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#ヘキライ

タイトル「墓」

第43回お題「後悔」

 悔いないと誓っていた。雨に濡れた丘をおりる。引きずっていたはずの剣は、いつの間にかどこかに忘れてきた。

 さっきのは、顔見知りだった。彼も彼女も、私が斬り捨てた。彼らは、墓石を守る私から杖を奪って、追い払おうとした。だから斬った。

 私は、魔物の沈んだ丘で、墓石を守る。災厄がときおり墓石の隙間からわいて出るので、人々はまるごと失くしてしまおうとする。けれど私は知っている。失くしてしまおうとすれば、災厄はさらに大きく隙間からあふれだしてしまう。私が真っ黒いナニカに変わったように、世界が黒く染められる。

 私には後悔など残されていない。

 あるのはただの、かすかな、痛みだけ。


#ヘキライ

タイトル「墓」

第43回お題「後悔」

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