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まつりをしよう
人形を飾った。粘土でできた、指先くらいの大きさのものだ。人、ネコ、クマがいる。ひなまつりの時節に合わせて、桃の花を模した造花を近くに置く。
深夜、人形が顔を突き合わせてひそひそやっていた。もらわれてきたこの家が、いまいちだったのだろうか。
数日後、深夜に見ると、ひそひそと何かを準備している。造花をむしって、何かを入れている。花の上には、水面が光る。酒盛りのようだ。
ひなまつりの歌を歌って、踊りながら飲み明かすらしい。近くにあったひなあられは、一粒ずつかじられていた。
翌朝、酒盛りのあとは見た目には分からなくなっていた。綺麗に片付けてある。人形のすまし顔が、やけにおかしかった。




