたに、けれどわたしはだんだんと答えきれなくなっていった。
ぼろぼろの、毛玉だらけのわたし。
お前みたいな粗大ゴミの出し方なんて分からない、なんて言って、あなたはわたしの目の前で、新しいひとを抱きしめて見せた。
つぶれた布団でしかないわたしは、捨て方を知ったあなたに、小雨の降る日に捨てられた。
道ばたの子猫をあたためることもできずに、わたしは処理場に運ばれていく。
もっと優しく、優しいわたしでありたかった。
布団さん、じゅうぶんですよ、そう言ってくれた人が、おやすみなさい、そう続けて、わたしを闇にほうむった。
おやすみなさい。思い出の中にも居場所はなくて、ただわたしは一人で眠る。
ペーパーウェル01のテーマのことを考えていたときか何かに出てきたものの、ちょっとどんより系なので、取りのけておいたものです。




