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小さな魔女と灯籠の紋様/魔王ちゃんどうしたの

小さな魔女と灯籠の紋様


 紋様入りの紙製灯籠は、火が入ると適度な高さに浮かぶ。紐で繋がれ、道に流されて、明かりを求める人の手に取られる。

 竜の分けた火は朝まで消えない。決まった紋様にだけ火が宿るので、落としても燃え広がらない。

 小さな魔女見習いは、師の手元の灯籠に目をやる。一目では覚えきれない、複雑に色を重ねた紋様。師が苦笑して、

「竜と町の約束の紋様だから、旅人の我々が、紋様を持ち出してはいけないよ」

「しません!」

 火の安定にはあの色と紋様……そうした技術に、胸が踊ったのは事実だ。でもそのまま持ち出すつもりはない。

「綺麗な、いい紋様だね」

 師も楽しそうに目を細めて、町を彩る紋様と灯籠を見つめていた。





魔王ちゃんどうしたの


 また魔王が泣いている。廊下を歩き、四天王の一人はため息をついた。他の三人は見回りに出ている。

 魔王は三歳。草木を憎む二歳を通り過ぎ、何でもかんでも、嫌! 自分でやるの! の時期である。抱っこは嫌! 三歩歩くと、歩くの嫌!

 今回の魔王は人間の子。魔力があれば魔界の治安維持係は可能なので構わない。問題は予言が出てすぐ、親が子を崖から投げ捨てたこと。

 四天王は初の子育てで、魔王を引き取り、右往左往して育てている。

 魔王が泣きやんだ。事故を想像して飛び上がり、部屋に戻る。

 魔王は魔獣の尾を掴んで眠っていた。よだれまみれの魔獣に礼を言う。小さな命の灯火を消さないよう、四天王は今日も頑張る。

第四十九回のお題「灯す」#Twitter300字ss @Tw300ss


小さな魔女。

300字SSポストカードラリーに参加しているお話の、関連……のようなもの。ですが、単独で読めます。

http://300.siestaweb.net/?p=4358



魔王ちゃん。

草木も嫌う三歳とか四歳とか草木も避ける四歳とか色々言われてるみたいなので、憎む二歳は四天王が近所で聞いたのを覚えてるだけということで……。

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