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天と地
天と地
糸を紡ぐ。蓮の葉から繊維を取り、細く、丈夫な糸を。私を助けたあなたは、一人で地獄へ落ちたから、天国の私は一人でさみしい。そっちに行くか、こちらに呼びたい。
私の翼は、あなたに拾われる前に、ほかの鳥に襲われてむしられてしまった。その後も、生えてこない。だから自分では会いにいけない。
会いに行くの、って言ったら、ほかの鳥たちは笑った。人間なんてつまらないものよ、どうして、これだけ愛されてるのに、いいところにいるのに、そんなことするの。
私は、自分の言葉を大事に胸にしまう。
だって、あなたにもらったんだもの。拾われたときの気持ちも。大事にしてくれたあなたの手のひらも。みんなあなたが私にくれた。
私たち、ひとの手に、置いてはいけないものだから、すぐに仲間たちが探しに来て、あなたを罰して地獄へ送ったけれど。
それが決まりだから、助けてくれたことさえ、酌量してもらえなかった。
あなたにあげられるものなんて、私以外に何もない。
糸を紡ぐ。あなたに届くように。
私の手が届いて、あなたの側へ行けるように。
#ヘキライ第67回お題「糸」




