表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/232

愛する竜と非番日和/真実の果実

愛する竜と非番日和


 竜騎士の乗る中型竜が数頭、草原で草を食む。

 竜使いはあくび混じりに番をしていた。うたた寝から起きると、竜の口の端から、人の手足がはみ出している。

「ぺっ、して!」

 竜は嫌々と首を振る。

「だめ! 出しなさい! 貴方草食獣でしょ」

 嫌々。

「それ、竜騎士でしょ!」

 竜はそっぽを向く。非番だから言うこと聞かなくていいんだもの。と言わんばかり。

 どうにか竜の口から竜騎士を引きずり出す。竜騎士は怒っておらず、竜にでれでれだった(唾液でどろどろだが)。可愛い自分の竜の様子を見に来て、食われたらしい。

「猫と同じで、構いすぎは嫌われますよ」

 竜使いは呆れながら、遅すぎる忠告を一応述べた。



真実の果実


 蔓棚にぶどうが実る。娘が、一房手に取った。

「ほしい?」

 問われ、草むらから這い出した。

 神々が多くの果実を育てたこの園は、今は捨てられ、管理者が残るのみ。

 種子の一つも、持ち帰れたら、地上に植物が戻るだろう。

「ほしい」

 言えば、娘は楽しげに、唇を弓なりに曲げる。

「人間が来るのは、久しぶり」

「ぶどうを食べたい」

「急かさなくても。この星を出た人間の、もとはお前達だから。お前達のものよ」

「何?」

「知恵を駆使して訪う者にだけ、真実の果実を。と、彼らは私に遺したの」

 娘の背中には、剥き出しの配線。機械仕掛けの神の使徒。

「真実をどうぞ」

 作られた笑いで、ぶどうがもたらされる。


第四十七回のお題「食べる」#Twitter300字ss @Tw300ss


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ