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アキノユメ

 秋生まれなので、アキエと名付けられた。両親が秋のある過去を懐かしむたび、アキエの心中は荒れる。

 砂礫地区、塀に囲まれた街の真ん中に、楓や銀杏が植えられている。もう枯れて何年も経つ。飲み水は元素から生成すると言うけれど、どれくらいもつか分からない。明日もあるのか不明だった。

「怖がりだね」

「フユキの冬は今もあるからいいよ」

「まあね」

 塀に登って地平を眺めながら、フユキが頷く。

「雪はまだ降る」

 フユキには、いずれ別の地域で勉強して、緑化に貢献するという夢がある。アキエは置いて行かれるのだ。

「出かけるんだ。君も植物を探しに行きたいんでしょ」

 失われた秋をおそれず、探しに行く勇気を。

第四十六回のお題「秋」#Twitter300字ss @Tw300ss


※ちなみに以下は下書き。この後300字にしました。


 秋に生まれたので、アキエと名付けられた。

「それは綺麗な紅葉だったよ」

 両親が過去を懐かしむたび、アキエの心中は穏やかにならない。

 砂礫の積まれた地域では、塀に囲まれた街の真ん中に、わずかにカエデやイチョウが植えられている。水は、水素と酸素を利用して生成していると言うけれど、どれくらいもつのか分からない。

 いつも、明日が来るか不安で仕方なかった。

 カエデやイチョウは葉をつけない。枯れて随分になるらしい。

 紅葉なんて、絵しか見たことがない。

「アキエは怖がりだね」

「フユキは、今もあるからそんなことが言えるんだよ」

「否定しないけど」

 塀に登って、広々とひらけた地平を眺めながら、アキエの隣でフユキが頷く。

「雪はまだ降る。冬はある。まだ、いるんだから、絶望するには早すぎるでしょ」

 嘘つき。

 フユキは知恵が回る。いずれ別の地域で、もっと勉強して、緑化に貢献するという夢を持っている。

 アキエは置いて行かれるのだ。

「置いていくんじゃなくて、出かけるんだよ。アキエだって、植物を探しに行きたいんでしょ?」

「秋もないのに」

「僕はまだ、あるものだけで手いっぱい」

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